ストーリー
メイショウダッサイは史上最高の障害馬オジュウチョウサンが君臨する時代に台頭し、やがて打ち負かすに至った逸材。しかし、過酷な障害界では新たな時代を築くことなく、再戦の夢を残して燃え尽きたように現役を退いた。
メイショウダッサイは2歳の11月、デビュー3戦目に初勝利を挙げた。3歳クラシックが一つの目標となる競走体系から考えれば、十分に早いタイミングでの勝ち上がりだったが、2勝目がはるかに遠く低迷する。明け3歳に迎えた4戦目で11着に大敗すると、その年は掲示板に1回載っただけで9連敗。4歳も3着が最高で7戦未勝利に終わり、初勝利から2年間にわたって白星から遠ざかった。
平地に見切りをつけた陣営は、メイショウダッサイを5歳から障害へ転向させる。初戦は7着、2戦目も6着に敗れたが、その後に続く障害キャリアを通じて着外はこの2戦だけ。3戦目に夏の小倉で初勝利を挙げると軌道に乗り、その1年後に小倉サマーJで重賞初制覇を果たした。
暮れには中山大障害でG1に初挑戦。王者オジュウチョウサンは平地戦に臨んで不在ながら、3着に善戦して頂点への足掛かりとすると、前哨戦のペガサスJS圧勝から挑んだ中山グランドJでオジュウチョウサンとの初対決が実現する。結果は王者にねじ伏せられて3馬身差の2着に敗れたが、不良馬場で決着に5分を要す激戦の中で3着以下には大差をつけ、G1級の能力を証明した。そして、これが最後の黒星となった。
半年の休養から復帰した秋の東京ハイJでは単勝1.4倍の圧倒的人気に応えて2度目の重賞制覇。次戦の中山大障害はオジュウチョウサンの負傷により対戦が流れたが、単勝1.7倍(1番人気)の信頼を集めてついに頂点に立つ。明け8歳初戦の阪神スプリングJでは自己最高の単勝1.3倍で7馬身差の圧勝を収め、最強の座へ、残すは打倒オジュウチョウサンのみとした。
そうして臨んだ中山GJでは、故障明けのオジュウチョウサンを抑えてメイショウダッサイが1番人気に。徹底マークから障害2つを残して勝負を仕掛けると4馬身抜け出し、王者の6連覇を阻止して障害界に新たな時代の到来を告げる。オジュウチョウサンが不利な状況もあり、両雄をめぐっては再戦への期待も高かった。しかし、絶対王者を撃破した代償か、メイショウダッサイは左前脚に繋靭帯炎を発症し、リハビリの甲斐もなく1年半後に引退。決着戦は夢と終わってしまった。
メイショウダッサイは中山大障害を制した2020年にJRA賞最優秀障害馬に輝く一方、オジュウチョウサンも1年後にメイショウダッサイが不在の中山大障害で復権を果たし、2021年のJRA賞最優秀障害馬に選出されている。