ハーツクライ
まずは初日に開催される1歳セッションですが、ハーツクライのラストクロップが6頭上場されています。
徳武氏 「この年は、1日に1頭の配合だけでなく、シーズン中盤からは1週間働いたら次の1週間は休ませるなど、彼の体調を優先させる形で配合を行ってきました。上場馬たちは、ある意味で思いの込められた産駒とも言えます。現在ハーツクライ自身は、種付けはできないもののとても元気ですし、せり会場から父に良い報告をしてもらいたいですね」
レイデオロ
昨年も高い評価を集めたレイデオロ産駒ですが、今年は1歳セッションに14頭、当歳セッションにも3頭の産駒が上場されます。
徳武氏 「自身が父キングカメハメハ×母の父シンボリクリスエスの配合とは思えないほどの軽さを有していましたが、それは産駒にも遺伝されています。特に父ディープインパクトを持つ牝馬との配合で成立する“ウインドインハーヘアのクロス”が、芝向きと言える軽さを馬体や動きに反映させたとも言えそうです。この軽さはまさに日本の芝向きであり、バランスの良さや利口な性格もまた、セールスポイントとなっていくでしょう」
ブリックスアンドモルタル
≫ 現役時代の競走成績を詳しく見る
(JRA-VAN Ver.World)
ブリックスアンドモルタルは1歳セッションに11頭、当歳セッションにも13頭が上場と、購買者にとっては選びがいのあるラインナップとなりました。
徳武氏 「昨年の当歳セッションでも高い評価を受けていましたが、丸一年経って今年の上場馬を見てもその評価は変わらないというか、むしろ尻上がりに評価を高めています。最大の長所と言えるのは、産駒のばらつきがほぼ見られないことです。しかも当歳時からの印象を変えることなく、成長を遂げてくれています。こうした特徴は、同じアメリカのストーンファームで生産されたサンデーサイレンスとも一緒であり、今年も1歳、当歳と変わらずに、産駒には取引の声が活発にかかり続けていきそうです」
ニューイヤーズデイ
≫ 現役時代の競走成績を詳しく見る
(JRA-VAN Ver.World)
北米ではMaximum Securityを送り出すなど、すでに種牡馬としての実績をあげているニューイヤーズデイは、1歳セッションに8頭、当歳セッションに5頭が上場されます。
徳武氏 「種牡馬の格としては“メジャーリーグ級のホームランバッター”で、産駒を見ていても、これは間違いないと思えるほどに、造りのしっかりとした馬が多く見られます。重心が低いぶん、重たく感じるかもしれませんが、筋肉量も豊富で、前向きさも伝えられています。北米のダートで頂点を極めた産駒がいるのも納得がいくところです。父系は芝で優れた産駒実績を残している種牡馬の名前もあるだけに、母系が強く出た脚長の産駒たちが、芝で大活躍しても不思議ではありません」
スワーヴリチャード
1歳セッションには5頭、当歳セッションには1頭が上場されているスワーヴリチャードには、ハーツクライの後継種牡馬としての期待もかけられています。
徳武氏 「ハーツクライ産駒の中では首も太く、骨格もしっかりとしているなどパワフルさが目立っています。だからこそ、父の産駒が得意とするクラシックディスタンスだけでなく、この馬格から生み出すスピードを武器として、芝の中距離やマイルでも結果を残してきたのでしょう。上場馬も、父が兼ね備えている武器を配合面でさらに強化してきた印象があるだけに、購買者の方だけでなく、これをお読みの皆様も母系の血統をチェックして、適鞍がどこにあるのか思い描いてもらいたいです」」
注記:当コンテンツの取材は、2022年6月7日に行っております。
ライタープロフィール
北海道在住の“馬産地ライター”として、豊富な取材をもとに各種競馬雑誌で活躍中。