ストーリー
父ステイゴールド、母オリエンタルアート(その父メジロマックイーン)の下、2008年に社台コーポレーション白老ファームで生まれたオルフェーヴル。4歳上の全兄ドリームジャーニーは2歳王者かつ春秋グランプリ制覇の名馬だが、弟はクラシック三冠や凱旋門賞2年連続2着、さらには数々の“武勇伝”で偉大な兄を超える強烈な記憶を残した。
オルフェーヴルは2歳夏の新馬戦を快勝するも、入線後に鞍上を振り落として放馬。記念すべき口取り撮影が中止となるハプニングを巻き起こした。その後は粗削りなレースぶりで勝ちきれないレースが続き、2勝目を挙げたのは皐月賞前哨戦のスプリングS。東日本大震災の影響により東京競馬場での開催となった皐月賞も勝利すると、続く日本ダービーでは不良馬場をモノともせず二冠を手にする。
同世代に敵なしとなったオルフェーヴルは、菊花賞も完勝を収めて史上7頭目の牡馬クラシック三冠を達成。ゴール後に暴走して騎手を振り落とすハプニングはあったが、勢いそのままに年末の有馬記念も制して6連勝を達成し、堂々の年度代表馬に輝いた。
凱旋門賞制覇を掲げた明け4歳では、起伏の激しい1年を送る。初戦の阪神大賞典では序盤から行きたがり、2周目の第3コーナーで外ラチ方向へ逸走。その後に猛然と追い上げて勝ち馬に迫る大立ち回りを演じ、天皇賞(春)は後方で折り合いに専念するも惨敗を喫する。その一方で、宝塚記念では馬群から突き抜ける圧巻の勝利を収めるなど、期待と不安を抱えてフランス遠征へ出ることになった。
地元の名手スミヨン騎手を背に前哨戦フォワ賞を快勝したオルフェーヴルは、本番の凱旋門賞でも後方追走から直線で大外を豪快に突き抜ける。しかし、勝負ありの形勢から急減速で地元馬ソレミアにゴール直前で差されるまさかの結末。帰国後は短い調整間隔を押してジャパンCに出走したが、ジェンティルドンナとの一騎打ちで惜しくも競り負けた。
5歳も現役を続けたオルフェーヴルは、大阪杯での完勝から宝塚記念を目指すも肺出血で直前に回避するアクシデントが発生。幸い軽症だったため秋は再び渡仏し、フォワ賞を連覇するも、凱旋門賞ではトレヴの豪脚に屈して再び2着に終わる。それでも、帰国後の有馬記念を引退レースに据えると、主戦の池添騎手を背にうっ憤を晴らすかのような8馬身差での圧勝。異次元の強さをファンの目に焼き付けて有終の美を飾った。
種牡馬入りしたオルフェーヴルは、初年度産駒からラッキーライラックとエポカドーロがG1ホースになるなど活躍を見せている。