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第1443回 夏の2歳未勝利戦を考える

2020/8/3(月)

今年は6月6日から2歳戦がスタートし、7月26日までに61頭がデビュー戦を勝利で飾った。しかし、新馬勝ちを挙げられるのは同着がなければ1レースにつき1頭のみ。既に670頭が新馬戦で初黒星を喫しており、その大半は2戦目以降の未勝利戦で初勝利を目指すことになる。その2歳未勝利戦ではどんな馬が活躍しやすいのか、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用して分析したい。集計期間は2010年から19年の6〜8月とした。

■表1 2010〜19年の6〜8月に2歳未勝利戦で初勝利を挙げた主な馬

馬名 初勝利 着順推移 後の中央平地G1連対
年月日 距離
ホエールキャプチャ 2010/7/17 函館 芝1200m 2→1着 ヴィクトリアM1着など
アイムユアーズ 2011/7/9 函館 芝1200m 3→1着 阪神JF2着
ストレイトガール 2011/8/27 札幌 芝1200m 11→1着 ヴィクトリアM連覇など
クロフネサプライズ 2012/8/25 小倉 芝1200m 4→1着 阪神JF2着
シングウィズジョイ 2014/7/27 中京 芝1600m 2→1着 エリザベス女王杯2着
クロコスミア 2015/7/25 函館 芝1800m 5→3→1着 エリザベス女王杯2着3回
ウインファビラス 2015/7/26 福島 芝1800m 3→1着 阪神JF2着
レインボーライン 2015/8/30 札幌 芝1800m 2→2→1着 天皇賞(春)1着など
アンジュデジール 2016/7/31 札幌 芝1200m 2→1着 JBCレディスクラシック1着
サングレーザー 2016/8/28 札幌 芝1800m 3→1着 天皇賞(秋)2着
アドマイヤジャスタ 2018/7/22 中京 芝1600m 2→1着 ホープフルS2着
ケイデンスコール 2018/7/29 新潟 芝1600m 2→1着 NHKマイルC2着
マルターズディオサ 2019/8/31 新潟 芝1600m 2→1着 阪神JF2着

2011/8/27 札幌2R 2歳未勝利 1着 5番 ストレイトガール

まず、この時期の2歳未勝利戦で初勝利を挙げ、後に中央競馬の平地G1で連対を果たした馬を見ておきたい。その筆頭格は、2015年、16年のヴィクトリアMを連覇、そして2015年のスプリンターズSも制しG1・3勝を挙げたストレイトガールだ。新馬戦は札幌芝1500mで11着。4コーナー手前で早くも争覇圏外という内容だったが、一度使われたことと距離短縮で一変し、2戦目では好位から鮮やかな差し切り勝ちを決めた。なお、表に挙げた馬以外にも、中山大障害(J・G1)勝ちのマーベラスカイザー、同2着のタイセイドリームといった馬がこの時期の2歳未勝利戦で初勝利を挙げていた。

■表2 前走クラス、キャリア別成績

前走クラス・キャリア 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
新馬 435-450-428-4008/5321 8.2% 16.6% 24.7% 72% 81%
未勝利 196-181-200-1769/2346 8.4% 16.1% 24.6% 70% 78%
OPEN 2-2-3-20/27 7.4% 14.8% 25.9% 22% 66%
初出走 1-0-1-42/44 2.3% 2.3% 4.5% 124% 30%
1戦 434-450-429-4022/5335 8.1% 16.6% 24.6% 71% 81%
2戦 153-130-150-1361/1794 8.5% 15.8% 24.1% 64% 77%
3戦 35-44-40-331/450 7.8% 17.6% 26.4% 68% 82%
4戦 10-9-12-66/97 10.3% 19.6% 32.0% 199% 104%
5戦 1-0-0-14/15 6.7% 6.7% 6.7% 61% 14%
6戦 0-0-0-3/3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

※除外・取消のレースも1戦と数える

表2は、集計期間内の2歳未勝利戦における前走クラス別とキャリア別成績。Target frontier JVでは除外・取消のレースもキャリアにカウントしているため、この表もそれに沿ったものになっている。キャリア別で他を圧倒する434勝を挙げているのが1戦馬だが、好走確率や単複の回収率はキャリア2、3戦馬と比較してそれほど目立つものではない。一方、該当馬こそ少ないものの好走確率、回収率ともに高いのがキャリア4戦馬だ。2歳夏のまだまだ体ができあがっていない馬ばかりの中、デビューから2〜3カ月の間に5度目の出走を迎えられるだけでも立派なものだが、それに成績も伴っていると言えるだろう。

■表3 キャリア4戦での優勝馬

月日 馬名 人気 前走 2走前 3走前 4走前(新馬)
2011 8/21 シルクティソナ 4 6着 3着 7着 4着
2012 8/25 ユキカゼ 2 5着 4着 5着 8着
モグモグパクパク 2 2着 8着 2着 6着
2013 8/3 デサフィナード 1 4着 4着 5着 8着
8/11 コスモドーム 2 6着 3着 2着 4着
2017 8/19 ディバインブリーズ 1 2着 2着 2着 3着
8/20 タイセイソニック 1 2着 3着 3着 4着
2018 8/19 ラバストーン 9 4着 11着 8着 10着
8/25 プロトイチバンボシ 3 8着 3着 7着 12着
2019 8/25 シゲルミズガメザ 5 3着 7着 7着 6着

2012/8/25 新潟1R 2歳未勝利 1着 1番 モグモグパクパク

そのキャリア4戦馬のうち、5戦目に初勝利を挙げた馬が表3の10頭である。全馬が一度は4着以内に入っていたが、6着以下に敗れた経験がなかった馬はディバインブリーズとタイセイソニックの2頭のみ。また、10頭中6頭は前走4着以下と、「次は勝てそう」という馬ばかりではなかったことがわかる。前走着順だけで軽視してしまうのは禁物だ。

