ストーリー
2013年に北海道・安平町のノーザンファームで父ディープインパクト、母ハルーワスウィート(母の父マキャヴェリアン)から生まれたヴィブロス。4歳上の全姉ヴィルシーナ、1歳上の半兄シュヴァルグランと三きょうだいG1制覇を達成し、とりわけ海外では水を得た魚のように活躍した。
ヴィブロスは2歳秋のデビュー2戦目で勝ち上がった。2戦とも2番手からとレースセンスをうかがわせる一方、未勝利戦を勝ち上がった際は408kgと馬体が小さく、3か月余りの休養を挟んで3戦目のチューリップ賞は逃げて12着に大敗。2週後のフラワーCは初の関東遠征で406kgまで馬体を減らした。レースも序盤のポジショニングで後方に追いやられて再び12着に沈み、クラシック出走は断念せざるを得なかった。
それでも、立て直して夏に2勝目を挙げると、関東へ2度目の輸送となった紫苑Sでは体重もキープし、フラワーCと同様に後方からのレースとなりながらも、今度は2着に食い込んで秋華賞の優先出走権を獲得。小柄な馬体はそのままに、春から心身の充実を印象づけて臨んだ本番はゴール前の鋭い差し脚で快勝し、G1で重賞初制覇を飾り右肩上がりに3歳シーズンを締めくくった。
デビューから着実に成長の階段を上るヴィブロスは、古馬になると新たな境地を切り開いていった。10kg増の馬体で中山記念から始動した4歳の2017年は、2戦目で予定通りドバイターフへ遠征。朝の大雨が夜には強風を呼ぶ悪条件の中でのレースとなったが、後方から馬群を捌いて末脚を炸裂させ、世界の強豪たちを鮮やかに差し切って2度目のG1制覇を飾る。3着のリブチェスターは英国に帰国後、欧州のマイルG1で5戦連続連対(3勝)する強豪。そしてヴィブロスは勝利の価値を自ら証明していく。
ヴィブロスはドバイターフ後に国内で5戦、海外で3戦するが、国内では帰国初戦の府中牝馬Sでの2着、G1は宝塚記念での4着が最高に終わった。その一方で海外の水が合ったのか、翌2018年のドバイターフは2016年の覇者リアルスティール、2017年の秋華賞馬ディアドラと、自身と同じタイトルホルダーを抑えて2着。暮れには香港マイルに挑戦し、当時の世界最強マイラー・ビューティージェネレーションの2着と結果を出し続けた。
そして、香港マイルから3か月半後のドバイターフを引退戦に据えると、アーモンドアイの2着で3年連続の連対。海外では1度も連対をはずすことなく花道を飾った。