「自分の心の声に従って決めていきたい」

2014年にはジャスタウェイとともに凱旋門賞に挑戦した福永騎手。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

2000勝を達成されたときは、大きな区切りとして受け止めていらっしゃいましたが、現在はご自身のスタンスとして、数字とか目に見えるものから関心が離れていると?

「離れていますね。2000勝は自分にとってひとつの目標でしたし、それを達成できたのは大きな出来事でしたけど、だからといって『次は3000勝だ!』という思いには今はなりません。それぞれの馬たちが持つ、それぞれのポテンシャルを、どういう騎乗で引き出していくか。今はそれにしか関心がないです。まぁ来年、再来年は、どう思っているかわかりませんけど」

すでに日本ダービーも海外G1も勝利していますが、最も勝ちたい国内・海外レースはありますか?

「強いてあげるなら、やはり凱旋門賞ですかね。でも、繰り返しになってしまいますけど、今は競走馬がどういう競走生活を送るかというところにしか関心がないので、自分のキャリアとかどうしたいのかにあまり関心がないんですよ。実際に勝つのは馬が勝つわけで、自分が走って勝つわけではないですから(笑)」

身近なところで四位調教師が開業されましたが、セカンドキャリアについても、その展望はまだまだ遠いところにありますか?

「頭のなかにはいろいろありますが、今は自分が関心のあることに全力を注いでいる感じです。それを超える興味の対象が出てくれば、方向転換することもあると思います。幸い自分の進路を自分で決められる状況にいるので、今は先のことをあまり考えていませんし、純粋に自分の心の声に従って決めていきたいなと思っています」

今日はたくさんの貴重なお話をありがとうございました。ところで、福永騎手はJRA-VANアプリのヘビーユーザーだそうですね。どういう場面で使われていますか?

「いつも使っていますね。レースの前日、相手を絞り込んでいく作業として新聞にいろいろとチェックポイントを書き込んでいくんですが、そのときにJRA-VANのデータを使っています」

当該コースで成績がいいジョッキーや血統など、ものすごく細かく書き込んでいらっしゃいますよね。

「はい。それを調べるために使っています。仕事として、データは無視できない競技だと自分は思っているので、自分にとってはなくてはならないものですね」

では最後に、なかなか現地で観戦しづらい状況ではありますが、競馬ファンにメッセージをお願いします。

「コロナがなかなか収束の兆しを見せず、お客様の入場制限も解けない状況ではありますが、ファンのみなさんが競馬を支えてくださっているおかげで、ずっと続けることができています。昨年は3冠レースを勝ってもお客様がいないのが本当に寂しくて、競馬を楽しんでもらうことが我々のやり甲斐であり、生き甲斐です。今、自分には、ファンのみなさんの期待を集めるコントレイルというパートナーがいます。レースを通して感動を届けられるよう引き続き頑張りますので、今後とも競馬を盛り上げていただければと思っています」