3年ぶりの京都開催となる京都大賞典を分析
2023/10/5(木)
2022/10/10 阪神 11R 京都大賞典(G2)
1着 10番 ヴェラアズール(Photo by JRA)
今回取り上げるのは京都大賞典。1着馬には天皇賞・秋の優先出走権が与えられ、同距離のジャパンCにもつながる1戦だ。実際、昨年の勝ち馬ヴェラアズールは次走のジャパンCを制した。同馬の連覇もかかる今年は、3年ぶりの京都開催となる。この伝統のG2を、過去10年のデータから分析する。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
過去10年で5歳馬が5勝
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
3歳 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
4歳 | 2- 5- 2-18/27 | 7.4% | 25.9% | 33.3% | 25% | 117% |
5歳 | 5- 3- 3-30/41 | 12.2% | 19.5% | 26.8% | 451% | 149% |
6歳 | 1- 2- 2-27/32 | 3.1% | 9.4% | 15.6% | 283% | 73% |
7歳 | 1- 0- 3-16/20 | 5.0% | 5.0% | 20.0% | 43% | 49% |
8歳 | 1- 0- 0- 7/ 8 | 12.5% | 12.5% | 12.5% | 401% | 96% |
9歳以上 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
(表1 年齢別成績)
年齢別では5歳馬が過去10年で5勝をマーク。4歳馬は2着5回と詰めの甘さはあるが、連対率と複勝率では5歳馬を上回る。この4、5歳馬で計20回の1〜3着を記録しており、中心勢力となっている。とはいえ、6歳馬や7歳馬の好走率も極端には落ちず、21年には8歳馬マカヒキが5年ぶりの勝利を挙げて話題となったように、高齢馬にも一定以上のチャンスはありそうだ。
前走G1出走馬がさすがの好成績
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
2勝 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
3勝 | 1- 1- 1- 3/ 6 | 16.7% | 33.3% | 50.0% | 123% | 170% |
オープン特別 | 1- 1- 0-15/17 | 5.9% | 11.8% | 11.8% | 533% | 120% |
リステッド競走 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
G3 | 2- 1- 1-26/30 | 6.7% | 10.0% | 13.3% | 46% | 28% |
G2 | 0- 2- 1-26/29 | 0.0% | 6.9% | 10.3% | 0% | 56% |
G1 | 6- 5- 7-26/44 | 13.6% | 25.0% | 40.9% | 481% | 177% |
(表2 前走クラス別成績)
前走クラス別では、前走G1が主力。好走数も最多で、6勝を含む1〜3着18回を記録している。これが前走G2やG3になると、いずれも複勝率は10%台にダウン。オープン特別(リステッド競走を含む)も同様で、やや苦戦の傾向が見て取れる。その一方で前走3勝クラスが【1.1.1.3】と好調で、昨年1着のヴェラアズールも該当する。格の前走G1、勢いの前走3勝クラスが好成績という、なかなか興味深い傾向を示している。
前走G1で先行した馬が抜群
前走4角通過 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
1〜3番手 | 3- 1- 3- 3/10 | 30.0% | 40.0% | 70.0% | 72% | 109% |
4〜6番手 | 0- 2- 2-10/14 | 0.0% | 14.3% | 28.6% | 0% | 79% |
7〜9番手 | 3- 2- 0- 5/10 | 30.0% | 50.0% | 50.0% | 2045% | 510% |
10番手〜 | 0- 0- 2- 8/10 | 0.0% | 0.0% | 20.0% | 0% | 53% |
(表3 前走G1出走馬の前走4角通過順別成績)
前走G1出走馬が中心となることが前項でわかった。そのなかでも、より有望な馬を探すために参考になりそうなデータが、前走G1における4角通過順だ。上表の通り、4角1〜3番手が【3.1.3.3】と、前走のG1で前に行っていた馬の好走確率はかなり高い。また、4角7〜9番手も【3.2.0.5】と好成績だが、今年の登録馬に該当する馬がいない。4角3〜6番手も複勝率28.6%と悪い成績ではないが、10番手以降だった馬は連対例がなく、前走G1でもそこまで強調できない。
