ストーリー
G1レースを7勝した無敗の三冠馬ディープインパクトを父に、アルゼンチンでG1レース3勝のマルペンサを母(その父オーペン)に生まれた超良血馬サトノダイヤモンド。北海道・安平町のノーザンファームで2013年に生まれた“十冠ベビー”には、生後約半年のセレクトセールで2億4150万円の破格値がついた。
デビュー前から既に話題を集めていたサトノダイヤモンドの競走生活は初陣も華やかなものとなる。2歳11月の新馬戦には自身を上回る2億5200万円で取り引きされたロイカバードも出走し、総額約5億円の良血馬による一騎打ちの図式。サトノダイヤモンドは2番手キープからロイカバードにノーステッキで2馬身半差をつけ、古馬のような風格を漂わせながら悠然とゴールを駆け抜けた。
年末に2勝目をあげたサトノダイヤモンドは明け3歳初戦をきさらぎ賞で迎え、ロイカバードらを再び寄せつけずに単勝1.2倍の圧倒的人気に応える。無傷の3連勝で駒を進めた2か月後の皐月賞は、1番人気のサトノダイヤモンドに2歳王者リオンディーズ、自身と同じく3戦無敗のマカヒキによる3強対決で盛り上がった。
レースは最終コーナーで先頭のリオンディーズを目標にサトノダイヤモンドが直線で接近を図ったものの、伏兵ディーマジェスティとマカヒキに相次いでかわされ3着で初黒星を喫する。続くダービーではディーマジェスティにこそ先着したものの、マカヒキとの追いくらべにわずか8センチ及ばずハナ差の2着。レース後には左後肢の落鉄が見つかった。
不運もあって春は無冠に終わったサトノダイヤモンドだが、秋は神戸新聞杯勝ちから菊花賞に駒を進めると、フランス遠征でマカヒキも不在の一戦を2馬身半差の完勝。晴れてクラシックホースとなる。さらに年度代表馬に輝くキタサンブラックを有馬記念で際どく差し切りG1連勝。自身は最優秀3歳牡馬に選出され、サトノダイヤモンド時代の到来を予感させてシーズンを締めくくった。
阪神大賞典で始動した4歳は単勝1.1倍の圧倒的人気に応えて重賞4連勝。続く天皇賞(春)はキタサンブラックとサトノダイヤモンドの2頭に人気が集中した。しかし、サトノダイヤモンドは現役最強を賭けた決戦でレコード駆けのキタサンブラックに敗れると、秋のフランス遠征も精彩を欠いた。復活を期した5歳も京都大賞典を1勝しただけに終わり、種牡馬入りするため現役を退いた。