新王者が誕生か!? スプリンターズSを分析
2023/9/28(木)
2022/10/2 中山 11R スプリンターズステークス(G1)
1着 2番 ジャンダルム(Photo by Tomoya Moriuchi)
今週は日曜日にスプリンターズSが行われる。秋のG1シリーズ開幕となる一戦で、今年はナムラクレアらが人気の中心になりそう。春の高松宮記念を制したファストフォースは引退したため、本競走を勝った馬が芝短距離の新王者となる。スプリンターズSの過去傾向をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析してみたい。
前走1着や4着が好成績
前入線順位 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
前走1着 | 4- 2- 3- 16/ 25 | 16.0% | 24.0% | 36.0% | 68 | 84 |
前走2着 | 1- 3- 0- 17/ 21 | 4.8% | 19.0% | 19.0% | 25 | 71 |
前走3着 | 1- 0- 1- 10/ 12 | 8.3% | 8.3% | 16.7% | 26 | 68 |
前走4着 | 1- 1- 1- 5/ 8 | 12.5% | 25.0% | 37.5% | 55 | 137 |
前走5着 | 0- 0- 2- 5/ 7 | 0.0% | 0.0% | 28.6% | 0 | 310 |
前走6〜9着 | 0- 0- 1- 28/ 29 | 0.0% | 0.0% | 3.4% | 0 | 19 |
前走10着〜 | 1- 2- 0- 22/ 25 | 4.0% | 12.0% | 12.0% | 81 | 55 |
(表1 2015年以降の前走着順別成績)
馬場改修後の2015年以降における前走着順別成績を調べたところ、前走1着が勝ち馬4頭を出すなど好走率が高かった。また前走4着の連対率や複勝率も優秀だった。基本的には前走3着以内に入っていることが望ましいが、前走4〜5着でもいい成績が期待できる。一方、前走6着以下だと好走率がかなり下がる。
前走セントウルS好走馬が有力
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
セントウG2 | 3- 3- 0-14/20 | 15.0% | 30.0% | 30.0% | 55 | 66 |
安田記念G1 | 2- 0- 0- 1/ 3 | 66.7% | 66.7% | 66.7% | 180 | 93 |
CBC賞HG3 | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 920 | 380 |
キーンラG3 | 0- 1- 2-10/13 | 0.0% | 7.7% | 23.1% | 0 | 86 |
高松宮記G1 | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0 | 290 |
北九州記HG3 | 0- 0- 1-12/13 | 0.0% | 0.0% | 7.7% | 0 | 52 |
朱鷺S | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0 | 175 |
(表2 前走3着以内馬の前走レース別成績。一部割愛)
前走3着以内馬の前走レース別成績を調べたところ、前走セントウルS出走馬が【3.3.0.14】連対率30.0%の好成績を残していた。一方、キーンランドC出走馬は【0.1.2.10】連対率7.7%、北九州記念出走馬は【0.0.1.12】複勝率7.7%と、セントウルS好走馬に比べて明らかに劣勢だ。
内枠を引いた前走4〜5着馬が好走
年 | 着順 | 人気 | 馬名 | 前走 | 備考 |
21年 | 3 | 10 | シヴァージ | パラダイスS5着 | 1枠 |
19年 | 2 | 3 | モズスーパーフレア | 北九州記念4着 | 4枠 |
18年 | 3 | 13 | ラインスピリット | セントウルS5着 | 1枠 |
16年 | 3 | 9 | ソルヴェイグ | キーンランドC4着 | 2枠 |
15年 | 1 | 1 | ストレイトガール | セントウルS4着 | 1枠 |
(表3 前走4〜5着だった好走馬)
前走4〜5着だった好走馬を調べたところ、5頭中4頭がスプリンターズSで1〜2枠を引いていた。中山芝1200mは枠順の有利・不利があまりないコースだが、本競走においては注意したい。
オーシャンS勝ち馬や高松宮記念連対馬は軽視禁物
年 | 着順 | 人気 | 馬名 | 前走 | 備考 |
22年 | 1 | 8 | ジャンダルム | 北九州記念17着 | 22年オーシャンS1着 |
22年 | 3 | 5 | ナランフレグ | 安田記念9着 | 22年高松宮記念1着 |
17年 | 2 | 5 | レッツゴードンキ | ヴィクトリアM11着 | 17年高松宮記念2着 |
15年 | 2 | 11 | サクラゴスペル | 安田記念17着 | 15年オーシャンS1着 |
(表4 前走6着以下だった好走馬)
前走6着以下だった好走馬4頭を調べたところ、サクラゴスペルとジャンダルムは同年のオーシャンSを勝っていた。そしてレッツゴードンキとナランフレグは同年の高松宮記念で連対していた。こうした実績を持っている馬であれば、前走6着以下に敗れていても軽視はできない。
セントウルSを逃げ切った馬は危ない
着順 | 馬名 | 決手 | 上がり | 人気 | 次走レース | 次着 |
1 | アクティブミノル | 逃げ | 33.8 | 10 | スプリンG1 | 9 |
2 | ウリウリ | 追込 | 32.8 | 1 | スプリンG1 | 5 |
3 | バーバラ | 差し | 33.6 | 5 | オパール | 10 |
4 | ストレイトガール | 差し | 33.2 | 3 | スプリンG1 | 1 |
5 | マヤノリュウジン | 後方 | 33.2 | 6 | ポートア | 12 |
(表5 2015年セントウルS上位馬の次走成績)
セントウルSは最重要ステップレースだが、逃げ切り勝ちを果たした馬は危ないかもしれない。15年セントウルSは10番人気アクティブミノルが逃げ切ったが、次走スプリンターズSは9着に敗退。セントウルSでメンバー中3位の上がり3ハロンをマークしながらも4着に敗れたストレイトガールが次走スプリンターズSを勝利した。16年は1番人気ビッグアーサーがセントウルSを逃げ切ったが、次走スプリンターズSはまさかの12着に敗退した。
【結論】
セントウルS2着のアグリに注目
2023/2/26 阪神 11R 阪急杯(G3)
1着 11番 アグリ(Photo by JRA)
今年のセントウルSは14番人気のテイエムスパーダが逃げ切り勝ちを収めた。伏兵馬がまんまと逃げ切ったという意味では15年の同レースと似ているので、今回はメンバー中1位の上がり3ハロン(32秒4)をマークしながらも2着に終わったアグリに注目してみたい。
キーンランドC1着のナムラクレア、北九州記念1着ジャスパークローネや2着ママコチャも有力だが、勝ち切ることができるかどうか。枠順を見てから評価を下したい。
前走4〜5着の出走予定馬はおらず、あとは前走6着以下だった馬の巻き返しがあるかどうか。ナランフレグやピクシーナイトは実績上位だが、G1制覇はかなり前の出来事なので勝ち負けまではどうか。マッドクールは今年のシルクロードS(3着)で高松宮記念1、2着馬と接戦を演じ、中山芝1200mの春雷S(21年の勝ち馬はジャンダルム)を勝っているので期待する手はあるだろう。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。