ストーリー
父クロフネ、母アステリックス(母の父ネオユニヴァース)から北海道・安平町のノーザンファームで2014年に誕生したアエロリット。従兄にミッキーアイル、曾祖母でつながる近親にはラッキーライラックがいる活力あふれる血をバックボーンに、底力を問われる東京競馬場で抜群の堅実性を発揮した。
アエロリットは2歳6月に東京競馬場の芝1400mという、キャリアを通じて“庭”としていく舞台で初陣を飾った。2戦目以降は3戦連続で2着を続けたが、その間に明け3歳初戦のフェアリーS、クイーンCと重賞で賞金加算に成功。桜花賞のゲートには無事にたどりついた。しかし、レースではデビュー戦から見せてきたスタートセンスを発揮できずに初めて連対を外す。課題としていた右回りの対応でも後れを取った。
次戦のアエロリットはオークスではなくNHKマイルCを選択すると、桜花賞とは一転のロケットスタートから直線の坂で抜け出す盤石のレース運び。2014年の覇者で従兄のミッキーアイルと同様にNHKマイルCでG1初制覇を飾る。さらに、夏のクイーンSでは大逃げで古馬たちを幻惑。ラチを頼りに課題のコーナリングもクリアし、右回りでは唯一となる勝利を挙げて重賞連勝とした。しかし、直行した秋華賞では道悪という新たな課題に直面し、2番手から逃げ馬を捕らえることもできず1番人気を裏切る結果となった。
4歳のアエロリットは秋華賞から18kg増と成長した馬体で初戦の中山記念に臨み、クビ差の2着にまとめてヴィクトリアマイルへ向かった。NHKマイルCと同舞台で牝馬同士と勝機は十分だったが、あいにくの稍重馬場に踏ん張り切れず4着に終わる。それでも、続く安田記念ではクビ差の2着と勝利に迫り、秋も始動戦の毎日王冠を逃げ切って3度目の重賞勝ちと、良馬場でしっかり巻き返して実力をアピールした。
その後、右回りのマイルCSで12着し、5歳初戦のアメリカのペガサスWCターフ遠征は道悪で9着に惨敗。帰国後のヴィクトリアマイルも5着に敗れて前年の雪辱を逃し、東京競馬場の良馬場で初の着外に終わった。そうした中でも1000m通過56秒1という猛烈なペースで飛ばし、JRAレコードでの決着を演出して存在感を示すと、続く安田記念では2年連続のクビ差に泣いたものの2着を確保。秋も毎日王冠2着、天皇賞3着と東京競馬場で上位争いを続け、最後は有馬記念にチャレンジして繁殖生活の待つ故郷へ帰っていった。