ストーリー
ロゴタイプの父は世界的良血を買われて種牡馬入りしたローエングリンで、母ステレオタイプ(母父サンデーサイレンス)の仔として、2010年に北海道千歳の社台ファームで誕生。8歳まで現役を続けた父はG1レースを18戦しながら無冠に終わったが、息子は早くから素質を開花させてクラシック戦線の主役を担い、紆余曲折のキャリアを歩みながらG1レースを3勝した。
ロゴタイプは2歳6月の函館で新馬勝ち後に札幌2歳Sまで3連敗となったが、ひと息入れて仕切り直すと見違えるように成長した姿で勝ち進む。ベゴニア賞では東京競馬場の2歳レコードで快勝。そこから中1週で挑んだ朝日杯FSは単勝34.5倍の7番人気という伏兵評価だったが、1.3倍の圧倒的人気を集めていたコディーノをねじ伏せ、中山競馬場の2歳タイレコードをマークして2歳王者に輝いた。
明け3歳は初戦のスプリングSを1番人気で完勝し、さらに1番人気の主役評価で迎えた皐月賞もエピファネイアとの接戦に半馬身差で勝利。今度はコースレコードを叩き出し、2歳王者としては1994年の三冠馬ナリタブライアン以来となる皐月賞制覇を成し遂げた。4連勝と破竹の勢いのロゴタイプだったが、ダービーでは距離を不安視されてか2番人気に(1番人気はキズナ)。そして、その不安が現実のものとなって5着に敗れると、快進撃が夢だったかのような長いトンネルに迷い込んだ。
ダービー後は札幌記念から再スタートを図るも5着、さらにレース当日の重馬場の影響を受けてか、翌春の中山記念まで休養を余儀なくされた。復帰後も時おり上位争いするものの勝てない状態が続き、5歳初戦となったG3中山金杯では当時まだ重賞未勝利だったラブリーデイに敗れて2着。ダートの根岸Sに参戦するなど暗中模索の状態に陥っていたが、安田記念の大舞台でついにトンネルを抜ける。
マイル王モーリスを従えて逃げたロゴタイプは、外に持ち出された王者を尻目に内ラチ一杯に粘り込み、皐月賞から実に3年2か月ぶりの白星で3度目のG1制覇を飾った。これがロゴタイプにとって最後の勝利となったが、翌7歳の安田記念でもあと一完歩で連覇という激走を披露。ハイペースの逃げからクビ差惜敗の内容は、ファンから勝者に勝るとも劣らぬ賞賛を受けた。
その一戦で引退したロゴタイプは、2018年に役目を終えた父ローエングリンからバトンを引き継ぐように種牡馬入り。初年度産駒は2021年にデビューしている。