競馬予想・競馬情報トップ > 記事一覧 > 競馬ファンの夢! 万馬券を獲るためのポイントは?
「万馬券」とは、購入金額100円あたりの払戻金が1万円以上になった馬券のことです。
中央競馬で発表される払戻金は「100円がいくらになるか」を示しています。たとえば払戻金が「馬連1-2 12,300円」なら、馬連1-2の購入金額100円につき1万2300円を受け取れます。このように100円あたり1万円以上=100倍以上になった馬券のことを俗に「万馬券」と呼ぶのです。またレース前の段階では、オッズが100倍以上の買い目のことも「万馬券」と呼びます。
あくまで「100円あたり」1万円以上ですから、たとえば払戻金2000円(=20倍)の馬券を500円的中して1万円の払戻を受けたとしても、それは「万馬券」ではありません。
万馬券を的中させるために必要なことは、まず万馬券を買うことです。
なにを当たり前のことを……と思われるかもしれませんが、「万馬券を獲りたいけれど獲ったことがない」という方に話を聞いてみると、そもそも「万馬券をほとんど買ったことがない」という方もおられるのです。まず、万馬券を買うことや馬券がハズレることを恐れないこと、それが万馬券的中への第一歩です。
初心者の方が、万馬券をあまり買おうとしないのはなぜでしょうか。それは「なかなか当たらないから」。逆に言えば「低配当の組み合わせのほうが当たりやすいから」です。
競馬のオッズは、馬券を買うファンが「当たりやすい」と考え、多くの投票を集めた組み合わせほど低配当になり、「まず当たらない」と考えられた組み合わせほど高配当になります。実際の結果を調べても、オッズが低ければ低いほど的中する確率は高くなるものです。
また、オッズは競馬新聞などに掲載されている専門家の予想印のつき具合ともおおむね連動するため、初心者の方が新聞を見て「当たりそう!」と思うような組み合わせは低配当になってしまいます。そして、たとえ低配当でもハズレるよりは当たったほうが良いと考えるものですから、結果として「万馬券は獲りたいけれど、その万馬券をめったに買わない」という事態に陥ってしまうのです。
では、万馬券を当てるにはどうしたら良いのでしょうか。まずは先にも触れたように、ハズレを恐れず万馬券を買うこと。2つ3つの不安材料を抱える馬でも、ひとつの好材料があればそれを評価して狙ってみる、といったことが挙げられます。
そしてもう1つ大切なポイントがあります。それは「万馬券が出やすい式別」を買うことです。
式別 | 単勝 | 馬連 | 馬単 | 3連複 | 3連単 |
---|---|---|---|---|---|
万馬券出現率 | 1.0% | 12.7% | 24.2% | 36.2% | 76.9% |
2020年の中央競馬ではのべ3465頭が勝利を挙げましたが、このうち単勝100倍以上のいわゆる「単勝万馬券」だった馬は35頭だけ。おおむね100レースに1回しか単勝万馬券は出現しないのです。万馬券が出ないのですから、的中のしようもありません。
一方、3連単では全体の4分の3以上のレースで万馬券が出現していました。しかし、3連単の組み合わせは1レースあたり最大4896通り(18頭立ての場合)もあり、その大半が万馬券ですから、この中から的中する組み合わせを見つけるのは困難を極めます。
そこで「一度は万馬券を獲ってみたい」という方には、馬単(18頭立てで306通り)や3連複(同816通り)で、万馬券としては的中しやすい100倍から200倍あたりの買い目をオススメします。まずまずの出現率があることに加え、3連単に比べれば買い目を少なめに抑えられるためです(詳しくは後述します)。
みなさんが最初に「万馬券を獲りたい!」と思ったきっかけはなんだったでしょうか。「え? 万馬券って100円が1万円になっちゃうの!?」。競馬をはじめたばかりのころ、こんなふうに思った方も多いでしょう。
万馬券の一番の魅力は、やはり投資金額に対する払戻金の多さです。たとえば「100円を1万円まで増やしたい」と思ったとき、低配当ばかりでは100円が500円、500円が2500円、2500円が1万円……、などと数レースを要します。しかし、万馬券を的中できればたったの1レースで100円を1万円以上に増やせるのです。
