競馬予想・競馬情報トップ > 記事一覧 > 競馬初心者のための予想方法、ポイントまとめ
競馬のレース観戦には“予想”が不可欠。どの馬が有力なのか、伏兵はいるのか、逆転があるとしたらどんなシチュエーションか、どのようなレース展開になるのか……。そうした予想を踏まえたうえでレースを観るほうが、確実に楽しさは増します。
もちろん馬券を購入する際にも、自分自身の予想をベースとして、買う馬・買う組み合わせ・購入金額などを決めることになります。
ひとくちに競馬の予想といっても、その方法はさまざま。多種多様なデータを参考にしたり、当日の馬体をじっくりと観察して調子を見極めたり、あるいは直感に頼ったり。
あなたに向いているのは、どの予想方法でしょうか?
競走馬やレースに関する各種のデータを収集・分析して予想するという方法は、競馬ファンの間でもっとも一般的なスタイルです。
競走馬に関するデータは、実に多種多彩。各馬のこれまでの実績、過去に記録したタイム、距離ごと・競馬場ごとの成績、血統、調教での走りっぷりと調教タイム、どんなローテーションで今回のレースに臨むのか、レース当日の馬体重……。あらゆる情報が予想に役立てられることになります。
レースに関連したデータも重要です。たとえば2010年〜2019年の日本ダービー勝ち馬は、前走で皐月賞に出走していた馬が8頭、京都新聞杯に出走していた馬が2頭。それ以外のステップで勝った馬はいません。ほかにも、内枠に入った馬の成績がいいコース、最後の直線が短いので逃げ切りが増えるコースなど、競馬場ごと・コースごとの特性もあります。
こうしたレース傾向・コース傾向も予想の参考にされるデータです。
競馬新聞、あるいはスポーツ新聞の競馬面では、競馬のプロである「トラックマン(美浦・栗東の競走馬トレーニングセンターで取材をする競馬専門の記者)」が、自身の予想を披露しています。また新聞に掲載される出馬表には、◎〇▲など、その馬の有力度を示す予想印が打たれます。これらを参考に予想する競馬ファンも、かなりの数にのぼります。
競走馬は、芝向きの馬、ダート向きの馬、長距離が得意な馬、短距離が得意な馬と、さまざまなタイプに分かれます。こうしたタイプの違いは馬体にも表れると考えられていて、たとえば「胴が長いので長距離向きだ」などと言われています。
また競走馬は、いつも万全の状態でレースに出走できるとは限りません。しっかりと仕上げられているのか、まだ良化している途上なのか、調子を落としていないかなど、馬のコンディションも馬体、毛ヅヤ、歩き方などに表れると言われています。
こうした様子を観察できるのが、レース前に出走馬が周回するパドック(下見所)。ここで各馬の馬体や歩き方などを確認し、予想につなげる人たちは「パドック派」と呼ばれています。
出馬表や競馬関係の出版物には勝ち馬を示すサインが隠されている。世の中の出来事と競馬の結果は連動している。そんなオカルト的な思考をもとに予想する人たちも存在します。たとえば「〇〇〇ウィナーという馬名の2頭に挟まれた5番が怪しい」「今日はプロ野球選手がゲストとして競馬場に来る。背番号と同じ馬番が勝つのではないか」「今年の漢字は『金』だと発表された。ならば金に関係した名前の馬を買おう」など、何らかのサインを無理やり読み取って馬券につなげるわけです。
ほかにも、直感に頼る、自分の誕生日・ラッキーナンバー・当日の日付をもとに買う馬を決める、可愛らしい馬名の馬を追いかけ続けるなど、予想方法は人それぞれ。自分が楽しいと感じるスタイルを追求することが、競馬を楽しむコツではないでしょうか。
もちろん、その予想が当たれば言うことはありません。
競走馬やレースに関する各種のデータをもとに、勝ち馬や好走しそうな馬を探す。「データ予想」は、競馬ファンの間でとてもベーシックな予想スタイルです。ここでは“データ派”の競馬ファンが、どのようなデータを予想ファクター(要素)として利用しているのか見てみましょう。
