サマースプリントシリーズ開幕戦を制する馬は?
2024/6/6(木)
今週は函館競馬場で函館スプリントSが行われる。いつものように過去10年(札幌で行われた2021年は除く)のレース傾向をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析する。
斤量52キロ以下の3歳馬が強い
年 | 馬名 | 性別 | 年齢 | 斤量 | 人気 | 着順 | 前走レース名 |
22年 | ナムラクレア | 牝 | 3 | 50 | 1 | 1 | 桜花賞G1 |
19年 | アスターペガサス | 牡 | 3 | 52 | 2 | 2 | 葵S・重 |
17年 | ジューヌエコール | 牝 | 3 | 50 | 3 | 1 | 桜花賞G1 |
16年 | ソルヴェイグ | 牝 | 3 | 50 | 12 | 1 | 桜花賞G1 |
16年 | シュウジ | 牡 | 3 | 52 | 2 | 2 | NHKマG1 |
15年 | レンイングランド | 牡 | 3 | 52 | 12 | 3 | NHKマG1 |
14年 | クリスマス | 牝 | 3 | 50 | 4 | 3 | 優駿牝馬G1 |
(表1 函館スプリントSで好走した3歳馬、過去10年)
過去10年(21年は除く、以下同様)の好走馬の特徴を調べたところ、大きく分けて三つのパターンがあることに気付いた。好走馬27頭中17頭が次のいずれかのパターンに該当しており、ひとまず中心馬はここから選びたい。
一つ目のパターンは3歳馬。成績は【3.2.2.10】で勝率17.6%、連対率29.4%、複勝率41.2%で7頭が好走を果たしている。前走は桜花賞やNHKマイルC組が有力。なお14〜22年までの間、3歳牡馬は斤量52キロ、牝馬は斤量50キロの馬しか出走していない。23年より負担重量が変更となったが、斤量52キロで出走した3歳牝馬3頭は好走できなかった。
高松宮記念組の巻き返し
年 | 馬名 | 性別 | 年齢 | 斤量 | 人気 | 着順 | 前走レース名 | 前着 |
23年 | トウシンマカオ | 牡 | 4 | 58 | 1 | 3 | 高松宮記G1 | 15 |
20年 | ダイアトニック | 牡 | 5 | 58 | 1 | 1 | 高松宮記G1 | 3 |
18年 | ナックビーナス | 牝 | 5 | 54 | 1 | 3 | 高松宮記G1 | 3 |
14年 | ガルボ | 牡 | 7 | 58 | 8 | 1 | 高松宮記G1 | 11 |
(表2 函館スプリントSで好走した前走高松宮記念組、過去10年)
二つ目のパターンは前走高松宮記念組。成績は【2.0.2.21】で勝率・連対率8.0%、複勝率16.0%と好走率は高くないが、14年に8番人気のガルボが勝利した影響で単勝回収値は153%だった。函館スプリントSで1番人気に支持されたナックビーナス(18年)やトウシンマカオ(23年)が勝ち切れていない点は気になるものの、前走高松宮記念組は実績馬が多いので、巻き返しを警戒したい。
前走1着馬も活躍
年 | 馬名S | 性別 | 年齢 | 斤量 | 人気 | 着順 | 前走レース名 |
22年 | ジュビリーヘッド | 牡 | 5 | 56 | 7 | 2 | 船橋S・3勝 |
20年 | ジョーマンデリン | 牝 | 4 | 54 | 3 | 3 | UHBH・3勝 |
19年 | タワーオブロンドン | 牡 | 4 | 58 | 1 | 3 | 京王杯スG2 |
17年 | キングハート | 牡 | 4 | 56 | 4 | 2 | 鞍馬S |
17年 | エポワス | セ | 9 | 56 | 7 | 3 | 大阪―ハ |
15年 | ティーハーフ | 牡 | 5 | 56 | 4 | 1 | 彦根S1600 |
(表3 函館スプリントSで好走した前走1着馬、過去10年)
三つ目のパターンは前走1着馬で、成績は【1.2.3.15】で勝率4.8%、連対率14.3%、複勝率28.6%。その内、前走3勝クラスもしくはOP特別に限定すると、【1.2.2.13】で勝率5.6%、連対率16.7%、複勝率27.8%と成績がアップした。つまり、前走JRA重賞1着馬の成績が意外と良くないことがわかった。17年はセイウンコウセイ(前走高松宮記念1着)が1番人気4着、19年はタワーオブロンドン(前走京王杯スプリングC1着)が圧倒的1番人気で3着に敗れた。
実際に好走した馬を見てみると、15年ティーハーフ、20年ジョーマンデリン、22年ジュビリーヘッドは前走3勝クラスを勝ったばかりだった。また、17年のキングハートとエポワスはともに前走芝1400m以下のOP特別を勝っていた。
【結論】
ビッグシーザーVS阪急杯上位馬
今年の出走予定馬の中で3歳馬はオーキッドロマンスだけ。ただし、週明け(6/3時点)の段階では除外対象となっている。仮に出走できたとしても斤量が54キロなので、狙いづらい印象だ。
次に注目なのが前走高松宮記念組。今年はシュバルツカイザー、ビッグシーザー、マテンロウオリオンの3頭が登録している。この中では前走7着のビッグシーザーが有力だろうか。しばらく年長馬との対戦に苦しんだが、ようやく慣れてきて、淀短距離S1着、オーシャンSはトウシンマカオの2着と結果が出てきた。近いうちに重賞タイトルにも手が届きそうだ。
次に注目したい前走1着馬は、アサカラキング(前走モルガナイトS1着)、サウザンサニー(船橋S1着)、サトノレーヴ(春雷S1着)、ジャスティンスカイ(鞍馬S1着)の4頭が登録。サウザンサニーは抽選対象となっているが、もし出走できればいずれの馬もそれなりに人気を集めそうな印象だ。
この中で特に注目したいのがアサカラキングとサトノレーヴ。ともに2走前は阪急杯に出走してアサカラキングは2着と好走、サトノレーヴは4着(0.4秒差)と善戦。この阪急杯を制したウインマーベルはその後、高松宮記念12着を挟んで京王杯スプリングCを勝利しており、同馬と差がない競馬ができたのは大きい。アサカラキングとサトノレーヴはG3を勝てる力が十分あると見ていいだろう。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。