18年ぶりに京都開催となるマーメイドSの行方は?
2024/6/13(木)
今年のマーメイドSは2006年以来の京都開催。その18年前は、ソリッドプラチナムがレース史上唯一の3歳馬制覇を飾っている。利用する過去10年のデータはすべて阪神開催のものであることに留意しつつ、レースの傾向を展望していきたい。データ分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
単勝10倍台が過去10年で6勝
単勝オッズ | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
3.0〜3.9倍 | 2- 1- 0- 0/ 3 | 66.7% | 100.0% | 100.0% | 233 | 153 |
4.0〜4.9倍 | 0- 1- 1- 6/ 8 | 0.0% | 12.5% | 25.0% | 0 | 42 |
5.0〜9.9倍 | 1- 4- 5-29/39 | 2.6% | 12.8% | 25.6% | 14 | 67 |
10.0〜19.9倍 | 6- 2- 2-28/38 | 15.8% | 21.1% | 26.3% | 228 | 109 |
20.0〜29.9倍 | 1- 1- 2-14/18 | 5.6% | 11.1% | 22.2% | 113 | 138 |
30.0倍〜 | 0- 1- 0-41/42 | 0.0% | 2.4% | 2.4% | 0 | 30 |
(表1 単勝オッズ別成績)
ハンデ戦ということもあり、波乱のイメージもあるマーメイドS。そこで単勝オッズ別の成績を確認すると、単勝30倍以上の好走は2着1回のみで、極端な人気薄が激走するケースは意外に少ないようだ。単勝10倍台が6勝を挙げ、単勝20倍台も高い回収値を記録しており、穴馬を狙うならこのあたりか。一方、単勝10倍未満の数値は全体に低調ながら、単勝3倍台の3頭に関してはいずれも連対を果たしている。
前走3勝クラス出走馬が過去10年で7勝
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
2勝 | 0- 2- 1-18/21 | 0.0% | 9.5% | 14.3% | 0 | 118 |
3勝 | 7- 3- 1-48/59 | 11.9% | 16.9% | 18.6% | 163 | 73 |
オープン特別 | 1- 0- 1- 7/ 9 | 11.1% | 11.1% | 22.2% | 63 | 68 |
リステッド競走 | 1- 1- 1- 3/ 6 | 16.7% | 33.3% | 50.0% | 243 | 148 |
G3 | 1- 2- 3-31/37 | 2.7% | 8.1% | 16.2% | 10 | 48 |
G2 | 0- 2- 2- 4/ 8 | 0.0% | 25.0% | 50.0% | 0 | 135 |
G1 | 0- 0- 1- 7/ 8 | 0.0% | 0.0% | 12.5% | 0 | 22 |
(表2 前走クラス別成績)
マーメイドSの特徴は、前走が条件戦だった馬の好走が多いこと。特に前走3勝クラスは過去10年で7勝を挙げ、主力と言っていい。前走2勝クラスは、その前走で「1〜3番人気で1着」なら【0.2.1.8】と一定の期待はできる。一方、前走がオープンクラスの場合、出走例の多い前走G3は数値が低調で、前走G1も連対例が見られない。前走G2やリステッド競走はいずれも複勝率50.0%で、狙うとすればここか。
前走3勝クラスで1〜4着が目安
前走3勝クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 | |
着順 | 前走1着 | 1- 1- 1- 7/10 | 10.0% | 20.0% | 30.0% | 108 | 94 |
前走2着 | 1- 0- 0- 6/ 7 | 14.3% | 14.3% | 14.3% | 47 | 21 | |
前走3着 | 3- 0- 0- 4/ 7 | 42.9% | 42.9% | 42.9% | 657 | 205 | |
前走4着 | 1- 2- 0- 7/10 | 10.0% | 30.0% | 30.0% | 156 | 114 | |
前走5着以下 | 1- 0- 0-24/25 | 4.0% | 4.0% | 4.0% | 82 | 26 | |
斤量 | 増減なし | 0- 1- 0- 2/ 3 | 0.0% | 33.3% | 33.3% | 0 | 53 |
今回1キロ減 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 | |
今回2キロ減 | 5- 0- 1-12/18 | 27.8% | 27.8% | 33.3% | 360 | 135 | |
