ストーリー
日本競馬史に燦然と輝く芝G1レース9勝の最多記録を打ち立てたアーモンドアイ。エルグランセニョールとトライマイベストの兄弟ら多数の活躍馬を輩出する世界的牝系の血を汲み、エリザベス女王杯の優勝馬でもあるフサイチパンドラ(その父サンデーサイレンス)を母に、最強スプリンターのロードカナロアを父にノーザンファームで生まれた。
アーモンドアイのキャリアは黒星から始まったが、2戦目には馬なりで勝ち上がると、3戦目の明け3歳はシンザン記念で重賞初制覇。4戦目の桜花賞以降は引退レースまでG1レースに出走し続けた。桜花賞後はオークス、秋華賞を制して牝馬三冠を達成。これだけで後世に語られる偉業のはずだが、単なる通過点と錯覚させるように勝ち鞍を積み上げていく。
三冠達成後のアーモンドアイは次戦に牝馬限定のエリザベス女王杯ではなくジャパンCを選択すると、初対戦の古馬たちに胸を借りるどころか好位抜け出しの横綱相撲で快勝。2400mを競馬史上最速の2分20秒6で駆け抜けて世界の注目を集める存在となった。
その期待に応えるように、アーモンドアイは4歳初戦でドバイターフに遠征し、初の海外遠征をものともせず完勝。しかし、ダメージを受けやすい体質的な課題も具体化し、秋の目標としていた凱旋門賞は断念することとなる。さらに帰国初戦の安田記念では発馬直後の不利もあってか連勝がストップ。天皇賞(秋)で鮮やかに巻き返す一方、続く香港C遠征を熱発で取りやめ、急きょ参戦した有馬記念では生涯最悪の9着と波に乗れない1年を送った。
5歳シーズンは、連覇を狙ったドバイターフが新型コロナウイルスのパンデミックによって現地入り後に中止。出鼻を挫かれるも、帰国後のヴィクトリアマイルでは久々の牝馬限定戦で力の違いを見せつけ、JRA記録の芝G1レース7勝に並ぶ。自己最短の中2週で臨んだ安田記念はマイル路線の新星グランアレグリアに完敗したものの、秋は天皇賞を連覇。ついに芝G1レース8勝のJRA新記録を樹立した。
そして、次戦のジャパンCでは無敗の牡馬三冠を達成したコントレイル、牝馬三冠のデアリングタクトとの三冠馬対決が実現。究極の3強決戦を1馬身1/4差で制し、鮮やかに9度目のG1制覇を飾って現役に別れを告げた。