競馬予想・競馬情報トップ > 記事一覧 > 初めてネットで馬券を購入する方へ
「競馬は現地観戦が一番!」。競馬ファンのみなさんの多くは、そう思っていることでしょう。しかし実際は、中央競馬の売上のうち約7割(新型コロナウイルス流行前)はインターネット投票によるものです。時間がない、遠い、などといった理由で競馬場に行けなくても、その場ですぐに馬券を購入できるインターネット投票が多くのファンに利用されているのです。ここでは、そのインターネット投票(以下「ネット投票」)にはどんな種類があるのかを説明します。
※対応銀行、カード等の情報はいずれも2020年9月9日現在。
馬券の購入代金の支払いは? 払戻金を受け取るには? ネット投票を経験したことのない方にとって一番の疑問といえば、やはり「どうやってお金の受け渡しをするのか」ということでしょう。
ネット投票は、馬券の購入資金や払戻金を銀行口座を介してJRAとやり取りする仕組みになっています。そのため初めてネット投票を行う前には、JRAネット投票の会員になり、利用する銀行口座を登録する必要があります。
JRAのネット投票会員は、その銀行口座の登録方法などによって「即PAT」「A-PAT」という2つの種類があり、ほかにクレジットカードを利用する「JRAダイレクト」もあわせ計3種類で構成されています。それぞれにどのような特徴があるのかをここで説明しますので、自分の利用方法に適したものを選んで申し込むと良いでしょう。
即PATは「ネット投票をしたい!」と思い立ったすぐその日から、会員になって投票できるのが大きな特長です。
即PATで利用できる銀行は、都市銀行のうちの4行のほか、ゆうちょ銀行、そして一部のネット銀行となっています。これらの銀行のいずれかの口座さえ持っていれば、インターネットから会員登録を行い、馬券を購入できるのです。
馬券の購入は、パソコン、スマホ、そしてケータイ(ネット)から。後述の「A-PAT」とは違い、発売時間中にも入出金を行えるという利便性も魅力です。また、中央競馬の全レースのほか、一部の地方競馬や海外競馬の馬券を購入することもできます。A-PATは、JRAが指定した銀行に「A-PAT専用の新規口座」を開設して投票を行う仕組みです。
先に説明した即PATは申し込んだ当日から投票を行えるなど、まさに「即」が特長と言えるものでしたが、地方銀行の口座や、都市銀行でもみずほ銀行の口座は利用できませんでした。
しかしこのA-PATは、そのみずほ銀行を含む都市銀行4行に対応しており、いずれも郵送で専用口座を開設できます。また、地方銀行も4行が利用可能です(店頭口座開設)。
また、即PATにはない特長として、ネット投票に加えてプッシュホン投票を行えることが挙げられます。ネット投票は非常に便利なものですが、インターネットに接続できなければなにもできなくなってしまいます。しかしA-PAT会員であれば、たとえスマホが「圏外」でもプッシュ信号の出る電話機(固定電話、公衆電話)さえあれば投票できるのです。
一方で、A-PAT専用の特殊な口座になるため、既存の口座を流用できないほか、利用開始までは約2か月から4か月を要します。また、通常の開催日程(土日)であれば金曜のうちに入金しなければならず、出金できるようになるのも月曜または火曜となります(銀行によって異なります)。
ほかに即PATとの違いとして、投票の受付開始が土曜の朝になることや(即PATは金曜夜)、地方競馬や海外競馬の購入可能レース数が少なくなるといったことが挙げられます。
JRAダイレクトは、決済に銀行口座を利用する即PATやA-PATとは違い、クレジットカードを利用する方法です。ネット投票はパソコンにのみ対応しており、スマホやケータイによる投票はサポート外という点も、即PATやA-PATとの大きな違いになります。一方、会員登録をしたその日から投票できる点は、即PATと同様です。
JRAダイレクトでは、JRAが指定したクレジットカードが利用可能です。また、各カード会社のインターネットサービスに登録できることや、カード名義と代金支払い口座の名義が一致していること、そして家族カードや法人カード、一部提携カードは除くといった条件があります。