今回3キロ以上減 | 2- 2- 0-30/34 | 5.9% | 11.8% | 11.8% | 92 | 50 |
(表3 前走3勝クラス出走馬に関するデータ)
主力となる前走3勝クラス出走馬に関するデータを見ておきたい。前走着順は1〜4着が好走できるかどうかの基準で、例外は21年に逃げ切ったシャムロックヒルだけ。また、このケースでは前走より軽い斤量で出走できることも多く、実際に今回2キロ減は過去10年で5勝と有望。今回3キロ以上減も2勝を挙げている。だが、今回1キロ減では好走例がなく、2キロは欲しいところか。なお、増減なしで好走したのは15年2着のマリアライトで、同馬がのちにG1を2勝するのはご存知の通りである。
前走オープンクラスで1秒0負けは許容範囲
前走オープンクラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 | |
タイム差 | 勝ち | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
負け1.0秒以内 | 3- 4- 8-31/46 | 6.5% | 15.2% | 32.6% | 52 | 95 | |
負け1.1秒以上 | 0- 1- 0-18/19 | 0.0% | 5.3% | 5.3% | 0 | 10 | |
斤量 | 今回増 | 1- 3- 4-19/27 | 3.7% | 14.8% | 29.6% | 21 | 81 |
増減なし | 2- 1- 2-16/21 | 9.5% | 14.3% | 23.8% | 87 | 58 | |
今回1キロ減 | 0- 1- 2- 8/11 | 0.0% | 9.1% | 27.3% | 0 | 104 | |
今回2キロ以上減 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
(表4 前走オープンクラス出走馬に関するデータ)
前走オープンクラス出走馬に関するデータも見ておきたい。前走のタイム差は負けても1秒0差以内ならOK。しかし、1秒1差以上負けから巻き返したのは23年2着のウインマイティーだけで、同馬は前年の覇者だった。また、前走1着(表4では「勝ち」)に好走例がないことも要チェックだ。斤量にも特徴があり、前走より2キロ以上軽くなると好走例がない。前走オープンクラスの場合、斤量は今回増か増減なしのほうが好走しやすく、軽くなっても1キロまでだ。
当日馬体重440〜479キロが安定
馬体重 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
〜439キロ | 0- 2- 0-15/17 | 0.0% | 11.8% | 11.8% | 0 | 25 |
440〜459キロ | 3- 3- 1-23/30 | 10.0% | 20.0% | 23.3% | 96 | 133 |
460〜479キロ | 3- 4- 8-35/50 | 6.0% | 14.0% | 30.0% | 76 | 96 |
480〜499キロ | 2- 1- 1-29/33 | 6.1% | 9.1% | 12.1% | 106 | 44 |
500キロ〜 | 2- 0- 0-16/18 | 11.1% | 11.1% | 11.1% | 99 | 36 |
(表5 馬体重別成績)
最後に馬体重別成績もチェック。最多の好走15回を記録した「460〜479キロ」は複勝率もトップ。これに次ぐ好走7回の「440〜459キロ」は連対率がトップとなっている。どうやら、このぐらいの「小柄すぎず、大柄すぎもしない」馬が安定して走っているようだ。とはいえ、「480〜499キロ」と「500キロ以上」も各2勝と無視はできない。そして、「439キロ以下」の小柄な馬はやや不利な傾向が見て取れる。
【結論】
「ピンハイは京都開催を味方にできるか」
前走で条件戦に出走していた馬から見ていこう。前走3勝クラスの基準である「前走1〜4着」を満たすのは5頭。その中に、過去10年で5勝の「(斤量)今回2キロ減」が見当たらないのは残念だが、「今回3キロ以上減」にはベリーヴィーナス、ジュリアバローズ、インザオベーション、アグラシアドが該当する。ただし、ベリーヴィーナス以外の3頭は抽選もしくは除外の対象となっている。また、前走2勝クラスのアリスヴェリテ、ホールネスは、この組の好走条件「前走1〜3番人気かつ1着」をともに満たしている。
前走オープンクラス出走は12頭おり、うち10頭は「前走のタイム差1秒0以内」の基準を満たす。このうち、マーメイドSと好相性のリステッド競走で、好走例のある「(斤量)今回増・増減なし・今回1キロ減」にも合致するのがピンハイである。前走時で412キロの馬体重は気になるが、前回の京都開催時は当日416キロのソリッドプラチナムが勝っている。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。