各競走馬がこれまで出走したレースで残してきた成績は、データ予想において最も重要な情報です。最近の3戦で2着、3着、2着と好走している馬と、連続して10着以下に敗れている馬では、当然、前者が有力だと考えられるはずです。
競馬では、全レース・全馬の走破タイムが計測されています。1200m戦を1分7秒5のタイムで駆け抜けたことがある馬と、何度走っても1分9秒台のタイムしか記録できない馬では、どちらが有力でしょうか。こうした走破タイムもデータ派にとっては重要な検討材料となります。
中央競馬では芝コースとダートコース、さらに障害コースでレースが行われ、レースの距離は最短が1000m、最長は3600m(平地・芝の場合。障害戦は最長4250m)となっています。芝向きの馬かダート向きか、得意とする距離はどのあたりか、といった要素も予想のために必要となるデータです。
中央競馬は全国10か所の競馬場で開催されており、うち3つ(東京、新潟、中京)は左回り、残り7つは右回りでレースが行われます。また競馬場によって1周の距離、コーナーの形、直線の長さ(最終コーナーからゴールまでの距離)、コースの幅、起伏、芝コースで用いられている芝の種類などに違いがあります。競走馬の中には、左回りが得意な馬、小回りの競馬場が苦手な馬、直線の長いコースで力を発揮する馬などがいて、こうしたコース適性も考慮して予想する必要があります。
競走馬の能力は血統の影響を大きく受けると言われています。単純に「この種牡馬(しゅぼば)の子は成績がいい」というだけでなく、距離適性、芝向きかダート向きか、気性、競り合った時の根性、成長スピードといった個性も、血統から推測することが可能です。
競馬では騎手の手腕が結果を左右することもたびたびあります。単に勝率や連対率だけでなく、今回と同じコースでの成績、馬との相性なども考慮すべき材料です。
厩舎(調教師)についても、近走の成績、得意としている競馬場や季節、休み明けでも力を出せる仕上がりにしてくるかどうかなど、予想において考えるべき要素は数多くあります。また競馬新聞には調教師や厩務員が出走馬について語った「厩舎コメント」が掲載されます。このコメントから自信のほどや馬の調子、レースでの作戦などを読み取ることができます。
競走馬は日頃、美浦(茨城県)または栗東(滋賀県)にあるトレーニングセンターで調教を積んでいます。調教での走りっぷりと調教タイムも予想の参考にすることができます。
一般的に競走馬は月1回程度のペースでレースに出走しますが、体調不安や故障、リフレッシュなどのため数か月〜1年以上休養する馬、逆に2週続けて出走(連闘)する馬もいます。また前走がダートの短距離戦、今回は芝の長距離戦など、まったく異なる条件のレースに臨むケースもあります。
どんな間隔やステップで今回のレースに挑むのか、調子落ちはないか、久々でも能力を出せる仕上がりかなど、臨戦過程も重要な予想ファクターです。
競走馬の体重は調子と成長度のバロメーター。前走より大きく馬体重が増えているのは成長なのか、それとも調教が十分ではなく“重め残り”になっているのか、逆に馬体重が減っているのはオーバートレーニングが原因か、競馬場への輸送で消耗したのではないか、それともビッシリと仕上げられた証拠なのか……。馬体重の変動は、その馬が能力を出せるかどうかを推察するための材料となります。
また競馬では、競走馬が背負う負担重量(騎手の体重+鞍などの馬具の重量や重りの合計。斤量とも言います)がレースごと・馬ごとに細かく決められています。だいたいは54〜57kgですが、50kg以下の軽量、あるいは58kg以上で競馬に臨むこともあります。負担重量の差はレース結果に影響を及ぼし、「1kg違えば1馬身違う」などとも言われています。
2009年〜2018年の10年間、有馬記念では1番人気の馬が5勝・2着3回・3着1回の好成績をあげているのに対し、天皇賞(春)では1番人気が1勝・2着1回、残りの8回は4着以下に敗れています。このように極端な傾向を示すレースもあり、それに合わせて予想も変えなければなりません。
