ストーリー
スピードを武器とする産駒が多かった父フジキセキ、桜花賞馬シャダイカグラを輩出した牝系出身の母ネヴァーピリオド(その父タイキシャトル)の間に北海道・浦河町の岡本牧場で生まれたストレイトガール。「消長が激しい」とされる牝馬にあって、6歳以降にG1レースを3勝したアンチエイジングな名牝だ。
ストレイトガールは2歳のデビューから3歳まで11戦2勝のスロースターターだったが、9か月半の休養を経て迎えた4歳夏から4連勝を飾るなどオープン入り。重賞初挑戦となったキーンランドCでもクビ差の2着に善戦すると、明け5歳初戦のシルクロードSで重賞初制覇を飾った。
デビューから19戦中18戦を良馬場でレースをしていたストレイトガールにとって、G1初挑戦で1番人気に推された高松宮記念は、キャリア20戦目にして初の不良馬場。馬場の荒れていない中ほどからレースを進めたものの、適性に勝る牡馬たちのパワーとスタミナに屈して3着に終わった。続くヴィクトリアマイルは久々の1600mで折り合いに専念し、直線で猛追するもわずかに届かず、またも3着に敗れた。
しかし、ストレイトガールの本領発揮はここからだった。秋シーズンはスプリンターズSで2着、さらに数多くの日本馬が跳ね返されてきた香港スプリントでも3着と、並みの牝馬なら衰えを見せても不思議のない時期に充実。6歳のヴィクトリアマイルでは大逃げから粘り込む伏兵たちを末脚全開で差し切り、前年の借りを返すとともにG1初制覇を飾る。ちなみに、3連単の2070万5810円はG1史上最高配当となった。スプリンターズSでも前年の雪辱を果たし、マイルと短距離の二階級制覇を成し遂げる。
次戦の香港スプリントで引退する運びだったストレイトガールだが、終始外を走らされる不本意な内容(9着)を受けて陣営が撤回すると、翌春のヴィクトリアマイルで馬群の中から鮮やかに突き抜けて連覇を達成。JRA史上初となる7歳牝馬でのG1勝ちを果たした。
これを最後に引退したストレイトガールは母となるために英国へ渡り、最強馬フランケルと交配。2頭目を宿した状態で帰国し、2021年にはロードカナロア産駒を出産している。