果たしてどちらが簡単かといえば「どちらも難しい」という結論になりますが、万馬券はこの「1レースで」というのがポイントです。メインレースしか予想する時間がなかったり、買う時間がなかったりするような日。あるいは馬券成績が思わしくなく最終レースで一発逆転を狙うしかないような日にも、1レースあれば100円を1万円、あるいはそれ以上にもできるのが万馬券の魅力です。
ほかに、的中したときの満足感が大きいという「気持ち」の部分も無視できません。万馬券を獲ったときの高揚感、爽快感は何ものにもかえがたいものがあります。また、4倍や5倍の馬券を3回続けて的中したことよりも、万馬券をひとつ的中したことのほうが、後々まで記憶に残っていくことでしょう。
ひとつ注意したいのは「万馬券を当てること」と「馬券収支がプラスになること」は、必ずしもイコールではないことです。100円が1万円以上にもなる馬券を当てておいて、マイナスになることなんてあるのか。そう思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、万馬券にはワナがあるのです。
それは、競馬は決して「万馬券を当てたら終わり」ではないということです。たとえば午前中のうちに万馬券を的中しても、その後のレースをすべて外してしまえば1日のトータルではマイナスという事態もあり得ます。その日はプラスで終えることができたとしても、翌日や翌週の競馬で負け続けてしまえば、よほどの大万馬券でも的中していないかぎりすぐにマイナス収支へと転落してしまうでしょう。
特に「万馬券が当たったから」と、その後のレースで万馬券ばかりをたくさん買うようになってしまうと、そんなワナにはまりがちなもの。買い目を増やせば購入金額も増えるため、少額の資金で多くの払戻金を得られるという万馬券の魅力を自ら削ぐことになってしまいます。万馬券を当てたからといって、気が大きくなりすぎないようにすること、調子に乗らないようにすることが重要です。
ちなみに、2020年の中央競馬全レースで100.0倍〜199.9倍の馬券をすべて買った場合、馬単の回収率は77.7%、3連複の回収率は77.6%でした。100.0倍〜199.9倍になった馬券をひとつの抜けもなく的中し続けたとしてもマイナスという結果です。200倍以上も含めた「万馬券すべて」では、さらに回収率は低下します。
万馬券になる組み合わせを数多く買えば的中する確率こそ上がりますが購入金額も増え、トータルでは「万馬券は当たったけれど、収支はマイナスだった」ということになってしまうのです。
下の表は、2020年の中央競馬全レースにおける主な式別の配当分布です(同着により的中数が2点になる場合もあるため、式別ごとの合計は100%を超えます)。
式別 | 〜9990円 | 〜19990円 | 〜29990円 | 30000円〜 |
---|---|---|---|---|
単勝 | 99.0% | 0.8% | 0.1% | 0.1% |
馬連 | 87.4% | 6.5% | 2.9% | 3.3% |
馬単 | 75.8% | 11.7% | 4.3% | 8.2% |
3連複 | 64.0% | 14.6% | 6.3% | 15.3% |
3連単 | 23.2% | 16.6% | 11.3% | 49.3% |
難易度の高さはでは3連単が群を抜いており、3万円以上の高配当が半数近くありました。ただ、万馬券としては手ごろな部類に入る1万円台の配当も16.6%と、各式別の中ではトップです。先に「一度は万馬券を獲ってみたい」という方には馬単や3連複がオススメとしましたが、この数字を見ると3連単こそ狙いではないか、とも思えます。
しかし前述の通り、3連単で問題となるのは組み合わせ数が非常に多いことです。「万馬券にならない組み合わせ」なら他の式別より少ないレースもありますが、「万馬券」となればその組み合わせ数は膨大です。
万馬券の中では低配当といえる「100.0〜199.9倍」にかぎっても、馬単では1レース平均21.1点、3連複では26.8点で収まったのに対し、3連単では33.4点が該当しました。
つまり「100倍台の馬券を数点買った」「100倍台で決着した」という2条件が揃ったとき、それでもハズレてしまう確率が高いのが3連単で、それよりは多少的中に近いのが馬単や3連複ということになります。
このことから、1レースあたり数十点を買える馬券資金を確保した上で、収支は度外視して「とにかく万馬券を当てにいく」という買い方ができる方であれば、オススメは3連単になります。しかしそのような買い方は現実的ではありません。
