セレクトセール2019

注目の種牡馬紹介(当歳世代)

当歳世代の4頭(キタサンブラック・ドレフォン・イスラボニータ・サトノアラジン)の中でも、ファンからの注目を集めているのが、キタサンブラックと言えるのではないでしょうか。

キタサンブラック

キタサンブラック

徳武氏 「キタサンブラックはロングボディで、なおかつ体高もある馬ですが、前から見ると馬体が非常に薄く、皮膚感の良さも含めて、祖父であるサンデーサイレンスを彷彿とさせます。
個人的な意見ですが、サンデーサイレンスを115%程拡大コピーしたのなら、キタサンブラックになるのではとさえ思います(笑)」

拡大コピーですか(笑)。でも、立ち写真を見ても雄大に見えますし、産駒にもこのスケールの大きさが伝わっていそうですね。

徳武氏 「産駒にもこの馬体の良さは遺伝されていますね。
また競走馬としてのキタサンブラックの最大の長所が健康面や、脚元の安心感だとも思っています。
大型馬ながら柔軟な動きができており、骨もしっかりしている。
産駒も総じて脚が長いですし、一気に先頭に立ってしまうような走りを見せてくれると思います」

となると、やはり産駒の活躍する舞台は、芝の中長距離となりそうですね。

徳武氏 「それでも母父にサクラバクシンオーが入っていることを考えると、マイルといった短い条件でも適応してしまうのでは、との可能性もあると思います」

初年度産駒の頭数では、この4頭で最も多かった(207頭)のがドレフォンです。

徳武氏 「先ほど、キタサンブラックについて語った際に、サクラバクシンオーの話をしましたが、より、種牡馬としてのサクラバクシンオーのイメージに重なると思っているのがドレフォンです」

ドレフォン

ドレフォン

サクラバクシンオーも現役時は名スプリンターとして名を馳せましたが、ドレフォンは現役時にBCスプリント優勝を含むG13勝をあげているように、レベルの高いアメリカのスプリント戦線においても、能力の違いを見せつけたと言えますね。

徳武氏 「社台グループのウィークポイントとも言える、芝、ダートの短距離に適性が見込めるだけでなく、数が増えてきたサンデーサイレンスやキングカメハメハの血が入った、繁殖牝馬との配合にも困らないという利点もあります」

今回の上場馬を見ても、サンデーサイレンスやキングカメハメハを肌に持つ、良血馬がずらりと並んでいますね。

徳武氏 「こうした牝馬たちはドレフォンの距離適性を広げてくれそうですし、そして仔達を見ても、ドレフォンが自分の個性を出しすぎることなく、繁殖牝馬の良さも引き出してくれています。
セリでも父であるジオポンティを上回るような評価が与えられた程に、馬体の良さも評価されていた馬であります」

スピード能力の高いのは間違いありませんし、これで芝もこなせるとなると、オールラウンダーな種牡馬にもなれそうですね。

徳武氏 「アメリカの芝G1レースを制したジオポンティの産駒ということからしても、日本での芝適性も見込めるでしょうし、アメリカの短距離馬にしては身体に柔軟さも見られます。
マイルから2000Mまで適性が出てくれば、クラシック戦線を沸かしてもくれそうですし、そうなるとダービーやオークスに出てくる産駒が見られそうです」

現役時は息の長い活躍を見せたイスラボニータですが、一方で距離適性の広さも証明していました。

イスラボニータ

イスラボニータ

徳武氏 「全身を使ったダイナミックなフットワークは、調教を見てもほれぼれしてしまいました。
キンシャサノキセキを初めとして、フジキセキの後継種牡馬が成功を納めていますし、日本競馬で高い適性を示しているコジーンが母父に入っているのも血統的な安心感があります」

産まれはそれほど早くない(5月21日産まれ)ながらも、開幕週の新馬戦に出てきて、あれだけのレースを見せたことにも驚かされました。

徳武氏 「イスラボニータの産駒こそ仕上がりは早いはずです。
その上、どんどん負荷かけても大丈夫だと思いますし、2歳戦から競馬を沸かせてくれそうです。
バイヤーの皆さんがセリに参加しやすい価格帯の馬が揃ったと思いますが、最初の上場馬から最後の上場馬まで、いい馬ばかりだと思います」

最後に紹介していただくのはサトノアラジンです。

徳武氏 「当歳セクションの上場馬の数こそ少ないですが(4頭)、総じて逞しく見えるのは、この馬もキズナなどと同じように、母父のストームキャットが遺伝として出ているからなのでしょう。
購買者の皆さんも、ディープインパクトの後継種牡馬というよりも、アメリカから連れてきた短距離馬の産駒を見ているような感覚になるかと思います」

となると、やはり産駒の活躍の場は、芝の短距離戦となりそうですね。

徳武氏 「現役時の姿からしても、スピード能力の高さは間違いありませんし、産駒の馬体を見ていると、そこに力強さも加わったと言えそうです。
繋養初年度からシャトル種牡馬となっていますが、馬体の良さや血統背景共に、向こうでも人気があるのも頷けるところです」

サトノアラジン

サトノアラジン

ライタープロフィール

村本浩平(競馬ライター)

北海道在住の“馬産地ライター”として、豊富な取材をもとに各種競馬雑誌で活躍中。

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