ストーリー
北海道・安平町のノーザンファームで父ディープインパクト、母ハルーワスウィート(その父マキャヴェリアン)から2009年に生まれたヴィルシーナ。G1初挑戦の桜花賞から2着続きで脇役に甘んじたが、古馬となって史上初のヴィクトリアマイル連覇を成し遂げ、根性で主役にはい上がった。
ヴィルシーナは2歳夏の札幌開催で新馬戦を快勝し、暮れのエリカ賞で2勝目。牡馬を相手に1800m以上で3戦2勝と素質の高さを見せると、明け3歳初戦のクイーンCで重賞初挑戦、初制覇を果たし、牝馬三冠戦線の有力候補に浮上した。
しかし、その先に待っていたのはフラストレーションの溜まる日々だった。一冠目の桜花賞では好位追走から残り100mを切ってなお先頭争いを繰り広げるも、ジェンティルドンナの末脚に屈して半馬身差の2着。ここからヴィルシーナの前には常にジェンティルドンナが立ちはだかり、二冠目のオークスは5馬身差の完敗を喫する。
秋も流れを変えられず、ローズSで1馬身半差の2着。続く秋華賞は大逃げの離れた2番手で主導権を握り、満を持しての仕掛けでジェンティルドンナを迎え撃つ乾坤一擲の勝負を挑んだが、ゴールでは首の上げ下げにハナ差及ばず涙を飲む結果となった。その後、牝馬三冠を達成した天敵がジャパンCへ向かったため、エリザベス女王杯は大きなチャンスが到来。しかし、今度は直線で一緒に追い込んだレインボーダリアにクビ差及ばず5戦連続の2着に敗れて3歳シーズンを終えた。
ヴィルシーナは4歳初戦の大阪杯で三冠馬オルフェーヴルら年長牡馬に跳ね返されたが、次戦のヴィクトリアマイルで待望のタイトルを手にする。2番手を追走したヴィルシーナは直線の坂で内からマイネイサベルに体半分ほど前に出られるも、驚異的な勝負根性で差し返し。さらに外から強襲するホエールキャプチャを振り切り、惜敗続きが嘘だったかのようにハナ差でG1制覇を果たした。
しかし、その後は牡馬相手や長めの距離で低迷し、明けて5歳は東京新聞杯、さらに阪神牝馬Sと適条件でも連続の11着。前年に1番人気だったヴィクトリアマイルを11番人気で迎えることになった。ここで内田博幸騎手が一計を講じ、ハナを主張してヴィルシーナの闘争心に火をつけると、見事に逃げ切って史上初の連覇を達成する。鮮やかに復活を遂げたヴィルシーナは続く宝塚記念でも3着に逃げ粘り、あらためて実力を証明した。