ストーリー
37年ぶりに米三冠を達成し、大きな期待とともに種牡馬入りしたアメリカンファラオの初年度産駒として、2017年3月に誕生したカフェファラオ。芝の重賞を2勝した母メアリズフォリーズを所有するP.ポンパJr.氏が生産した牡馬は、2019年のOBSマーチトレーニングセールにおいて47万5000ドルで取引され日本へとやってくることになった。
半姉リーガルグローリーはG1を通算4勝し、2022年にはエクリプス賞最優秀芝牝馬を受賞、重賞2勝の半兄ナイトプロウラーも含めて母系には米芝戦線の活躍馬が多いカフェファラオだが、自身は父が大偉業を成し遂げたダートで2歳暮れにデビューした。初陣を10馬身差で圧勝すると3歳6月のユニコーンSで重賞初制覇。いずれもワンサイドの3連勝という底知れぬパフォーマンスに新スター誕生の期待は高まるばかりだった。
ところが、単勝1.1倍と人気が沸騰したジャパンダートダービーでまさかの初黒星を喫してしまう。序盤に躓く場面こそあったが、終盤は同じアメリカンファラオ産駒のダノンファラオに離される一方となり7着という完敗。夏休み後に中京競馬場のシリウスSで初対戦の古馬を破り重賞2勝目としたものの、次戦では距離が100m短いだけのチャンピオンズCで再び完敗と、デビュー3連勝後は成績が乱高下しはじめる。
それから直行した4歳初戦のフェブラリーSは横綱相撲で快勝し、東京競馬場のダート1600mで3戦3勝とした。しかし、その後は同じ1600mのかしわ記念、芝レースに初挑戦した函館記念でも完敗が続く。この間にC.ルメール騎手が地方競馬の深い砂や揉まれ弱さを敗因に挙げたこともあり、続くチャンピオンズCではブリンカーを試すも効果なく3連敗。東京競馬場の1600mのような左回りの1ターンに適性が絞られていった。
そして、5歳初戦のフェブラリーSでは3連敗が嘘のようにコースレコードで連覇を達成する。その後は芝に再挑戦した安田記念こそ大敗するも、秋には盛岡競馬場のマイルCS南部杯で接戦を制し、結果を出せていなかった地方交流重賞でも1ターンの適性を証明。この年はJRA賞最優秀ダートホースに輝いた。
6歳ではフェブラリーSの3連覇を狙うと思われたが、左回りのダート1ターンという条件に合致するサウジCを選択。その結果は3着だったものの、世界最高賞金レースの恩恵は大きく、フェブラリーSの1着より2倍以上も多い賞金を得た。その後は3連敗で引退、種牡馬入り。芝の活躍馬が多い母系からも、産駒には幅広い路線での活躍が期待されている。