関係者インタビュー Vol.01

矢作 芳人調教師

「コントレイルを年度代表馬に」

2020年はコントレイルのクラシック3冠制覇を達成した矢作調教師。JRA賞を総なめした名トレーナーが見据える2021年、その後の野望とは。

取材・文 平松さとし(取材日:2月26日)

「秋の理想は天皇賞、ジャパンC、有馬記念」

無敗の3冠制覇を成し遂げたコントレイル(左)。

改めて2020年は矢作調教師にとっては素晴らしい一年だったと思います。JRA賞も最多勝利調教師、最多賞金獲得調教師、優秀技術調教師の三部門を総なめとなりました。

矢作調教師(以下、「」のみ)「そうですね。良い一年だったと思います。ただ、いつも言っているのですが、欲深いのでもっと勝てたと思っています」

あれだけ勝っても不満だったと(笑)?

「本当の意味での不満というか、残念だったことと言えば、やはりコロナ禍で異例の開催になってしまったことですね。無観客のレースが続き、とにかく寂しかった。菊花賞こそ少しお客さんが入ったけど、ダービーは無観客で口取りもなかったので。ファンの皆様と喜びを分かち合えなかったし、オーナーとのお祝いや厩舎の皆で祝うこともできませんでした。ただ、裏を返せばそういう対策のおかげで開催は継続できたと。厳し過ぎるとも感じるほどの制限がかかっていましたが、開催が滞れば3冠もなかっただろうし、仕方がなかったと思います」

実際、厩舎ではどのような対策をされていましたか?

「作業はグループ分けして接触する人間を減らしたり、ミーティングは暑くても寒くても換気の良い外で立ったままやったりしました。他にも予防に良いと聞いたことは取り入れるなど、注意を払いました」

そんな中、3冠馬を育てたわけですが、すでにダービートレーナーだった矢作調教師をしてもコントレイルとの3冠の道のりは相当なプレッシャーだったと思います。眠れない日もあったと伺いました。

「3冠の重みは以前から分かっていたつもりだし、馬の状態は良かったので『なるようになれ』とリラックスはできていました。ただ、3冠を現実に自分のこととして受け止めたのは初めてだったので、菊花賞の前は相当にプレッシャーを感じました。当日の数時間はダービーよりも緊張して、何もノドを通りませんでした」

母のロードクロサイトは前田幸治オーナーと矢作調教師が米国で見つけて来られたのですよね?

「正確にはオーナーのマネージャーと、ですね。馬体そのものより血統の良さや品の良さが抜けていたのでこの年のセリの第一希望でした。牝馬はやはり品が大切だと思っています」

菊花賞優勝後に厩舎スタッフと記念撮影。

コントレイルは今年、4月の大阪杯で始動予定です。

「コロナの関係で牧場へ行くこともあまりできないのですが、久しぶりに見て来ました。昨年は大きく変わらなかった馬体が、今回は成長してひと回り大きくなっていましたね。大阪杯にはおそらく10キロ以上増えて出せるはずです」

コントレイルの今年の展望を分かる範囲で教えてください。

「春は大阪杯と宝塚記念。秋の理想は天皇賞、ジャパンC、有馬記念の3タテです。この3つ全てを勝つのは容易ではないですが、体力さえついていれば能力的には可能性のある馬だと信じています」

世界的な状況がこうでなければ、海外挑戦もお考えでしたか?

「左回りの1ターンは向くので、ドバイターフに行きたい気持ちもありましたが、まずは大阪杯に全力投球し、ドバイは他の馬に任せますよ」

ドバイシーマクラシックを予定しているラヴズオンリーユーは、今年初戦の京都記念を快勝。ステイフーリッシュとのワンツーフィニッシュを決めましたね。

「フーリッシュにも勝たせたかったけど、ラヴズが終わっていないことを証明できたのは良かったです。ようやく本来の能力を発揮できましたね」

その他のインタビューを読む