芝・ダートとも天候によって馬場コンディションは変動します。芝ではよく乾いた良馬場ならタイムが速くなり、雨で湿った重馬場や不良馬場ではパワーを要求されることになります。ダートは逆で、乾いた良馬場ではパワーが必要となりますが、雨で湿った馬場は「脚ぬきがいい」と表現され、速いタイムが出やすくなります。予想では、良馬場が得意な馬、重馬場や不良馬場の「道悪(みちわる)」が得意な馬などを考慮することになります。
先頭でレースを進めたい逃げ馬、その直後で流れに乗りたい先行馬、中団でチャンスをうかがう差し馬、後方に待機して直線での逆転を狙う追い込み馬。競走馬にはそれぞれ得意とする脚質(戦法)があります。逃げ馬が1頭しかいないレースでは、その馬がスローペースを作り出して最後まで粘ってしまうかもしれません。逆に逃げ馬が多く揃うとハイペースになり、前半に力を温存する差し・追い込み馬が有利と言われます。
枠順も大きな要素。内枠に入った馬は先手を取りやすいうえ、ロスなくレースを進めることが可能。半面、馬群(ばぐん)の中に閉じ込められるリスクがあります。外枠に入った馬は馬群の外を回らされることになりがちですが、内の馬たちの様子を観察しながらレースを進められるなどメリットもあります。
こうした脚質、メンバー構成、枠順、展開なども予想に生かされます。
出走馬の過去の成績を見る際、単純に着順の良し悪しだけで強さを判断することはできません。どんな馬と戦ってきたか、相手関係も重要です。弱い馬に大差をつけて勝ってきた馬と、強い馬と戦って惜敗した馬、どちらが今回のレースで有力なのか、各レースのメンバー構成まで考慮する必要があります。
また前走では不得意な距離のレースに臨んだ馬が、今回、得意な距離で成績をアップさせるかもしれません。前走は長期休養明けで仕上がりがいまひとつ、“ひと叩き”された今回はコンディション上昇、ということもあります。こうした“変わり身”にも気をつけるべきです。
各馬の走破タイムにも要注意です。コース、馬場状態、レース展開によってタイムの出やすさは異なるため、単純にタイムだけを見比べて「こちらの馬の方が速い」と判断するのは早計です。調教タイムも同様。調教コースによってタイムは異なりますし、調教タイムの良さが結果に結びつく馬もいれば、タイムが平凡でも実戦でしっかりと走る馬もいます。
意識したいのは「タテとヨコの比較」。出走馬の成績をチェックする場合、着順が良かった時の距離やコース、その時マークしたタイムの価値、乗っていた騎手、馬体重、ローテーション、調教の様子などを調べ、「では今回、どれくらいの走りを期待できるか」と考えるのがタテの比較。その推測をもとに「Aの馬とBの馬、どちらが有力か」と検討するのがヨコの比較です。
データの取捨選択も重要です。競馬の予想に使えるデータはあまりに多く、すべてを分析・比較・検討するのは困難。レースの性質や出走メンバーの顔触れに応じて「このデータを重視しよう」とメリハリをつけることも大切になります。
レースが終わってから「勝った馬は、以前、今回と同じ距離で圧勝したことがあった」「このコースは内枠の逃げ馬が有利。その通りの結果になった」などと気づくことが、よくあります。こうしたデータをあらかじめ入手して分析・検討できていれば、予想の精度も高まったことでしょう。競馬はデータが命、なのです。
JRA-VANなら、全レース・全出走馬の成績やタイム、騎手成績・厩舎成績などを確認することが可能です。多種多彩なデータをパソコン用ソフトに読み込ませてコースごとの傾向を集計・分析したり、スマートフォン用アプリで各馬の過去成績をチェックしたりなど、簡単かつ効率的に「タテとヨコの比較」を実践できます。
いかにしてデータを有効活用するか。それが予想を正解へと導く、最大のポイントです。
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