【ジャパンC×過去データ分析】同コースのG1実績馬が抜群の成績
2025/11/27(木)

キタサンブラック、アーモンドアイ、コントレイル、イクイノックス、ドウデュース。近年の勝ち馬が、そのまま国内最強の系譜になってしまうのがジャパンC(以下JC)というレースだ。今年も強力なメンバーが集結した一戦を、過去10年のデータから占っていこう。データ分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
好走例は3〜5歳に限られる
| 項目 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 | |
| 性別 | 牡馬・セン馬 | 7- 9- 7-117/140 | 5.0% | 11.4% | 16.4% | 22 | 32 |
| 牝馬 | 3- 2- 2-17/24 | 12.5% | 20.8% | 29.2% | 53 | 48 | |
| 年齢 | 3歳 | 1- 5- 2-15/23 | 4.3% | 26.1% | 34.8% | 6 | 63 |
| 4歳 | 4- 4- 4-37/49 | 8.2% | 16.3% | 24.5% | 32 | 45 | |
| 5歳 | 5- 2- 3-32/42 | 11.9% | 16.7% | 23.8% | 65 | 46 | |
| 6歳〜 | 0- 0- 0-50/50 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 | |
| 所属 | 美浦 | 3- 4- 1-40/48 | 6.3% | 14.6% | 16.7% | 10 | 30 |
| 栗東 | 7- 7- 8-65/87 | 8.0% | 16.1% | 25.3% | 45 | 48 | |
| 地方 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 | |
| 外国 | 0- 0- 0- 25/25 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 | |
(表1 牡牝・年齢・所属別成績)
まずは牡牝別・年齢別・所属別の成績。牡牝別では、牝馬の好走率が牡馬(セン馬を含む)を大きく上回る。年齢別では、連対率・複勝率で3歳、勝率で5歳がそれぞれトップ。4歳の数値も大きく見劣りはせず、好走例がない6歳以上でなければ神経質になる必要はなさそうだ。東西の所属別では、関西馬が関東馬をややリードする。なお、過去10年、外国馬や地方馬の好走例はないため、以降の表2〜5では中央馬のみを集計対象とする。
1番人気が過去10年で6勝
| 人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
| 1番人気 | 6- 1- 2- 1/10 | 60.0% | 70.0% | 90.0% | 126 | 113 |
| 2番人気 | 0- 3- 3- 4/10 | 0.0% | 30.0% | 60.0% | 0 | 80 |
| 3番人気 | 2- 1- 1- 6/10 | 20.0% | 30.0% | 40.0% | 96 | 60 |
| 4番人気 | 1- 1- 1- 6/ 9 | 11.1% | 22.2% | 33.3% | 102 | 68 |
| 5番人気 | 1- 2- 1- 6/10 | 10.0% | 30.0% | 40.0% | 133 | 97 |
| 6番人気 | 0- 0- 1- 4/ 5 | 0.0% | 0.0% | 20.0% | 0 | 66 |
| 7番人気 | 0- 2- 0- 6/ 8 | 0.0% | 25.0% | 25.0% | 0 | 90 |
| 8番人気 | 0- 1- 0- 7/ 8 | 0.0% | 12.5% | 12.5% | 0 | 58 |
| 9番人気〜 | 0- 0- 0-65/65 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
(表2 人気別成績)
次に人気別成績。1番人気が過去10年で6勝を挙げ、複勝率90.0%とほぼ崩れない。2番人気は1着こそないが複勝率60.0%は優秀だ。以下、1着馬は5番人気以内、2〜3着馬は8番人気以内に限られ、9番人気以下の好走例はない。単勝オッズだと30倍がひとつの目安で、30倍を超えると【0.0.0.74】に終わっている。
東京芝2400mG1の好走実績を持つ馬に注目
| 項目 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 | |
| 該当全馬 | 7- 6- 7-34/54 | 13.0% | 24.1% | 37.0% | 50 | 61 | |
| 前走国内 | 前走1〜3着 | 6- 4- 3- 7/20 | 30.0% | 50.0% | 65.0% | 110 | 93 |