前走G1以外なら3着には入っておきたい
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
前走1着 | 0- 2- 2- 6/10 | 0.0% | 20.0% | 40.0% | 0% | 86% |
前走2着 | 1- 0- 0- 8/ 9 | 11.1% | 11.1% | 11.1% | 95% | 24% |
前走3着 | 1- 1- 0- 6/ 8 | 12.5% | 25.0% | 25.0% | 65% | 180% |
前走4着 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走5着 | 1- 0- 0- 9/10 | 10.0% | 10.0% | 10.0% | 907% | 177% |
前走6〜9着 | 0- 1- 0-16/17 | 0.0% | 5.9% | 5.9% | 0% | 14% |
前走10着〜 | 0- 0- 0-20/20 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
(表4 前走G1以外のオープン出走馬の前走着順別成績)
前走G2・G3・オープン特別(リステッド競走を含む)は苦戦気味だが、合算して1〜3着9回を記録しており、好走例自体は決して少なくない。そこで目安として確認しておきたいのが前走着順。このケースで前走1〜3着なら合わせて【2.3.2.20】、勝率7.4%、複勝率25.9%とまずまずの成績を残している。また、19年に11番人気1着のドレッドノータスが前走5着なので、悪くとも掲示板には載っておきたい。さらに着順を落として前走6着以下だと、【0.1.0.36】と好走確率がかなり下がってしまう。
中山・阪神の芝重賞1着馬が好相性
芝重賞1着実績 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
札幌 | 0- 0- 0- 0/ 0 | |||||
函館 | 0- 0- 0- 0/ 0 | |||||
福島 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
新潟 | 1- 0- 0- 3/ 4 | 25.0% | 25.0% | 25.0% | 4155% | 940% |
東京 | 1- 0- 4-17/22 | 4.5% | 4.5% | 22.7% | 39% | 46% |
中山 | 3- 2- 2-11/18 | 16.7% | 27.8% | 38.9% | 40% | 90% |
中京 | 0- 0- 1- 7/ 8 | 0.0% | 0.0% | 12.5% | 0% | 23% |
京都 | 5- 4- 3-22/34 | 14.7% | 26.5% | 35.3% | 306% | 121% |
阪神 | 3- 0- 2-11/16 | 18.8% | 18.8% | 31.3% | 87% | 48% |
小倉 | 2- 0- 0- 8/10 | 20.0% | 20.0% | 20.0% | 1714% | 391% |
(表5 芝重賞1着実績の競馬場別成績・13〜20年限定)
上表は、芝重賞1着実績の競馬場別成績。なお、この表では、阪神開催だった前2年は集計から除いていることにご注意いただきたい。まず、当たり前かもしれないが、京都芝重賞1着の実績を持つ馬はさすがの好成績を収めている。ただし、3年近い開催休止期間があったため、京都芝重賞の出走機会が限られていた現役馬も少なくない。そこで、別の競馬場に目を転じると、中山と阪神がなかなか優秀な好走率を残していることがわかる。直線平坦の京都とは違い、中山、阪神ともに直線急坂の競馬場だが、京都大賞典とは思った以上に実績がリンクするようだ。
【結論】
前走G1で先行したアイアンバローズに注目
2021/5/15 東京 10R 緑風ステークス
1着 4番 アイアンバローズ(Photo by JRA)
京都大賞典で好成績の前走G1には4頭が該当する。そのなかでも好走確率が高い前走4角通過1〜3番手に該当するのが、天皇賞・春で4角1番手だったアイアンバローズである。
前走G2・G3・オープン特別(リステッド競走を含む)の場合は、そこで3着以内に入っておきたい。該当するのは4頭で、そのなかでも好データが揃っているのが、登録15頭で唯一の5歳馬にして、好相性の阪神芝重賞1着実績を持つビッグリボン。そのほか4歳馬のブローザホーン、インプレスもマークしておきたい。
前走3勝クラス出走馬も好走率が高く、昨年勝ったヴェラアズールと同様にジューンS1着から臨むサクセスシュートは軽視できない。
もちろん、そのヴェラアズールも注目の1頭。京都芝初出走だが、昨年のこのレースで阪神芝重賞1着実績を確保しており、適性はあまり心配しなくていいかもしれない。その意味では、出走予定馬で唯一京都芝重賞1着実績を持つディープボンドには格好の舞台と言えそうだ。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。