ストーリー
2年連続の年度代表馬に輝いた父シンボリクリスエス、日米オークス馬の母シーザリオ(母の父スペシャルウィーク)の間に2010年、北海道・安平町のノーザンファームで生まれたエピファネイア。強烈なパフォーマンスでG1レースを2勝し、良血馬の成長を見守るファンたちに競馬の醍醐味を届けた。
その血統から評判を呼んでいたエピファネイアは、素質馬がデビューする日として知られる菊花賞と同日の新馬戦で初陣を迎えた。直前には熱発のアクシデントに見舞われていたが、上がり33秒5の末脚で3馬身突き抜けて楽勝。華々しくキャリアを歩み出すと、暮れのラジオNIKKEI杯2歳Sでライバル関係となるキズナらを抑えて無傷の3連勝とし、クラシック戦線の先頭に立って明け3歳を迎える。
ところが、1番人気の弥生賞では4着で初黒星を喫し、皐月賞では初めて2番人気に評価を落とすと、2歳王者ロゴタイプにねじ伏せられて2着に敗れる。さらに、ダービーは2度の対戦で抑えていたキズナに1番人気を奪われ、ロゴタイプに続く3番人気にまで下がった。前の馬と脚を接触する道中のアクシデントもあり、ゴール前の二、三完歩でキズナに差し込まれて2着。春は無冠に終わった。
その後、キズナはフランス遠征へ、ロゴタイプは中距離路線へ進む一方、エピファネイアは秋初戦の神戸新聞杯を快勝して菊花賞へ駒を進めた。ライバル不在となった一戦では単勝1.6倍の圧倒的支持を集め、先行策から5馬身抜け出す横綱相撲で圧勝。最後の一冠でクラシック母子制覇を成し遂げた。
3000mの菊花賞で能力を発揮したエピファネイアだが、休養を経た4歳は香港遠征や天皇賞(秋)など2000mで3連敗。ジャパンCでようやく2400mまで距離を延ばした。3連覇を狙うジェンティルドンナや世界ランキング1位のジャスタウェイら強豪ぞろいの中で4番人気だったが、直線は独走となる4馬身差の圧巻の勝利で2度目のG1制覇を果たす。しかし、これが最後の勝利となり、5歳のドバイWC遠征後に左前脚の繋靭帯炎を発症して現役から退いた。
種牡馬入りしたエピファネイアは初年度産駒から三冠牝馬デアリングタクトを輩出。2世代目のエフフォーリアも皐月賞を制し、種牡馬として好スタートを切った。