ストーリー
一つのミスが結果に直結するスプリント戦を主戦場にして、生涯3着以内を守ったロードカナロア。ダービー馬キングカメハメハを父に、中央5勝のレディブラッサム(その父ストームキャット)を母に、北海道・新ひだか町のケイアイファームで2008年に誕生した鹿毛の仔馬は、日本競馬史を代表するスプリンターへと成長していった。
ロードカナロアは2010年12月、小倉競馬場でデビュー戦を飾った。2戦目は1600mのジュニアCで惜敗し、それ以降はスプリント戦に専念すると、3歳秋には重賞初挑戦の京阪杯を快勝。明け4歳のシルクロードSまで5連勝し、G1初挑戦の高松宮記念を1番人気で迎える。しかし、新装した中京競馬場の一戦では1枠1番の好枠からレースを進めたものの僚馬カレンチャンに敗れ、生涯唯一の3着。その後も函館スプリントS、セントウルSと惜敗を続けた。
次戦のスプリンターズSは高松宮記念と対照的に大外の16番枠。2番人気に評価を落としたが、1番人気のカレンチャンを差し切りレコードでG1初制覇を飾ると、続く香港スプリントでは日本調教馬として初制覇の快挙を成し遂げる。それまでに日本のG1ホースたちが跳ね返され続け、世界のG1でも屈指の難関と考えられてきたレースを制す歴史的快挙により、瞬く間にワールドクラスのスプリンターへと飛翔した。
4歳秋に完成したロードカナロアの翌年はまさに無敵と化した。春は前年に苦杯を舐めた高松宮記念でスプリンターズSに続くレコード勝ち。その後は秋に備えて休養というプランもあったが、安田記念で2年5か月ぶりの1マイルに挑んで価値ある勝利を手にした。あらためて夏休みに入ったロードカナロアは秋初戦のセントウルSで単勝1.4倍の圧倒的な支持を受けるも、2年連続でまさかの2着に敗れてしまう。
それでも、負ければ引退の可能性も含んでいたスプリンターズSを盤石の内容で連覇すると、香港スプリントもレース史上最大の5馬身差で連覇。最高の形で引退の花道を飾った。G1レース4勝のロードカナロアは前年から2年連続でJRA賞最優秀短距離馬を受賞するとともに、短距離馬としては1998年のタイキシャトル以来となる年度代表馬に輝いた。
種牡馬入りしたロードカナロアは、初年度から産駒初の重賞勝ち馬となったアーモンドアイが、その後にJRA史上最多のG1レース9勝を達成。ダノンスマッシュは香港スプリントで父子制覇を果たすなど早々に大成功を収め、2018年には顕彰馬に選出されている。