やはり桜花賞組? それとも別路線組? オークスを展望する
2024/5/16(木)
先週に続き、東京で牝馬のG1が開催される。今週は3歳馬によるオークス。3年連続で桜花賞馬が春の二冠を達成するのか、阻止する馬が現れるのか。過去10年のデータから展望していこう。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
オークスまでキャリア4、5戦が主流
キャリア | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
2戦 | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
3戦 | 2- 0- 1-18/21 | 9.5% | 9.5% | 14.3% | 26 | 30 |
4戦 | 4- 4- 2-27/37 | 10.8% | 21.6% | 27.0% | 32 | 122 |
5戦 | 2- 5- 4-25/36 | 5.6% | 19.4% | 30.6% | 33 | 93 |
6戦 | 2- 0- 3-33/38 | 5.3% | 5.3% | 13.2% | 40 | 70 |
7戦〜 | 0- 1- 0-39/40 | 0.0% | 2.5% | 2.5% | 0 | 18 |
(表1 キャリア別成績)
近年、3歳春のG1ではキャリアの浅い馬が勝利する例が目立つ。オークスはどうかといえば、好走馬の大半はキャリア3〜6戦から出ている。そのなかでも主流はキャリア4戦もしくは5戦で、好走率も高い。
桜花賞で4角5番手以降から1〜3着
桜花賞で | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 | |
着順 | 1着 | 4- 1- 0- 3/ 8 | 50.0% | 62.5% | 62.5% | 140 | 86 |
2着 | 1- 0- 2- 4/ 7 | 14.3% | 14.3% | 42.9% | 28 | 75 | |
3着 | 2- 1- 1- 5/ 9 | 22.2% | 33.3% | 44.4% | 135 | 72 | |
4着〜 | 0- 3- 3-51/57 | 0.0% | 5.3% | 10.5% | 0 | 37 | |
4角通過 | 1〜4番手 | 0- 0- 1-14/15 | 0.0% | 0.0% | 6.7% | 0 | 8 |
5番手〜 | 7- 5- 5-49/66 | 10.6% | 18.2% | 25.8% | 38 | 59 |
(表2 前走桜花賞出走馬に関するデータ)
前走桜花賞出走馬は、そこでの着順と4角通過順をチェックしたい。まず着順は、桜花賞で1〜3着だった馬は合算して【7.2.3.12】という成績で、オークスでも半数は3着以内に入っている。4角通過順の傾向も明確で、桜花賞で4角1〜4番手だった馬は【0.0.1.14】と苦戦が目立つ。両方のデータをまとめると、桜花賞で4角5番手以降から1〜3着に入っていた馬が狙い目ということになる。
東京無敗馬が桜花賞4着以下から巻き返す
年度 | 人気 | 着順 | 馬名 | 東京の全成績と主な勝ち鞍 |
15年 | 1 | 2 | ルージュバック | 【1.0.0.0】百日草特別 |
17年 | 2 | 3 | アドマイヤミヤビ | 【2.0.0.0】クイーンC |
21年 | 2 | 2 | アカイトリノムスメ | 【3.0.0.0】クイーンC |
22年 | 4 | 3 | ナミュール | 【1.0.0.0】赤松賞 |
23年 | 2 | 2 | ハーパー | 【1.0.0.0】クイーンC |
15 | 3 | ドゥーラ | (東京未出走) |
(表3 桜花賞4着以下のオークス好走馬と東京実績)
とはいえ、桜花賞4着以下からオークスで巻き返した馬もいないわけではない。過去10年で6頭おり、それらの戦績を調べると、23年のドゥーラ(東京未出走)を除く5頭には東京で無敗という共通項があった。さらに、そのうち3頭が2月東京のクイーンC勝ち馬であることにも注目しておきたい。
フローラSで4角8番手以降から上がり1〜2位
フローラSで | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 | |
4角通過 | 1〜 7番手 | 0- 1- 0-23/24 | 0.0% | 4.2% | 4.2% | 0 | 17 |
8番手〜 | 1- 2- 1-16/20 | 5.0% | 15.0% | 20.0% | 44 | 52 | |
上がり3F順 | 上がり1〜2位 | 1- 3- 1- 7/12 | 8.3% | 33.3% | 41.7% | 74 | 122 |
上がり3位〜 | 0- 0- 0-32/32 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
(表4 前走フローラS出走馬に関するデータ)
前走フローラS出走馬は、そこでの4角通過順と上がり3F順をチェックしたい。フローラSで上がり1〜2位を記録することは絶対条件とも言え、この組のオークス好走馬5頭すべてが該当する。また、4角通過順は8番手以降が望ましく、フローラSで4角1〜7番手だった馬はオークスでの苦戦傾向が顕著だ。
非主流ローテの好走には3つの共通項
年度 | 人気 | 着順 | 馬名 | 前走 | |||
レース名 | 条件 | 人気 | 着順 | ||||
14年 | 3 | 3 | バウンスシャッセ | 皐月賞 | 芝2000m | 12 | 11 |
15年 | 3 | 1 | ミッキークイーン | 忘れな草賞 | 芝2000m | 1 | 1 |
19年 | 1 | 1 | ラヴズオンリーユー | 忘れな草賞 | 芝2000m | 1 | 1 |
12 | 2 | カレンブーケドール | スイートピーS | 芝1800m | 2 | 1 | |
20年 | 13 | 3 | ウインマイティー | 忘れな草賞 | 芝2000m | 3 | 1 |
21年 | 16 | 3 | ハギノピリナ | 矢車賞 | 芝2200m | 3 | 1 |
22年 | 10 | 2 | スタニングローズ | フラワーC | 芝1800m | 2 | 1 |
(表5 前走桜花賞・フローラS以外のオークス好走馬)
過去10年、前走が桜花賞とフローラS以外だったオークス好走馬は7頭いる。このうち、14年のバウンスシャッセを除く6頭の前走には「重賞・オープンか1勝クラス」「芝1800m以上」「1〜3番人気で1着」という共通項がある。なお、バウンスシャッセも2走前のフラワーC(G3・芝1800m)では3番人気1着という成績を収めており、牡馬相手の皐月賞をノーカウントとみなせば前記の条件をクリアという見方もできる。
【結論】
桜花賞馬ステレンボッシュに死角なし
前走桜花賞組のうち「4角5番手以降から1〜3着」に該当するステレンボッシュ(桜花賞で4角8番手→1着)とライトバック(同4角18番手→3着)は、当然有望とみるべきだろう。桜花賞4着以下から巻き返しを期待するなら、東京で無敗かつクイーンC勝ち馬のクイーンズウォークだ。
前走フローラS組は「上がり1〜2位」を記録していることが絶対条件といってよく、これに該当するのは上がり2位だったアドマイヤベル。ただし、4角6番手だったため、フローラS組のもうひとつの条件として挙げた「4角8番手以降」は満たせなかった。
桜花賞・フローラS以外の前走からは、「重賞・オープンか1勝クラス」「芝1800m以上」「1〜3番人気で1着」をすべて満たすミアネーロ、タガノエルピーダ、エセルフリーダの3頭を挙げておこう。
最後に上記7頭のキャリアを記しておくと、ステレンボッシュ、ライトバック、クイーンズウォーク、アドマイヤベル、タガノエルピーダ、エセルフリーダは好走率の高いキャリア4、5戦に該当。ミアネーロはキャリア3戦での出走となる。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。