そこで買い目の数を抑えつつ、万馬券的中の希望も持ちやすいのが馬単や3連複なのです。もちろん、レースごとに「馬単だけ」「3連複だけ」などと絞る必要はありません。単勝や馬連など当たりやすい式別をメインにしつつ、馬単や3連複の万馬券を数点加えるといった買い方でも良いでしょう。
「万馬券」というと単勝オッズ1倍台のような断然人気馬がいるレースで、その馬が馬券圏外に消えたときに出る、というイメージがあります。実際にその通りなのか、馬単や3連複が100倍台、および1000倍以上で決着したレースにおける1番人気馬の単勝オッズ分布を調べてみました。
1番人気馬 単勝オッズ | 全レース | 払戻金 10,000〜19,990円 | 払戻金 100,000円以上 | ||
---|---|---|---|---|---|
馬単 | 3連複 | 馬単 | 3連複 | ||
1.0〜1.4 | 3.2% | 3.0% | 2.0% | 1.5% | 1.3% |
1.5〜1.9 | 17.9% | 12.3% | 15.0% | 13.8% | 6.9% |
2.0〜2.9 | 44.1% | 38.8% | 37.2% | 50.8% | 39.6% |
3.0〜3.9 | 26.8% | 34.3% | 34.4% | 26.2% | 38.4% |
4.0〜4.9 | 7.3% | 10.1% | 11.1% | 7.7% | 12.6% |
5.0〜6.9 | 0.6% | 1.5% | 0.4% | 0.0% | 1.3% |
2020年の全レースでは、1番人気馬のうち20%以上が単勝1倍台の支持を受けていました。では、馬単や3連複が100倍台で決着したレースではどうでしょう。1番人気馬が単勝1倍台だったのは全体の15〜17%ほど。全レースに比べ、むしろその占有率は低くなっています。
10万馬券以上で決着したレースでもこれは同様です。超高額配当が飛び出すようなレースでは、1番人気馬だけではなく他の上位人気馬も軒並み馬券圏外に敗退しているため、1番人気馬が断然人気であろうとなかろうとあまり関係ないのです。
また、2020年の全レースで単勝1倍台の馬は勝率46.8%、連対率69.2%、3着内率81.5%と、馬単なら約7割、3連複なら約8割が馬券に絡んでいました。そもそも「単勝1倍台の馬がいるレース」に限定した時点で全体の8割近くが購入対象外になり、そこからさらに「断然人気馬が馬券圏外に敗れそうなレース」を探していたら、万馬券を狙えるレースがほとんどなくなってしまいます。
以上のことから、万馬券を当てたいと思ったときでも、わざわざ「消えそうな断然人気馬」がいるレースを探す必要はありません。もちろん断然人気馬が消えて万馬券になるレースもありますが、そのパターンにこだわりすぎると万馬券を手にする機会をみすみす逃すことになります。1番人気馬のオッズはあまり気にせずに、万馬券を狙っていくのが良いでしょう。
ここまで、万馬券にまつわるいくつかのデータを紹介してきました。これらのデータはすべて、JRA-VAN DataLab.に対応した競馬情報データ分析ソフト「TARGET frontier JV」を用いて集計したものです。
今回は万馬券としては比較的的中しやすい100倍〜200倍あたりのデータを中心に紹介しましたが、「万馬券を的中する」という目標をクリアできた暁には、この「TARGET frontier JV」を使って5万馬券や10万馬券を研究してみてはいかがでしょうか。
また「TARGET frontier JV」のほか、パソコン用の競馬情報ツール「JRA-VAN NEXT(ネクスト)」、そして「JRA-VANスマートフォンアプリ」では、レース当日に最新のオッズを参照しながら投票を行えます。
レースを予想しているときには70〜80倍くらいだった組み合わせが、終わってみれば万馬券だったというケースもありますから、最新のオッズを見て馬券を買うことも万馬券的中には重要なポイントです。これらJRA-VANの各サービスを活用して、念願の万馬券的中を目指しましょう!
1970年、埼玉県生まれ。タブロイド紙のレース部、競馬データベース会社を経て、現在はフリーの競馬ライター。JRA-VAN DataLab.に対応した競馬ソフトを活用した原稿も数多く執筆している。