ストーリー
兄にジャパンダートダービー勝ちのクリソライト、弟に神戸新聞杯を制したリアファル、2019年の最優秀ダートホースのクリソベリルを持つマリアライト。2011年に北海道・安平町のノーザンファームでディープインパクトを父として生まれた自身も、一族の特色であるパワーとスタミナを武器に活躍した。
明け3歳のデビュー勝ちから4歳初戦まで2000m以下を主戦場にしていたマリアライトだが、4歳の2戦目で距離延長を図ると2500m、2400mと条件戦を連勝してオープン入り。すぐにマーメイドSで重賞に挑戦して2着に敗れたものの、2000mでも結果を出して地力強化を印象づけた。その後、夏休みから復帰したオールカマーでは同世代の秋華賞馬ショウナンパンドラ、オークス馬ヌーヴォレコルトがワンツーを決める中で5着に完敗したが、続くエリザベス女王杯でついにブレークスルーを果たす。
前日の雨で悪化した馬場はレース当日も回復途上で稍重。マリアライトは単勝15.2倍の6番人気と伏兵評価だったが、前で飛ばす2頭を離れた集団の中から自力で捕らえに動くと、ヌーヴォレコルトの追撃をクビ差振り切って重賞初制覇をG1で飾った。ただ、その1勝だけで評価が高まることはなく、次戦の有馬記念で真価を問われることになったが、不利な大外16番枠から1着のゴールドアクターに約1馬身差、3着のキタサンブラックとはアタマ差の4着と、12番人気を覆す大善戦で実力を証明した。
充実期を迎えたマリアライトは5歳初戦の日経賞で3着、実質的にトップタイのハンデを負担した目黒記念では2着へと前進。そして、次戦の宝塚記念はエリザベス女王杯と同様、前日の重馬場から稍重に回復する馬場状態でゲートが開いた。マリアライトは中団の後ろから捲り気味の仕掛けで直線に突入。有馬記念でわずかに及ばなかったキタサンブラックをねじ伏せると同時にドゥラメンテの追撃を封じ、牝馬として史上3頭目の宝塚記念制覇を成し遂げる。そして、1歳若いクラシックホースたちを破った価値ある勝利は、そのまま現役最後の美酒となった。
繁殖入りしたマリアライトは2018年生まれの初仔オーソクレースがデビュー2連勝からホープフルSで2着。活躍馬を多数輩出する家系の発展へ、その担い手として期待されている。