ストーリー
現代競馬で重視されるスピード。父ディープインパクト、母スターアイル(母の父ロックオブジブラルタル)から2011年に北海道・安平町のノーザンファームで誕生したミッキーアイルは、2歳JRAレコードを生む豊かなスピードを保ち続けて3年余りの現役生活を駆け抜けた。
ミッキーアイルは2歳9月のデビュー戦で2着に敗れたが、2戦目は発馬良く単騎逃げを打って5馬身差の圧勝。ウオッカが保持していた芝1600mの2歳JRAレコードを0秒8も更新する1分32秒3を余力残しでマークし、ここから快進撃を開始する。
続いて条件戦も3馬身半差で楽勝したミッキーアイルは、明け3歳初戦のシンザン記念でモーリスらを退けて重賞初制覇を飾ると、アーリントンCもロケットスタートから3馬身半差で重賞連勝。2か月後のNHKマイルCではさすがに厳しい追撃を受けるも、追い込み勢が台頭する激流に耐えてクビ差を残し、全て逃げ切りの5連勝で3歳マイル王となった。
古馬に挑んだ安田記念は稀に見る不良馬場に持ち味を削がれて連勝が止まったが、秋初戦のスワンSでは古馬より重い斤量を負担しながら巧みに主導権を握って逃げ切り。そのスピードが現役トップクラスであることを証明する。しかし、スピードだけでは一線級の勝負に通用せず、マイルCSと阪神Cでは完敗に終わった。そうして、4歳シーズンは控える型を体得するべく試みたが、初戦の阪急杯、2戦目の高松宮記念とも好位から一歩及ばず惜敗。絶好のスタートを切った安田記念は無理に控えて大敗するなど、勝てないまま1年を終えることになった。
ミッキーアイルは試行錯誤の中で5歳を迎えたが、初戦の阪急杯で転機が訪れる。主戦の浜中俊騎手が負傷し、代わりに手綱を取った松山弘平騎手がハナに立たせると、鮮やかに逃げ切りって1年4か月ぶりの勝利。レコード決着となった高松宮記念は好位から3/4馬身差の2着、スプリンターズSは逃げてアタマ差の2着と勢いを取り戻す。浜中騎手が復帰したマイルCSでも逃げを打つと、直線の斜行で審議の対象となったものの、勝利が認められて2度目のG1制覇を果たした。
次戦の阪神Cを最後に引退して種牡馬入りしたミッキーアイルは、2020年にデビューした初年度産駒のメイケイエールがファンタジーSを2歳JRAレコード勝ちするなど、豊かなスピードは2世たちにも受け継がれている。