セレクトセールで落札されて、今年の上半期に大舞台で活躍した馬たちを、セールの時のエピソードや、デビューからの歩みなどを交えて紹介します。
2022年京王杯スプリングカップ
幾多のGIを勝利したディープインパクト産駒の中でも、芝の短距離戦に特化した活躍を見せていたのがミッキーアイルである。
セレクトセール2012の1歳セッションにて7600万円で落札されたミッキーアイルは、初勝利をあげた2歳未勝利で、芝1600mのJRAレコード(2歳)を樹立。そこからの5連勝でNHKマイルカップを優勝しただけでなく、5歳時にマイルチャンピオンシップでも逃げ切り勝ちをおさめている。
その父を彷彿とさせるような活躍を見せているのが、ミッキーアイルの初年度産駒として、セレクトセール2019の1歳セッションに上場されたメイケイエールだ。
3代母にシラユキヒメ、近親にはGI・3勝馬のソダシもいる白毛馬の一族であるが、メイケイエールの毛色は父と同じ鹿毛に出た。この時のセールにて2600万円で落札されたメイケイエールは、その後の育成調教においても、運動神経の良さが高く評価されていく。
メイクデビュー小倉(芝1200m)、重賞初勝利をあげた小倉2歳Sに続き、デビュー3戦目のファンタジーSでは、父と同じように芝1400mのJRAレコード(2歳)を記録して重賞2勝目をあげる。
ただ、この頃からレースでの折り合いに苦労するところが出てきて、阪神ジュベナイルフィリーズは4着に敗退。3歳初戦のチューリップ賞では地力の高さもあり、1着同着という形で勝利をあげるも、桜花賞では直線で余力を失い18着に大敗。その後は芝のスプリント路線に戦いの場を移すも、折り合いの難しさは解消されず、勝ちきれないレースが続いた。
だが、調教で我慢を教え込んだことが実を結んだのか、4歳初戦のシルクロードSを勝利。続く高松宮記念は5着に敗れたが、芝1400mの京王杯スプリングカップでは行きたがるそぶりこそ見せたものの、2021年のスプリンターズSからコンビを組んできた池添謙一騎手が何とかなだめて、重賞5勝目をあげた。
この後は秋のスプリンターズSが最大目標になるが、精神面での成長を見せてきた今、2年続けてこのレースに敗れた父の無念を晴らす時が近づいてきている。
注記:金額は、全て税抜金額
注記:2022年6月15日時点での情報を基に作成
ライタープロフィール
北海道在住の“馬産地ライター”として、豊富な取材をもとに各種競馬雑誌で活躍中。