第1748回 競馬の祭典・日本ダービーを分析する|競馬情報ならJRA-VAN

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競馬の祭典・日本ダービーを分析する

2024/5/23(木)

今週は3歳馬の頂点を決する日本ダービーが行われる。2020年のコントレイルなど8頭の三冠馬をはじめ、数多くの名馬が制してきたレースだ。JRA創設70周年の今年、ここで栄冠を勝ち取るのはどの馬か。JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用して過去の傾向を分析したい。

皐月賞連対馬が好成績

皐月賞着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1着 2-4-1-3/10 20.0% 60.0% 70.0% 33% 115%
2着 2-2-1-5/10 20.0% 40.0% 50.0% 123% 81%
3着 1-2-1-5/9 11.1% 33.3% 44.4% 46% 115%
4着 1-0-0-7/8 12.5% 12.5% 12.5% 70% 25%
5着 1-0-1-6/8 12.5% 12.5% 25.0% 66% 73%
6〜9着 1-1-2-20/24 4.2% 8.3% 16.7% 52% 55%
10着〜 0-0-0-24/24 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

(表1 皐月賞組の前走着順別成績)

日本ダービーは前走皐月賞出走馬が【8.9.6.70】複勝率24.7%、その他の馬が【2.1.4.78】同8.2%と、皐月賞組が他を圧倒している。過去10年の皐月賞連対馬はすべて日本ダービーに駒を進め、計【4.6.2.8】複勝率60.0%をマーク。同3着馬も悪くないが今年(ジャンタルマンタル)は不在で、4着以下になると好走確率は大きく低下するため、まずは皐月賞連対馬に注目したい。

なお、皐月賞10着以下から日本ダービーに直行して3着以内に入った馬はJRA-VAN Data Lab.でデータが提供されている1986年以降で4頭いるが、いずれも皐月賞では3番人気以内の支持を受けていた。今年の皐月賞で3番人気以内かつ10着以下だった馬はいないため、連対馬以外を狙うにしてもひと桁着順にはまとめていた馬に限られる。

皐月賞連対馬は皐月賞時の馬体重増減にも注目

皐月賞時の
前走比馬体重
皐月賞連対馬 皐月賞4着以下
着別度数 複勝率 着別度数 複勝率
マイナス 2-2-1-8/13 38.5% 1-0-2-27/30 10.0%
増減なし 1-3-1-0/5 100.0% 0-0-1-8/9 11.1%
プラス 1-1-0-0/2 100.0% 2-1-0-22/25 12.0%

(表2 皐月賞時の馬体重増減別成績)

皐月賞連対馬の中でも特に優秀なのは、皐月賞に馬体重増減なし、またはプラス体重で出走していた馬で、2016年のマカヒキや20年のコントレイルなど【2.4.1.0】複勝率100%と1頭も馬券圏内を外していない。好走した7頭中5頭は日本ダービーにはマイナス体重で出走しており、皐月賞で増減なしまたはプラス、ダービーではマイナス体重というパターンがベストだ。

皐月賞4着以下なら皐月賞前まで連対率100%の馬

馬名 人気 着順 前走までの着順推移
2014 ワンアンドオンリー 3 1 4 2 1 6 2 1 2 12
2015 サトノクラウン 3 3 6 1 1 1
2017 レイデオロ 2 1 5 1 1 1
スワーヴリチャード 3 2 6 1 2 1 2
2018 ワグネリアン 5 1 7 2 1 1 1
2020 ヴェルトライゼンデ 10 3 8 2 2 1 1
2022 アスクビクターモア 7 3 5 1 1 3 1 3

(表3 皐月賞4着以下から日本ダービー3着以内に巻き返した馬)

前走皐月賞4着以下からの好走馬は表3の7頭。このうち10年前・2014年のワンアンドオンリーを除く6頭は、皐月賞以外では4着以下に敗退したことがなかった。できれば皐月賞に連対率100%で出走していることが望ましい。

なお、皐月賞で4着以下だった馬は皐月賞時の馬体重増減は不問だが(表2)、日本ダービーでの馬体重増減をみるとプラス体重だった馬は【1.0.0.15】、増減なしだった馬が【0.0.1.7】に終わっているのに対し、マイナス体重だった馬は【2.1.2.35】。皐月賞4着以下の馬なら、ダービー当日の馬体重増減のほうをチェックしたい。