■表4 馬体重増減別成績

期間・クラス キャリア 馬体重 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
2010〜19年・未勝利 1戦 今回減 193-231-205-2036/2665 7.2% 15.9% 23.6% 72% 83%
同体重 70-80-78-612/840 8.3% 17.9% 27.1% 68% 80%
今回増 171-139-146-1373/1829 9.3% 16.9% 24.9% 72% 78%
2戦以上 今回減 80-72-83-740/975 8.2% 15.6% 24.1% 63% 77%
同体重 36-36-45-294/411 8.8% 17.5% 28.5% 71% 84%
今回増 83-75-74-741/973 8.5% 16.2% 23.8% 78% 77%
参考:1990〜99年・新馬 1戦 今回減 142-147-128-864/1281 11.1% 22.6% 32.6% 64% 70%
同体重 53-68-56-313/490 10.8% 24.7% 36.1% 51% 75%
今回増 108-71-90-489/758 14.2% 23.6% 35.5% 107% 82%

※前走が出走取消・除外の場合は2走前の馬体重と比較

続いて前走からの馬体重増減別成績を調べると、連対率や複勝率が高いのはキャリア1戦馬、2戦以上の馬ともに前走と同体重で出走した馬だった(キャリア1戦馬の勝率のみ「今回増」がトップ)。使われつつ絞れてきたとか、筋肉量の増加にともなって体重も増えてきたとか、なにか変化があると報じられている馬に注目してしまいがちだが、馬体重の前走比だけで言えば、変わらないのが一番、ということになる。
参考までに、同一開催内であれば新馬戦に複数回出走できるルールだった時代から1990〜99年の10年間についても調べてみたが、キャリア1戦馬の連対率、複勝率トップは「同体重」、そして勝率トップは「今回増」と、今と変わらない結果になった。

■表5 前走着順別成績

前走クラス 前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
新馬 2着 147-106-73-195/521 28.2% 48.6% 62.6% 60% 80%
3着 89-99-63-271/522 17.0% 36.0% 48.1% 77% 78%
4着 60-60-74-315/509 11.8% 23.6% 38.1% 96% 76%
5着 49-49-48-363/509 9.6% 19.3% 28.7% 78% 80%
2〜5着 345-314-258-1144/2061 16.7% 32.0% 44.5% 77% 79%
6〜9着 69-101-126-1520/1816 3.8% 9.4% 16.3% 68% 86%
10着〜 20-35-43-1338/1436 1.4% 3.8% 6.8% 70% 79%
未勝利 2着 65-56-44-122/287 22.6% 42.2% 57.5% 57% 80%
3着 47-35-35-156/273 17.2% 30.0% 42.9% 91% 79%
4着 19-28-26-176/249 7.6% 18.9% 29.3% 128% 87%
5着 20-17-19-189/245 8.2% 15.1% 22.9% 70% 70%
2〜5着 151-136-124-643/1054 14.3% 27.2% 39.0% 85% 79%
6〜9着 34-37-54-637/762 4.5% 9.3% 16.4% 76% 82%
10着〜 10-8-20-484/522 1.9% 3.4% 7.3% 29% 64%

※除外・取消を挟む馬を除く

前走の着順別では、やはり上位に入っていた馬のほうが好走確率は高く、特に新馬戦で2着だった馬は複勝率62.6%にもなる。また、前走が新馬戦だった馬と未勝利戦だった馬を比較すると、前走で5着以内なら新馬戦組のほうが好走確率は高く、6着以下なら新馬戦組、未勝利戦組で大きな差はみられない。優勝馬の半数以上を前走新馬戦2〜5着馬が占めていることもあり、表2〜3のキャリア4戦馬を除けば、新馬戦で好走してきた馬を狙うのが妥当だろう。

■表6 競馬場、距離別成績(前走比)

競馬場、距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
前走と同競馬場 259- 288- 264-2415/3226 8.0% 17.0% 25.1% 73% 86%
他場から転戦 254- 224- 241-1996/2715 9.4% 17.6% 26.5% 67% 75%
前走から距離延長 106- 101- 111-1261/1579 6.7% 13.1% 20.1% 57% 69%
前走と同距離 311- 296- 272-2189/3068 10.1% 19.8% 28.7% 80% 84%
前走から距離短縮 96- 115- 122- 961/1294 7.4% 16.3% 25.7% 64% 90%

※前走、当該レースともに芝のレースに出走した馬のみ

最後に、前走と今回の出走競馬場と距離の違いについて調べたのが表6である(前走、今回とも芝のレースに出走した馬のみ)。競馬場については、好走確率が高いのは他場からの転戦馬だが、単複の回収率は同競馬場で連戦した馬のほうが高いという結果が出た。ただ極端に大きな差はないだけに、競馬場に関してはさほど気にしなくても良さそうだ。
注目したいのは距離の変化で、前走と同距離だった馬が勝率10.1%、複勝率28.7%と他を一歩リードしている。同距離組に次いで出走数の多い距離延長組は複勝率で8ポイント以上の差をつけられ、単複の回収率も低いため割引が必要だ。

以上、6〜8月の2歳未勝利戦についていくつかデータを調べてみた。前走と同体重で出走した馬の好走確率が高いのはやや予想外だったが(表4)、それ以上にキャリア4戦馬の好成績には驚かされた(表2、3)。該当馬の少ないところが難点だが、それでもこれから8月末にかけて今年も買う機会はありそうなだけに、その出走を見逃さないようにしたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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