ストーリー
アメリカでダートG1勝ちの父スウェプトオーヴァーボード、全姉に2歳女王スティンガーを持つ母ベルモット(母の父サンデーサイレンス)から2011年に北海道・千歳市の社台ファームで生まれたレッドファルクス。父方と母方からバランス良く受け継いだスピードとパワーを武器に短距離路線の王者へ進化していった。
レッドファルクスは2歳秋に東京競馬場の芝1400mでデビューするも2着に敗れ、2戦目は中山競馬場の芝1600mで9着。ひと息入れて3歳春に中京競馬場の芝1400mで初勝利を挙げた。休養を挟んで3歳夏から再始動するが、左のトモが弱く右回りに難があったため、左回りを最優先にして実戦を重ねることになる。選択肢が限られる影響からダートにも挑戦すると、その初戦は砂上で出遅れて10着。しかし、2戦目は2馬身突き抜けて完勝し、冬場のダートシーズンでさらに1勝を追加した。
明けて4歳春は芝で準オープンを勝ち上がる一方、休養の間に降級して秋の復帰戦はダートで準オープンを勝った。オープンに再昇級後は重賞初挑戦の根岸Sで10着など5歳春まで4連敗するも、徐々に内容を良化させて初夏にダートの欅Sでオープン初勝利を挙げると、さらに芝のCBC賞に矛先を向けて一気の差し切り。重賞初制覇で本格化の時を迎えたレッドファルクスは右回りのスプリンターズS でG1に初挑戦する。
右回りは4月のコーラルSがデビュー2戦目から2年4か月ぶりで、その時は4着に敗れていた。しかし、外から長く脚を使って0秒3差に11頭がひしめく大混戦を制し、完成した体にもはや回りの左右など問題ではないことを証明する。余勢を駆って遠征した香港スプリントは12着に終わったものの、6歳初戦の高松宮記念では3着に巻き返して新たな挑戦に移った。
安田記念を次なる目標に据えたレッドファルクスは、前哨戦の京王杯スプリングCを貫禄勝ちして存在をアピールする。続く本番ではクビ2つ及ばず3着に惜敗することになったが、勝ち馬とは枠順の差ともいえる不足のない内容を残すと、そこから直行したスプリンターズSでは鮮やかな差し切りを演じて連覇。史上3頭目の快挙を達成してJRA賞最優秀短距離馬に輝いた。その後、7歳も現役を続けたがスプリンターズSの3連覇を逃すなど未勝利に終わり、種牡馬の仕事が待つ故郷に帰っていった。