タニノギムレット ダービー制覇のためだけに

タニノギムレット
Photo by Japan Racing Association

ストーリー

競馬には不利はつきもの。とはいえ、肝心の大一番で実力を出し切れないと、その馬の一生すら左右してしまうこともある。また「次こそは」と言っているうちに調子が下降線を辿り、ついにはタイトルを手中にできない馬もいる。いかにしてそんな悪い流れを断ち切るか。それに成功し、見事に日本ダービーを制したのがタニノギムレットだった。

タニノギムレットのデビューは01年、2歳夏の札幌・ダート1000m戦。ここは追い上げ届かず2着に敗退したが、ソエによる休養を挟んで12月の芝1600m未勝利戦で復帰すると7馬身差の大楽勝。年が明けて02年、シンザン記念では未勝利勝ち直後ながら1番人気に推され、好位から余裕十分に抜け出し重賞初制覇飾った。

さらに、アーリントンCは中団から伸びて3馬身半差で完勝、そしてスプリングSでは後方から大外一気と、それぞれ違った位置取りから重賞3連勝。タニノギムレットは文句なしの主役として皐月賞へと駒を進めた。

初の2000m戦となった皐月賞だったが、タニノギムレットは後方で折り合いもスムーズ。しかし、肝心の勝負どころで気を抜いたのか行きっぷりが悪くなり、行き脚のついた4コーナーでは大きく広がった馬群の大外。ここでかなりの距離損を喫し、直線でよく脚を伸ばしたもののノーリーズン、タイガーカフェを捕らえきれず3着に敗退してしまったのだった。

皐月賞後はダービー直行かと思われたが、管理する松田国英調教師は次走にNHKマイルCを選択。前年にクロフネ(NHKマイルC優勝、日本ダービー5着)でなし得なかった「変則二冠」に挑戦するためだ。

ところが、タニノギムレットはその一歩目のNHKマイルCで躓いてしまう。皐月賞同様に中団やや後方につけ、今度は直線に向いても手応え十分。しかし、残り400mで前をカットされる大きな不利を受け、後方から2〜3頭目まで後退。態勢を立て直したものの時既に遅く、テレグノシス、アグネスソニックに届かずまたも3着敗退を喫したのだ。

2度のG1で力を出し切れなかったタニノギムレット。皐月賞後にNHKマイルCを挟む厳しいローテーションに加え、日本ダービーは年明け6戦目。既に余力はないのではないか、と危惧する声も少なくなかった。

しかしそんな声をよそに、日本ダービーでタニノギムレットはついに本領を発揮する。後方から外目を徐々に進出すると、直線は不利を受けない馬場の中央へ。そのままゴールまで一気に伸び、シンボリクリスエス以下を差し切って、名実ともに「3歳馬の頂点」へと上り詰めたのだ。

この一戦を最後に、故障のため種牡馬入りしたタニノギムレットだったが、初年度産駒からウオッカを輩出。64年ぶりとなる牝馬による日本ダービー制覇、そして史上5組目のダービー父子制覇を成し遂げた。また、松田国英調教師は04年、3度目の挑戦となるキングカメハメハでNHKマイルC、日本ダービーの「変則二冠」制覇を達成している。

基本情報

性別
出生年月日 1999年5月4日
毛色 鹿毛
ブライアンズタイム
タニノクリスタル
競走成績 8戦5勝
獲得賞金 3億8601万0000円
表彰歴 なし
主な勝鞍 2002年 日本ダービー G1
2002年 スプリングステークス G2
2002年 アーリントンカップ G3
2002年 シンザン記念 G3
厩舎 松田国英(栗東)
生産者/産地 カントリー牧場 (静内町)
馬主 勝負服 谷水雄三

競走成績

開催日 レース名 開催場 騎手 コース 着順 1(2)着馬
2002/5/26 日本ダービー(G1) 東京 武豊 芝2400 1 (シンボリクリスエス)
2002/5/4 NHKマイルカップ(G1) 東京 武豊 芝1600 3 テレグノシス
2002/4/14 皐月賞(G1) 中山 四位洋文 芝2000 3 ノーリーズン
2002/3/17 スプリングステークス(G2) 中山 四位洋文 芝1800 1 (テレグノシス)
2002/2/23 アーリントンカップ(G3) 阪神 武豊 芝1600 1 (ホーマンウイナー)
2002/1/14 シンザン記念(G3) 京都 武豊 芝1600 1 (チアズシュタルク)
2001/12/22 未勝利戦 阪神 四位洋文 芝1600 1 (ハマノホーク)
2001/8/5 新馬戦 札幌 横山典弘 ダ1000 2 レアパール
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