当歳セッションの注目種牡馬

ここからは、当歳世代が初年度産駒となる種牡馬たちについて、お話を伺います。

レイデオロ

レイデオロ

レイデオロ

最初にご紹介していただくのはレイデオロです。今年のセレクトセール当歳セッションに産駒を上場される新種牡馬の中では、最多となる16頭がラインナップされています。

徳武氏 「“キングカメハメハ産駒のダービー馬”というだけでなく、サンデーサイレンスが入っていないという血統構成もあって、繋養初年度から多くの繁殖牝馬を集めました。それだけに、このセールでレイデオロ産駒を数多く見ていただけるのは我々としてもうれしいことです。レイデオロ自身はキングカメハメハ産駒の中でもやや馬が軽めで、弾むような動きが見られます。後継種牡馬の中では、少し違ったイメージを受けますね」

産駒にも、父譲りと言える軽さや、動きの良さが伝わっていそうですね。

徳武氏 「このセールには社台グループだけでなく、日高の生産馬たちも数多く上場されていますが、昨年種付けしてくれた生産者の方から、『いい馬が出たので、今年もどうしても(レイデオロを)付けたい』という話も聞きます。そして、このセールでは、当歳セッションの上場馬の最初に出てくるのが、米牝馬チャンピオンスプリンターを母に持つファイネストシティの2021(牡)であり、この日最後の上場馬が、ダイナカールの血を引くアイムユアーズの2021(牡)です。いわば、当歳セッションの相場を決めて、今年のセレクトセールのフィナーレを飾るという重要な役割をレイデオロ産駒が担うことになりました。2頭共に素晴らしい馬だけに、他の産駒も含めて、どのような評価がされるのか非常に楽しみです」

ブリックスアンドモルタル

ブリックスアンドモルタル

ブリックスアンドモルタル

ブリックスアンドモルタルは、日本への導入直後に発表された2019年度のエクリプス賞で年度代表馬に選出。社台スタリオンステーションの繋養馬で、エクリプス賞年度代表馬を受賞していた種牡馬には、あのサンデーサイレンスがいます。当歳セッションには7頭の産駒を送り出しています。

徳武氏 「まさに鳴り物入りでのスタッドインとなりました。自身は大型馬ではありませんが、運動神経が良く、放牧地で見せる動きの良さは、“床競技を行う体操選手”のようです。Storm Birdのクロスを持っているからなのか、気持ちの強さも見え隠れしており、サンデーサイレンスの血を持つ繁殖牝馬に配合されて生まれた産駒たちは、より前向きな性格をしているイメージがあります」

ブリックスアンドモルタルがサンデーサイレンスの再来になったとしても、何ら不思議ではないですね。

徳武氏 「当歳時から注目してもらうために、もう少し多くの産駒がせりに上場されてほしかったとの思いもありますが、それでも父と共通するバランスの良さは、新種牡馬の産駒の中でも目を引く存在です。Giant’s Causewayの後継種牡馬は、世界各国で実績を残していますし、その中でも群を抜いた大物がブリックスアンドモルタルだと言えます。父の現役時の活躍からしても産駒たちは距離不問でしょうし、仕上がりも良さそうなだけに、2歳戦からの活躍も見込めるはず。サンデーサイレンスのように、歴史を塗り替えてしまうのはこの馬では、とも感じています」

ニューイヤーズデイ

ニューイヤーズデイ

ニューイヤーズデイ

2019年度のエクリプス賞最優秀3歳牡馬に選出されたMaximum Securityを送り出して、一躍、種牡馬としての評価を高めたニューイヤーズデイですが、このセールには6頭の産駒を上場させます。

徳武氏 「代表産駒と言えるMaximum Securityは、現役時の活躍もさることながら、種牡馬としても人気を集めています。ニューイヤーズデイ自身は、重心が低く、力強さのある歩様やMr.Prospector系の血を引いていることからダート色が強く見受けられますが、父のStreet Cryが、オールウェザーで活躍したZenyattaや、芝のG1で25勝をあげたWinxを送り出したことからしても、産駒にはダートのみならず、芝でも大物の出現を期待したくなります」

ニューイヤーズデイは現役時にダート8.5ハロン(約1,700m)のブリーダーズカップジュヴェナイル(米G1)を優勝していますが、Maximum Securityはそれより長い距離でも、勝ち鞍を挙げています。

徳武氏 「産駒には、父の飛節の深さだけでなく、柔軟さも受け継がれています。それは動かした時に実感していただけますので、ニューイヤーズデイの産駒は比較展示やパドックなどで、歩く姿を見てもらいたいですね。ニューイヤーズデイ自身の活躍からして、2歳戦を沸かす産駒も出てくるでしょう」

スワーヴリチャード

スワーヴリチャード

スワーヴリチャード

最後に、4頭の初年度産駒を当歳セッションに送り出すスワーヴリチャードについて、お話を聞かせてください。

徳武氏 「日本ダービー(GI)では2着でしたが、その後は大阪杯(GI)、ジャパンカップ(GI)を優勝と、ハーツクライ産駒らしく芝の王道と言えるレースで活躍を見せました。スワーヴリチャード自身もセレクトセールの取引馬であり、血統だけでなく馬体の良さも評価されて高額で取引されました。母の父Unbridled’s Songの特徴が出た馬体は、背中が長めのロングボディで、ハーツクライ産駒の大物という印象ですね」

その好馬体は、初年度産駒たちに受け継がれているのでしょうか?

徳武氏 「昨年スワーヴリチャードを配合された何人かの生産者の方々から、『いい仔が出たから、また種付けに来た』という話を聞きました。産駒の評判もあってか、クチコミでの評判も高まっています。上場馬たちも体型の良さでバイヤーを引きつけられると思いますし、せりに出てこない当歳馬を見ても、父を彷彿とさせる好馬体をした馬が多いですね」

注記:当コンテンツは、2021年6月22日時点での情報を基に制作しています。

ライタープロフィール

村本浩平(競馬ライター)

北海道在住の“馬産地ライター”として、豊富な取材をもとに各種競馬雑誌で活躍中。

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