ストーリー
レイデオロは北海道・安平町のノーザンファームで2014年に生まれた。母はディープインパクトの姪に当たるラドラーダ、その母レディブロンド、母の父シンボリクリスエスのいずれもが藤沢和雄調教師によって育まれ、変則二冠馬の父キングカメハメハから活力を得た良血馬は、名伯楽に念願のダービー制覇をもたらした。
デビュー時から大人びたレースをする馬だった。初陣で好位の一角から馬群を捌いて抜け出すと、続く葉牡丹賞は後方2番手から中山競馬場の短い直線を豪快に追い込み、さらにホープフルSでは後方3番手から馬群の中を突き抜けて重賞初制覇。単勝1倍台の1番人気で無傷の3連勝を決め、同世代では頭ひとつ抜けた実力を示した。
ところが、クラシック候補の筆頭として迎えた3歳はソエが出て調整が遅れ、予定していた弥生賞を使えずに皐月賞へのぶっつけ本番を余儀なくされる。当時、3歳初戦で皐月賞を制した馬は過去になく、5番人気まで評価を落とすと、レースでもジンクスを破れず初黒星を喫した。
それでもダービーに向けて体調を上げ、レース史に残るパフォーマンスで栄冠をつかんでみせる。レイデオロは向正面に14番手で入ったが、C.ルメール騎手が1000m通過63秒2の超スローペースを見て一気に2番手へ進出させ、この大胆な策が奏功して快勝。藤沢師は開業30年目、出走19頭目で待望のダービー制覇を果たし、殊勲のルメール騎手はフランスからJRAに移籍2年目で早くも最大のタイトルを手にした。
秋は神戸新聞杯圧勝から臨んだジャパンCで2着に敗れたものの、年度代表馬となるキタサンブラックには先着。しかし、4歳初戦の京都記念では力み通しで終いも伸び切れず、それまでに見せたことのない姿で3着に敗れると、次戦のドバイシーマクラシックでも戦前から高いテンションのまま折り合いを欠き4着に終わった。
帰国後は立て直して秋のオールカマーで復帰し、同期の皐月賞馬アルアインを差し切って1年ぶりの白星。続く天皇賞(秋)でも中団から余力十分に抜け出す完勝で2度目のG1制覇を飾ると、有馬記念でも緩くなった馬場に脚を取られながらクビ差2着に追い込んだ。復調したかに思われたレイデオロだが、5歳は4着が最高で1勝もできないまま種牡馬入り。初年度産駒は2023年にデビューを迎える。