関係者インタビュー Vol.02

福永 祐一騎手

「すべてはその馬の“最高”にたどり着くために」

歴史に名を残すスターホースと歩んだ2020年。栄冠を勝ち取ってきた福永騎手がいま思うこと、そのスタンスを探る。

取材・文 不破由妃子(取材日:3月17日)

「3冠が懸かっても、今の自分は緊張しないんだなって(笑)」

福永騎手とともに3冠を達成したコントレイル(奥)。

年が明けて早3カ月半が経ちますが、改めて2020年という年は福永騎手にとってどんな1年でしたか?

福永騎手(以下、「」のみ)「スターホースとの出会いがあり、しかも3冠というこれ以上ない結果を残すことができて、今まで取り組んできたことが成果として現れた1年だったと思います。ここ数年は、コントレイルのような馬との出会いを切望していたので、願いが叶った1年とも言えますね。ただ、コロナで大勢のお客様と共有できなかったことはすごく残念で、やるべき仕事は一緒なのですが、達成感というのは全く違いましたね」

ご自身も昨年、勝利数(134勝)、獲得賞金、勝率、連対率など軒並みキャリアハイをマークする充実ぶりでしたが、この流れの源流はどこにあると思いますか?

「要因はいろいろとありますが、一番は心から騎手という仕事を楽しんで、熱中できていることだと思います。ワグネリアンで(日本)ダービーを勝ってからかな。意識せずとも楽しんで乗れるようになりましたね。勝ってみてわかったことですが、『ダービーを勝てていない』という現実は、自分が意識していた以上に重いものでした。インタビューなどで、よく“肩の荷が下りた”という表現を使っていましたが、いま思えば、肩の荷どころか“心の重荷”だったんだなと」

ワグネリアンのダービー以降は、明らかに力みが取れた印象があります。

「そうでしょうね。あとはスーパーホースとの出会いがあればいいなと思っていましたが、そればかりは縁ですから。そう考えると、コントレイルに出会えたことは、タイミングも含めて本当に幸運でした。ワグネリアンでダービーを勝てていなかったら、コントレイルのダービーは平常心で臨めなかったかもしれません」

極限のプレッシャーも好パフォーマンスにつなげた福永騎手。

騎手という仕事を心から楽しめる境地に達したとはいえ、コントレイルとの3冠ロードは、福永騎手にとってもこれまでにない時間だったかと思います。そのなかで、新しい自分と出会いはありましたか?

「ありましたよ。3冠が懸かっても、今の自分は緊張しないんだなって(笑)。それは新たな発見でしたね。緊張というのは、それによってパフォーマンスが落ちたり、本来の能力が発揮できない人にとっては“悪”でしょうけど、必ずしも悪い効果ばかりではないと自分は思っていて、だからこそ、ああいう状況に置かれたときに自分がどういう精神状態になるのか、とても興味深かったですね」

さて、コントレイルは大阪杯で始動です。古馬になって雰囲気はどうですか?

「3月17日に坂路で追い切りましたが、やっぱり去年とは走りが違っていました。体に幅が出て、パワーが強化された感じです。4歳になって、血統が出てきたような気がします。ある程度いっぱいに追ったとはいえ、坂路で50秒1ですからね」

母系は短距離系ですからね。

「僕はコントレイルが3000mの菊花賞を勝ったことは本当にすごいこと、とずっと言ってきましたけど、この馬のすごさはそこなんです。相当スプリント能力が高いのに、3冠を勝ってしまうのですから。もともとこの休養で変わってくるだろうなと思っていましたし、実際、スピードが強化されたような体つきになってきたので、これがレースでどういう走りにつながってくるのか、そこは興味深いですね」

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