競馬予想・競馬情報トップ > 記事一覧 > 枠連とは? 出走馬を8つの『枠』に分ける馬券=枠連の特徴を紹介
馬券の一種である枠連は、出走馬が9頭以上のレースで発売されます。その際、下のように出走馬を計8つの『枠』にくくって考えることになっています。1枠から8枠までありますが、あくまで概念であり、スターティングゲートに『枠』ごとの仕切りが設けられているわけではありません。
9頭〜15頭立て | 8枠から順に内へ向かって2頭の枠を作っていく |
---|---|
16頭立て | 2頭ずつ1つの枠に入る |
17頭立て | 1〜7枠は2頭ずつ+8枠だけ3頭 |
18頭立て | 1〜6枠は2頭ずつ+7枠と8枠は3頭ずつ |
また『枠』ごとに色が決められていて(1枠・白/2枠・黒/3枠・赤/4枠・青/5枠・黄/6枠・緑/7枠・橙/8枠・桃)、ジョッキーはその色のヘルメットを被ることになっています。出走取消や競走除外などがあっても“詰める”ことはせず、出馬表が確定した段階での『枠』がそのまま適用されます。
この『枠』を用いて発売されるのが枠連です。上の出馬表でオルフェーヴルとディープインパクトの組み合わせを買いたい場合、馬連では7−11となりますが、枠連では、12頭立ての図なら6−8、18頭立ての図なら4−6となります。
ちなみに、上記18頭立ての4枠に入ったオルフェーヴルとブエナビスタは、どちらも馬主がサンデーレーシングです。ジョッキーが着用する勝負服は馬主ごとに決められているため、オルフェーヴルとブエナビスタは「同じ勝負服、ヘルメット(帽子)の色はどちらも青」となり、見分けにくいという問題が生じます。
そこで、同じ馬主の馬が同じ枠に入った際、馬番の大きい方の馬に乗る騎手は、2色(枠本来の色+白。ただし1枠の場合は白+水色)の“染め分け帽”を被ることになっています。
今回の場合、オルフェーヴルの騎手は通常の青、ブエナビスタに乗る騎手は「青+白+青+白」という4分割の染め分け帽を着用します。なお同じ馬主の馬が同じ枠に3頭入った場合、2頭目の馬は4分割タイプ、3頭目は8分割タイプとなります。
前述したオルフェーヴルとディープインパクトの馬連7−11は、1着オルフェーヴル/2着ディープインパクト、または1着ディープインパクト/2着オルフェーヴルの場合が的中です。しかし18頭立ての枠連4−6は、さらに多くのケースが的中となります。
1着オルフェーヴル/2着ディープインパクト | (馬連でいえば7−11) |
1着ディープインパクト/2着オルフェーヴル | (馬連同上) |
1着オルフェーヴル/2着ゼンノロブロイ | (馬連でいえば7−12) |
1着ゼンノロブロイ/2着オルフェーヴル | (馬連同上) |
1着ブエナビスタ/2着ディープインパクト | (馬連でいえば8−11) |
1着ディープインパクト/2着ブエナビスタ | (馬連同上) |
1着ブエナビスタ/2着ゼンノロブロイ | (馬連でいえば8−12) |
1着ゼンノロブロイ/2着ブエナビスタ | (馬連同上) |
オルフェーヴルと同じ4枠に入ったブエナビスタや、ディープインパクトと同じ6枠に入ったゼンノロブロイも馬券の対象となるわけです。なお1〜2着がオルフェーヴルとブエナビスタの場合は枠連4−4が的中、1〜2着がディープインパクトとゼンノロブロイの場合は枠連6−6が的中となります。
このように、枠連には「狙ったつもりのない馬が活躍して的中する可能性」があり、これが枠連最大のメリットといえます。同枠の馬によって的中することは“代用”といわれています。また上述の例でいうと、馬連7−11、7−12、8−11、8−12の4点を、枠連なら4−6の1点でカバー。買い目を減らすことが可能となります。
ちなみに18頭立ての場合、馬連の全買い目(1−2から17−18)は153点ですが、枠連は1−1から8−8まで、計36点となります。
枠連で注意すべき点は、出走取消/競走除外があった場合の扱いです。もしオルフェーヴルが出走取消/競走除外となった場合、馬連ならオルフェーヴル絡みの馬券はすべて返還となります。しかし4枠にはまだブエナビスタが残っているため、4枠絡みの枠連は返還とはならないのです(ただし4−4だけは返還されます)。
1頭だけ実力が抜けている大本命が取消/除外となった場合、その馬から買ったはずの枠連は、一気に的中確率が下がってしまうことでしょう。
また馬連と比べて的中となるケースが多い枠連は、配当も馬連より低くなりがちです。2020年の平均配当(9頭立て以上)は、馬連の5944.9円に対して枠連は2256.3円でした。
ある枠に入った2〜3頭がどれも買いたい馬の場合、馬連ではなく枠連を買うことで買い目を少なく抑えることが可能となります。逆に「同じ枠に入ったもう1頭は絶対に来ない!」と自信を持てるのなら、馬連にすべきかも知れません。
オッズの比較も大切。オルフェーヴルとディープインパクトの馬連7−11のオッズが5倍、枠連4−6は4倍、などとオッズ差が小さいケースなら、ブエナビスタやゼンノロブロイが馬券に絡む可能性も考慮して枠連を買う手があります。逆に馬連7−11が10倍、枠連4−6は2倍などオッズの差が大きい場合は、馬連を買いたい人が多いはずです。
1991年に馬連が導入されるまで、馬券の主流は枠連でした。近年では、馬連の方が配当が高いことや、有力馬が取消/除外になっても返還されない枠連特有のリスクなどから、馬連を買う人が増えています。しかし枠連には枠連のメリットがあり、枠連に向いたレースがあることも確かです。
枠連で買うかどうか。それを判断するためには、出走各馬の実力を正確に見極めることと、枠連と馬連のオッズの比較が重要となってきます。これらの情報とデータをリアルタイムに取得できるのがJRA-VAN。上手にデータを活用して、枠連と馬連を使い分けたいものです。
『優駿』、JRAレーシングプログラム、JRAホームページ、競馬専門誌などの掲載記事や、競馬シミュレーションゲーム・競馬データの解説書などを多数手がけるほか、企業取材など他ジャンルも執筆する。