馬券の購入にあたっては1回あたり100円のシステム利用料が必要なほか、購入回数は1日3回まで、1回の投票は1000円以上100円単位、1か月の利用限度額は5万円まで、といった制限があります。ほかに、地方競馬や海外競馬のレースを購入することもできません。
このように、即PATやA-PATに比べると購入機会が限られるJRAダイレクトですが、事前の入金が不要であることに加え、利用する銀行を問われないという利点もあります。 自宅や勤務先の近くに即PATやA-PATに対応した銀行がないと、入出金のたびにATM手数料や振込手数料がかかってしまうため、結果的にJRAダイレクトのシステム利用料1回100円のほうが安くなることもあるでしょう。加えて「買うのは中央競馬の重賞など1日数レース(3回)以内」「金額は1回の投票で1000円以上、ひと月では5万円以内」「投票はパソコンで」といった条件がすべて揃うようであれば、即PATよりJRAダイレクトを利用したほうが良さそうです。
会員の種類 | 即PAT | A-PAT | JRAダイレクト |
---|---|---|---|
利用開始まで | 登録当日 | 約2〜4か月 | 登録当日 |
決済口座等 | JRA指定の 普通口座 |
JRA指定の 専用口座 |
JRA指定の クレジットカード |
投票方法 | ネット投票 | ネット、 プッシュホン |
ネット投票 (PCのみ) |
システム利用料 | なし | なし | 100円(税込)/回 |
最低購入金額 | 100円/回 | 100円/回 | 1000円/回 |
購入回数上限(※) | 900回/節 (2020/9/11〜) |
900回/節 | 3回/日 |
利用限度額 | なし | なし | 50000円/月 |
地方・海外競馬 発売 |
平日を含む JRA発売全日 |
主にJRA開催日 | 発売なし |
※「節」は連続する馬券発売日を意味し、中央競馬では通常、土日の2日間で1節になります
詳細や最新の情報はJRAホームページ内「https://www.jra.go.jp/dento/welcome/」でご確認ください
このように、JRAのネット投票会員は「即PAT」「A-PAT」「JRAダイレクト」の3種類があり、それぞれに特徴がありました。「ネット投票をしたい!」と思ってこのページをご覧になった方なら、すぐにでも使いはじめたいはず。A-PATは利用開始まで時間を要してしまいますので、選択肢は即PATかJRAダイレクトの2つになります。
この2つのうち、即PATは利用できる銀行こそ限られるものの、JRAダイレクトに比べ投票にまつわる制限が圧倒的に少ないのが特長です。対応する銀行の口座を既に持っていたり、新規の口座開設が容易だったりする場合は、即PATが断然のオススメです。
また、それぞれに魅力を感じ、どうにも決めかねているという方も、まずは即PATに登録してみましょう。なぜなら、3種類から1つだけを選ぶ必要はなく、3種類すべての会員になることもできるからです。ひとまず即PATの会員になってネット投票を体験した上で、どうしてもプッシュホン投票がしたければA-PATに、入出金の頻度などからカード決済のほうが安く済むならJRAダイレクトにといったように、自分の購入方法や環境に適したものに追加で会員登録をすれば良いのです。
JRA-VANのネット投票連携機能で馬券を購入することが可能です。PCソフトのJRA-VAN NEXT(ネクスト)、スマートフォンアプリ、様々な競馬ソフトがあるJRA-VAN DataLab.(データラボ)、手軽に予想を楽しめるJRA-VAN TRYなどでネット投票連携機能を利用することができます。
1970年、埼玉県生まれ。タブロイド紙のレース部、競馬データベース会社を経て、現在はフリーの競馬ライター。JRA-VAN DataLab.に対応した競馬ソフトを活用した原稿も数多く執筆している。