「『矢作に預けてダメなら仕方ない』、と言ってもらえるように」

海外での経験がホースマンとしての引き出しを増やす。(Photo by Getty Images)

名実ともにトップクラスの厩舎となりましたが、調教師としての最終目標があればお聞かせください。

「最終とか寂しいことを聞くね(笑)。凱旋門賞制覇は究極だけど、まだ10年あるので通算1000勝の大台には乗せたいですね。自分の場合、調教師になったのが遅いので簡単な記録ではないけど、現実に1500も勝つ人もいるのだから、諦めずに目指していきたいです」

また、メディアに対して誠実な印象がありますが、報道との関わり方、スタンスはありますか?

「開業から一貫して極力ファンに正確に情報を伝えてもらうため協力し合うのが良いスタンスだと考えています。何も隠す必要はないと思っているので、スムーズに且つ正確に発信してもらうために、こちらで協力できることは惜しみません」

また、調教師にとって、騎手や馬主との信頼関係の構築も重要な仕事だと思いますが、心がけていることはありますか?

「オーナーとは『矢作に預けてダメなら仕方ない』、と言ってもらえるように普段の信頼関係を築くことが大切だと考えています。そして、そのために些細なことでも情報を提供できるようにしているつもりです。騎手に関しては、競馬での乗り方は任せていますね。あと、大切なのが牧場とのコミュニケーション。これを欠かさず情報共有することが大切だと思います」

成長著しい厩舎所属の坂井瑠星騎手については、いかがでしょうか?

「私から見るとまだまだですね。期待の半分にも応えていません。もっと勝たないといけないのにそれができてないのは何故か考えなさい、と常に話しています。デビュー当初からオーストラリアで経験を積ませるなどしてきましたが、さらに経験させる意味でもサウジアラビア、ドバイにも行ってもらっています。ドバイではゴドルフィンのサイード・ビン・スルール厩舎でも乗せていただいているので、これを機にもう一段成長してほしいです」

また、古川奈穂騎手もデビューしました。彼女の期待のほどはいかがですか?

「頭が良くて、人間的に素晴らしい子です。色々な人に合わせているけど、20歳の若者と思えないくらい物おじしない態度で素晴らしいです。進学校を中退して騎手を目指したあたりが自分と重なるので、余計に応援したい存在です」

弟子も厩舎スタッフもそうですが、人材育成は大変なことが多いのでは?

「確かに苦労しかありませんね(笑)。でも、自分自身、競馬界に育てていただいたので恩返しできることはしなくては、と考えています。私の場合、苦労した中で勝つことに燃えるモノがあって、実際、瑠星が自分の父が所属していた大井で重賞を勝ったのは何とも感慨深かったです。人を育てることも、できる限り頑張りたいですね」

リアルスティールでドバイターフを制し海外G1初優勝。(Photo by Getty Images)

ところで厩舎のスタッフさん含め、JRA-VANを利用されていますか?

「皆、ほとんど利用しているはずです。個人的にはコースの特性がどうだったか?とかしょっちゅう確認させてもらっています。この距離はどんな脚質が向くとか、どの枠順が良いとか、参考にさせてもらっています」

なかなか現地で観戦しづらい状況が続きますが、最後に競馬ファンへ向けてメッセージをお願いします。

「『コロナ禍に競馬があって良かった』と言ってくださるファンの声をよく耳にしました。そんな期待に応えられるように、僕らができるのは週末に皆さんに少しでも楽しんでいただけるよう、充実した競馬を継続して行うことだけです」

個人的にこんなところを見てほしいというのはありますか?

「毎年、年頭に行われるJRA賞の授賞式がコロナの影響で行われなかったので、今年こそコントレイルで改めて年度代表馬をとって、来年の式に参加できるように頑張ります。応援よろしくお願いいたします!」

その他のインタビューを読む