ベガ 春を駆け抜けた織姫

ベガ
Photo by Japan Racing Association
性別
出生年月日 1990年3月8日
毛色 鹿毛
トニービン
アンテイツクヴアリユー
競走成績 9戦4勝
獲得賞金 3億77万1000円
表彰歴 1993年 最優秀4歳牝馬
主な勝鞍 1993年 オークス G1
1993年 桜花賞 G1
厩舎 松田博資(栗東)
生産者/産地 社台ファーム (早来町)
馬主 勝負服 吉田和子
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ストーリー

夏の夜空に輝く七夕の「おりひめ星」から名を取ったベガ。93年のデビュー当初は非常に珍しい2文字馬名として注目されたが、その名の通り、競走馬としても一等星級の輝きを放つ活躍を見せた名牝だ。

父トニービンの初年度産駒として大きな期待を受けて90年に誕生したベガ。しかし、生まれつき前脚が曲がっていたために買い手がつかず、競走馬としてのスタートは決して順調とは言えないものだった。

しかし、明けて3歳(現表記)を迎えた93年1月にデビューすると、初戦2着のあと芝2000m戦で4馬身差楽勝と、いきなりその能力の高さを見せつけた。さらに、3戦目チューリップ賞(当時は桜花賞指定オープン)では1番人気に推されると、先行して3馬身差の圧勝劇。デビューからわずか2ヶ月少々で、一躍牝馬路線の主役へと躍り出たのだった。

4戦目はクラシックの第一弾・桜花賞で、前半600m35秒5の流れを2番手追走。今の桜花賞なら絶好の展開だが、当時の阪神コースはパワーを要する馬場で決して楽な流れではなかった。直線に向いて早々に先頭に立ったベガだが、直後からユキノビジン、マックスジョリーが残り200mで1馬身差に迫り、あわや、と思われた。しかし、ここからベガは凱旋門賞馬の父から受けたスタミナと底力を発揮。ラスト1ハロンはなんと13秒4を要したものの、ベガを追う後続も苦しくなり、クビ差しのぎ切って一冠目を手中にした。

続くオークスでは、桜花賞の単勝2.0倍から3.4倍へ。同じ1番人気でも桜花賞の辛勝で評価を下げる形になったが、厳しい底力勝負を乗り越えたベガはむしろオークス向きだった。桜花賞同様に好位追走すると、直線では桜花賞2着のユキノビジンとマッチレース。残り200mで相手を楽々突き放すと、最後は1馬身4分の3の差をつけて見事に二冠を達成したのだった。

春二冠を制したベガ。秋は牝馬三冠をめざし、当時3歳牝馬限定だったエリザベス女王杯(現在の秋華賞に相当)に「ぶっつけ」で挑戦する。道中は中団を進むと、直線入り口では前を射程圏に。さあ三冠か、という態勢には持ち込んだものの、休養明けの影響か残り200mからひと伸びを欠き、ホクトベガ、ノースフライトの3着に敗退してしまった。

その後は有馬記念と翌年の大阪杯で9着、そして宝塚記念13着で現役を退いたベガ。この馬が真の力を見せたのは初勝利からオークスまで半年足らずだったが、その間の輝きはまさに「名は体を表す」ものだったと言えるだろう。引退後は繁殖牝馬として、99年の日本ダービーを制したアドマイヤベガ、朝日杯FS優勝後にダート路線に転じてフェブラリーSなどを制したアドマイヤドンを輩出する大成功を収めた。ベガ自身は惜しくも06年に他界したが、血は脈々と受け継がれ、その名は日本の競馬史に長く輝き続けるに違いない。

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