| 前走4〜5着 | 0- 1- 2- 5/ 8 | 0.0% | 12.5% | 37.5% | 0 | 53 | |
| 前走6着〜 | 1- 0- 2-20/23 | 4.3% | 4.3% | 13.0% | 22 | 24 | |
| 前走海外 | 0- 1- 0- 2/ 3 | 0.0% | 33.3% | 33.3% | 0 | 156 | |
(表3 過去に東京芝2400mG1好走歴を持つ馬に関するデータ)
過去10年のJC1〜3着馬延べ30頭のうち、過去に東京芝2400mG1で1〜3着の実績を持つ馬が実に20頭を占める。そして、この実績を持つ馬が前走国内戦で1〜3着なら複勝率65.0%、4〜5着でも複勝率37.5%と、掲示板に載っていれば有力だ。しかし、前走6着以下だと複勝率は13.0%に落ちてしまう。19年に天皇賞・秋7着→JC1着のスワーヴリチャードの例はあるが、東京芝2400mG1の好走実績馬であっても、掲示板外からの巻き返しは容易ではない。なお、このケースで前走が海外戦だと前走着順を問わず【0.1.0.2】という成績で、2着は昨年のシンエンペラーである。
同条件のG1実績を持たない馬でも京都大賞典組は侮れず
| 年 | 馬名 | 人気 | 着順 | 前走レース名 | |
| レース名 | 着順 | ||||
| 15年 | ラブリーデイ | 1 | 3 | 天皇賞・秋 | 1 |
| 16年 | キタサンブラック | 1 | 1 | 京都大賞典 | 1 |
| サウンズオブアース | 5 | 2 | 京都大賞典 | 4 | |
(表4 過去に東京芝2400mG1好走歴がなかったJC1〜3着馬)
東京芝2400mG1に出走したことはあるが1〜3着の実績を持たない馬は、JCで【1.1.1.29】と苦戦。ただ、好走した数少ない3頭には、キタサンブラックとサウンズオブアースは前走、(表4にはないが)ラブリーデイは2走前が京都大賞典という共通点がある。
同条件のG1出走歴を持たない馬にもチャンスはある
| 年 | 馬名 | 人気 | 着順 | 前走レース名 | |
| レース名 | 着順 | ||||
| 15年 | ショウナンパンドラ | 4 | 1 | 天皇賞・秋 | 4 |
| ラストインパクト | 7 | 2 | 天皇賞・秋 | 12 | |
| 16年 | シュヴァルグラン | 6 | 3 | アルゼンチン共和国杯 | 1 |
| 18年 | キセキ | 4 | 2 | 天皇賞・秋 | 3 |
| 21年 | オーソリティ | 3 | 2 | アルゼンチン共和国杯 | 1 |
| 22年 | ヴェラアズール | 3 | 1 | 京都大賞典 | 1 |
| 24年 | ドゥレッツァ | 7 | 2 | インターナショナルS | 5 |
(表5 過去に東京芝2400mG1出走歴がなかったJC1〜3着馬)
東京芝2400mG1に出走したこと自体がない馬は、JCで【2.4.1.42】という成績。複勝率14.3%は微妙ながら好走馬が7頭おり、軽視はできない。その7頭をまとめたのが表5。これを見ていくと、前走の天皇賞・秋で掲示板に載った馬とアルゼンチン共和国杯1着馬が2頭ずついる。また、ヴェラアズールは前走の京都大賞典で1着、ラストインパクトは前年の京都大賞典で1着と、東京芝2400mG1未出走の場合も京都大賞典の実績があれば軽視できない。あとの1頭は昨年のドゥレッツァで、同じく帰国初戦のシンエンペラーと2着同着。東京芝2400mG1実績を問わず、前走海外戦には一定の警戒が必要になりそうだ。
【結論】
マスカレードボールに隙は見当たらない
今年のJC登録馬のうち東京芝2400mG1好走の実績を持ち、前走で国内戦に出走したのは3頭。このうち好走率が非常に高い前走1〜3着に当てはまるのはマスカレードボールだけである。前走が掲示板外だったタスティエーラとドゥレッツァは、不利なデータを覆すことはできるか。
東京芝2400mのG1に出走したことはあるが1〜3着の実績を持たない場合は、京都大賞典組が要注意。ただし、今年1着のディープモンスターは7歳の年齢が減点材料となるため、2着のサンライズアースに注目したい。そのほか、天皇賞・秋3着で存在感を示したジャスティンパレスも6歳の年齢が引っ掛かる。
東京芝2400mG1未出走の登録馬は2頭。このケースでも京都大賞典1着の実績があれば侮れないが、今年のアドマイヤテラは4着まで。ブレイディヴェーグは天皇賞・秋10着が物足りない着順だが、好走率の高い牝馬、かつ、京都大賞典と条件が近いエリザベス女王杯の勝ち馬で、視界には置いておいていい。
そのほか、海外遠征から帰国初戦となるダノンデサイル、クロワデュノール、シンエンペラーは調子の把握が難しい面もあるが、力を出せる状態ならもちろんチャンスあり。一方、外国馬は【0.0.0.25】のデータが存在する以上、敬意を払いつつもカランダガンは推奨しづらい。
ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


