ストーリー
ディープインパクトの初年度産駒にして、2頭目のG1ホースとなったリアルインパクト。2008年に北海道・安平町のノーザンファームで母トキオリアリティー(母の父メドウレイク)から生まれた牡馬は、前人未到の境地に挑む開拓者となった。
2歳10月末の新馬戦で単勝1.3倍の圧倒的人気に推されたリアルインパクトは、3番手追走から3馬身差抜け出す完ぺきな立ち回りでキャリアをスタートさせた。しかし、次戦の京王杯2歳Sと朝日杯フューチュリティSではグランプリボスの2着と惜敗が続く。明け3歳には滞在先の宮城県・山元トレーニングセンターで東日本大震災に遭い、調整が遅れて復帰戦のニュージーランドTは11着に大敗。続くNHKマイルCではまたしてもグランプリボスの後塵を拝して3着に終わった。
この後、リアルインパクトは安田記念で古馬への挑戦を選択し、ゲートを決めて3番手追走から直線の坂で先頭に顔をのぞかせると、厩舎の先輩ストロングリターンの追撃をクビ差しのいで大金星。3歳馬としてグレード制導入後初となる安田記念制覇と同時に、1勝馬による初の古馬混合G1勝ちという快挙を成し遂げる。積極策で勝利に導いた当時の戸崎圭太騎手は南関東の大井競馬所属で、これが中央G1初制覇となった。
ところが、リアルインパクトは秋初戦の毎日王冠でクビ差2着と力を見せたものの、次第に成績を落として2年半も勝てない日々が続く。そして、5歳も終えようかという暮れの阪神CでR.ムーア騎手を鞍上に迎えると、初めて打った逃げが決まってようやくトンネルを脱出する。それを機に翌春は未経験の1200mに挑戦するも結果を出せず、次の白星を手にするのも阪神Cとなった。
明けて7歳も現役を続けたリアルインパクトは最後のチャレンジに出る。2015年当時はまだ日本に浸透していなかった豪州の秋開催(日本では春)へ遠征。初戦のジョージライダーSを際どく逃げ切って安田記念以来となるG1制覇を果たすと、次戦のドンカスターマイルでも2着に好走し、日本調教馬に新たな道筋を示す大きな成果を挙げた。
種牡馬入り後は2016年から2018年まで豪州にシャトル派遣されたのをはじめ、初年度産駒からラウダシオンがNHKマイルCを制覇。豪州でも重賞勝ち馬を輩出している。