ストーリー
サートゥルナーリアの母シーザリオ(その父スペシャルウィーク)は現役時代に日米でG1勝ち後、繁殖牝馬としてもエピファネイア(菊花賞、ジャパンC)、リオンディーズ(朝日杯フューチュリティS)を生んだ日本競馬史に残る名牝。両馬に続き北海道・安平町のノーザンファームで2016年に誕生した弟が、大きな期待を背負うのも当然の成り行きだった。
2歳6月とデビューが早かったサートゥルナーリアだが、その直前には1歳上で同じ父ロードカナロアのアーモンドアイが二冠牝馬となり、期待値は一段と高まっていた。そして、初陣のサートゥルナーリアも好位からノーステッキの快勝。評判通りに好発進を決める。
夏場を休養に充てたサートゥルナーリアは、再始動の萩Sを新馬戦と同様に好位からほぼ馬なりで楽勝すると、3戦目のホープフルSで圧巻の走りを披露する。サートゥルナーリアは真っ先にゲートを出て2番手に収まるも、勝負所から被されたまま中山競馬場の短い直線に入る苦しい局面。しかし、残り200mからわずかにできたスペースをこじ開けて一気に1馬身半抜け出し、1度もステッキを使われることなくG1制覇を果たした。
この後、サートゥルナーリアは本来の預託先だった角居勝彦調教師の下へ転厩するとともに、C.ルメール騎手との新コンビで皐月賞へ直行することになった。テン乗りの転厩初戦で大舞台と超えるべき課題は多く、実際にレースでも初めてステッキを受ける形となったが、3頭一線の接戦をアタマ差でものにし、無傷の4連勝でクラシック制覇を達成。ダービーへ着実に前進した。
ところが、ここから少しずつ歯車が狂いはじめる。ルメール騎手の騎乗停止でダービーは乗り替わりになると、サートゥルナーリアもレース直前から急激にイレ込み、抜群のセンスを見せてきたゲートでまさかの出遅れ。伏兵ロジャーバローズが2番手から押し切る展開で痛恨の初黒星を喫してしまう。秋は神戸新聞杯を3馬身差で圧勝し、改めて実力をアピールしたものの、天皇賞(秋)ではまたしてもイレ込んで6着。東京競馬場ではなぜか同じ失敗を繰り返した。
その後、有馬記念でリスグラシューに5馬身離されながらも、同世代のワールドプレミア、1歳上のフィエールマンと2頭の菊花賞馬に先着して2着を確保。距離の融通性を確認して明け4歳の巻き返しに希望をつなぐ。しかし、初戦の金鯱賞を快勝して向かった宝塚記念は稍重の発表以上に悪化した馬場で不発。その後は左後肢の飛節や背中を相次いで痛め、回復に時間を要すことから種牡馬入りの決断が下された。