シーザリオ 米GI初制覇はわずか6戦目の牝馬

シーザリオ
Photo by Japan Racing Association

ストーリー

近年は海外に遠征する馬も数多くなってきたが、偉業達成には体調の維持など様々な関門を乗り越える必要がある。経験の浅い3歳馬、しかも牝馬ながらそんな関門を乗り越え、見事にアメリカンオークスを制したのが、05年の最優秀3歳牝馬・シーザリオだ。

デビューは04年12月の芝1600m新馬戦。好位につけたシーザリオは、残り200mで抜け出しまずは新馬勝ち。続く2戦目は年が明けた1月の寒竹賞で、やはり好位追走からアドマイヤフジの追撃を振り切って2連勝。デビュー2戦目の牝馬が牡馬相手の2000mで特別戦を勝ったことで、クラシック候補としての期待が一気に高まった。

3戦目のフラワーCは重賞初挑戦。しかし1勝馬中心のメンバー構成、しかも牝馬同士となればものが違うと言わんばかりの力を見せつけ、2着に2馬身半差をつける圧勝劇。無傷の3連勝で牝馬クラシック第一弾・桜花賞へと駒を進めることとなった。

この年の桜花賞は4戦3勝、重賞2勝のラインクラフト、そしてエルフィンSを制したエアメサイアが上位人気に推されていたが、シーザリオが2頭を抑えて1番人気。レースでは後方からメンバー中最速となる、上がり34秒4の脚で追い込んだものの、ラインクラフトにアタマ差及ばず2着と、初の敗戦を喫してしまう。しかし2コーナーごちゃつき、4コーナーでも前が壁になる場面があった中での好走は、この馬の評価をかえって高める結果となった。

迎えたオークスは、ラインクラフト不在(NHKマイルCに出走し優勝)もあり、単勝1.5倍の断然人気。後方に控えたシーザリオは馬群に包まれ、4コーナーで前とは差のある12番手という苦しい競馬を強いられた。しかし、直線に向くと馬群を割って抜群の末脚を繰り出し、エアメサイア、ディアデラノビアをゴール寸前で差し切って優勝。上がり3ハロン33秒3という驚異的な爆発力を発揮し、「オークス候補」が見事にその栄冠を勝ち得たのだった。

オークス制覇を成し遂げたシーザリオは、次の目標を米国・ハリウッドパークのアメリカンオークスに設定する。前年に桜花賞馬・ダンスインザムードが2着に敗れているこの一戦。4戦無敗のメリョールアインダ(ダノンゴーゴーの半姉)など地元馬に、欧州からの遠征馬も交えた強豪相手となった。

不利な大外枠を引いたシーザリオだったが、後方で揉まれた前走とは一転して3番手をキープ。前半はやや行きたがっており、3コーナーで先頭に立った際には、動くのが早すぎるように思われた。しかし、慣れない舞台、そして世界が相手でもシーザリオはけた違いに強かった。4コーナー手前で2馬身、直線入り口では3馬身、さらにゴールでは4馬身。圧倒的な走りで、日本馬によるアメリカG1初制覇、そして父内国産馬による初の海外国際G1制覇を達成したのだ。

この一戦を最後に、故障のためターフを去ったシーザリオ。その足跡はデビューから半年余り、わずか6戦に過ぎないが、間違いなく日本競馬史に名を残してゆく名牝の1頭だ。

基本情報

性別
出生年月日 2002年3月31日
毛色 青毛
スペシャルウィーク
キロフプリミエール
競走成績 6戦5勝 (中央:5戦4勝、海外:1戦1勝)
獲得賞金 2億2829万6000円
表彰歴 2005年 最優秀3歳牝馬
2005年 最優秀父内国産馬
主な勝鞍 2005年 オークス G1
2005年 アメリカンオークス G1
2005年 フラワーカップ G3
厩舎 角居勝彦(栗東)
生産者/産地 ノーザンファーム (早来町)
馬主 勝負服 キャロットファーム

競走成績

開催日 レース名 開催場 騎手 コース 着順 1(2)着馬
2005/7/3 アメリカンオークス(G1) アメリカ 福永祐一 芝2000 1 (MELHORAINDA)
2005/5/22 オークス(G1) 東京 福永祐一 芝2400 1 (エアメサイア)
2005/4/10 桜花賞(G1) 阪神 吉田稔 芝1600 2 ラインクラフト
2005/3/19 フラワーカップ(G3) 中山 福永祐一 芝1800 1 (スルーレート)
2005/1/9 寒竹賞 中山 福永祐一 芝2000 1 (アドマイヤフジ)
2004/12/25 新馬戦 阪神 福永祐一 芝1600 1 (ダンツクインビー)
名馬の子孫の活躍をJRA-VANサービスで楽しもう

関連競走馬

一覧に戻る
名馬の子孫の活躍をJRA-VANサービスで楽しもう