関係者インタビュー Vol.06

友道 康夫調教師

「平常心で走れる馬作りを」

毎年のようにリーディング上位に名を連ね、活躍馬を輩出。トップトレーナーとしての地位を確立したその手腕に迫るとともに、ドウデュースで挑む凱旋門賞についても話を伺った。

取材・文 平松さとし(取材日:8月17日)

「武豊騎手とダービーを制するのが憧れだった」

まず今年ここまでを振り返ってください。全体を通していかがでしたか?

友道康夫調教師(以下、「」のみ)「まずは正月早々ワグネリアンが死んでしまったのがショックでした。自分にとって2頭目のダービー馬でしたが、直前に負けて、福永(祐一騎手)君になんとかダービーを獲らせてあげたい、という思いで臨みました。そういう意味でマカヒキとはまた別の喜びを感じたダービーでした」

大阪杯(G1)は同じオーナー(金子真人ホールディングス)のポタジェで優勝しました。

「ヨーホーレイク(同馬主)も1月の日経新春杯(G2)を勝てたし、ワグネリアンが後押ししてくれたと感じました」

武豊騎手を鞍上にダービーを制したドウデュース。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

では、ダービーについてお聞かせください。以前から『武豊騎手とダービーを制するのが夢』と語っておられました。ドウデュースで見事に達成した時のお気持ちは?

「私がこの世界で働き始めた時、武豊騎手は既に素晴らしい騎手で、年齢は下でも尊敬できる存在でした。乗ってもらう時は今でも緊張します。そんな憧れの人とダービーを勝てたのは嬉しかったです。マカヒキとワグネリアンの時はすぐに下馬所へ行って引き上げて来る馬を迎えたのですが今回は武豊騎手のウイニングランを一ファンとして目に焼き付けてから下馬所へ行きました」

いつくらいからダービーを意識しましたか?

「1年前くらいから考えたけど、正直ここまで強いとは想像できませんでした。今でもおっとりした馬だけど、凄い成長力で勝ってくれました」

マキヒキ、ワグネリアンに続き現役調教師では最多となるダービー3勝目です。

「3回全て馬が頑張ってくれました。牧場や厩舎スタッフも頑張ってくれて、3頭とも順調に行けたのが大きいです。ダービーは勿論、勝ちたいけど、順調さを欠けば諦めなければいけませんから」

「新馬戦を勝った時には凱旋門賞を考えていた」と語る友道調教師(中央)(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

凱旋門賞はいつからお考えでしたか?

「『武豊騎手と凱旋門賞を勝つのが夢』と常々おっしゃられている松島(正昭)オーナーの馬ですからね。預かった時点で考えたし、新馬戦を勝った時には3人で具体的に話していました」