皐月賞組以外では、ステップレース1〜2番人気の連対馬

馬名 日本ダービー 前走
人気 着順 レース 人気 着順
2014 マイネルフロスト 12 3 青葉賞 3 6
2015 サトノラーゼン 5 2 京都新聞杯 2 1
2017 アドミラブル 1 3 青葉賞 1 1
2018 コズミックフォース 16 3 プリンシパルS 1 1
2019 ロジャーバローズ 12 1 京都新聞杯 2 2
2021 シャフリヤール 4 1 毎日杯 2 1
2023 ハーツコンチェルト 6 3 青葉賞 2 2

(表4 前走皐月賞以外からの好走馬)

表4は前走皐月賞以外からの好走馬7頭で、うち6頭は前走で青葉賞、プリンシパルS、京都新聞杯のいずれかに出走していた。前走から中4週以上だった馬は皐月賞組を除けば【1.0.0.14】で、2018年には弥生賞1着以来だったダノンプレミアムが1番人気で6着に敗れており、上記ステップレース3競走以外からの馬は減点が必要だ。また、7頭中6頭は前走で2番人気以内かつ2着以内に入っていた。ただし「前走青葉賞・プリンシパルS・京都新聞杯」かつ「前走1〜2番人気で連対」の条件をクリアした馬でも【1.1.3.13】連対率11.1%・複勝率27.8%止まりで、表1にあった皐月賞連対馬には遠く及ばない。皐月賞4〜9着馬と互角かやや上あたりという評価でいいだろう。

父または母の父はサンデーサイレンス系

父系統 母の父系統 着別度数 勝率 連対率 複勝率
サンデーサイレンス系 ノーザンダンサー系 2-5-0-44/51 3.9% 13.7% 13.7%
サンデーサイレンス系 ミスタープロスペクター系 2-2-1-19/24 8.3% 16.7% 20.8%
サンデーサイレンス系 ナスルーラ系 2-1-1-8/12 16.7% 25.0% 33.3%
サンデーサイレンス系 その他ヘイルトゥリーズン系 1-1-3-7/12 8.3% 16.7% 41.7%
ミスタープロスペクター系 サンデーサイレンス系 1-0-1-23/25 4.0% 4.0% 8.0%
ノーザンダンサー系 サンデーサイレンス系 1-0-0-5/6 16.7% 16.7% 16.7%
ミスタープロスペクター系 その他ヘイルトゥリーズン系 1-0-0-2/3 33.3% 33.3% 33.3%
その他ヘイルトゥリーズン系 サンデーサイレンス系 0-1-0-2/3 0.0% 33.3% 33.3%

(表5 父系統×母の父系統別成績(連対馬の父×母の父のみ))

最後に血統面も見ておきたい。連対した20頭のうち、2017年の優勝馬・レイデオロを除く19頭は父または母の父がサンデーサイレンス系だった。3着まで広げてもこれに該当しないのは2015年のサトノクラウン(ノーザンダンサー系×ミスタープロスペクター系)のみ。父か母の父からサンデーサイレンスの血を引いていることはほぼ必須と考えたい。

【結論】

皐月賞馬・ジャスティンミラノが最有力

表1にあったように、日本ダービーでは皐月賞連対馬が好成績を残している。今年は皐月賞馬ジャスティンミラノ、同2着馬コスモキュランダが有力で、どちらも父サンデーサイレンス系だ(表5)。皐月賞時の馬体重増減(表2)をみると、ジャスティンミラノがプラス10キロだったのに対し、コスモキュランダはマイナス4キロ。2頭の比較ではジャスティンミラノを上位と考えたい。また、皐月賞4〜9着(表1、3)なら皐月賞前まで連対率100%だった馬。加えて父または母の父サンデーサイレンス系という条件もつけると、今年の該当馬は皐月賞4着のアーバンシック1頭しかいない。

なお、皐月賞以外の組(表4)にすんなりデータをクリアする馬は不在。シックスペンス(スプリングS以来)、シュガークンとダノンエアズロック(父、母父とも非サンデーサイレンス系)、ショウナンラプンタ(青葉賞7番人気)、ジューンテイク(京都新聞杯8番人気)あたりは、どの減点材料を重く見るかで評価は変わってくる。これら別路線組との比較なら、牝馬ではあるが皐月賞(6着)前まで3着内率100%で父サンデーサイレンス系のレガレイラも候補には入ってくるだろう。ここ6年連続で6番人気以下の馬が馬券に絡んでいるため、当日の人気をみて穴っぽい馬を拾ってみるのもおもしろそうだ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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