ストーリー
2016年に北海道・安平町のノーザンファームで生まれたクリソベリルは、ゴールドアリュール産駒の全兄クリソライト(ジャパンダートダービー優勝)、宝塚記念など芝G1を2勝の半姉マリアライト、母クリソプレーズ(その父エルコンドルパサー)の全弟で2006年JRA賞最優秀ダートホースのアロンダイトなどを擁す一族の出身。わずか11戦のキャリアながら、華やかなファミリーにあって最上級の戦績を築いた。
クリソベリルは2歳9月のデビュー戦を7馬身差で圧勝し、その血統に違わぬ才能を早々に発露させた。その後に飛節を痛めて5か月余り実戦から遠ざかることになったが、明け3歳3月の500万下(現1勝クラス)を再び7馬身差で楽勝すると、続く兵庫チャンピオンシップも5馬身差で重賞初制覇。同世代の間で抜きん出た能力を見せつけ、さらにジャパンDダービーも3馬身差で快勝する。合計着差22馬身で無傷の4連勝という圧倒的な戦績は、次代のダート王誕生を大いに予感させた。
同世代を制圧したクリソベリルは、秋になると日本テレビ盃で古馬との初対戦に臨んだ。そこではノンコノユメやアポロケンタッキーといった7歳のベテランG1ホースらを寄せつけずに最初の関門を突破。JBCクラシックを収得賞金の関係で断念し、チャンピオンズCに直行して最強の古馬たちに挑むこととなる。
相手関係は格段に強化し、チャンピオンズCのクリソベリルはゴールドドリームに次ぐ2番人気と初めて1番人気を明け渡した。レースもゴールドドリームとの勝負になり、好位から抜け出すタイミングで強襲されるも差し返すようにクビ差で勝利。無敗のまま1年を終え、JRA賞最優秀ダートホースに輝いて天下統一を果たした。
日本一の称号を得たクリソベリルは明け4歳の初戦に新設の世界最高賞金レース・サウジCを選択した。総額21億円(当時)のビッグレースは打ってつけの目標となったが、さすがに世界の壁は厚く初黒星を喫する。帰国後は帝王賞とJBCクラシックを連勝して面目躍如を果たしたものの、チャンピオンズCでは前年同様に好位からレースを進めながら4着に完敗。国内での連勝もついに止まり、さらには右後肢の靭帯を痛めて10か月近い休養を余儀なくされる。ようやく復帰した5歳初戦の日テレ盃も精彩を欠いて連敗すると、レース後には喘鳴症を患っていることが発覚し、惜しまれながら種牡馬入りの道を選択することになった。