菊花賞トライアル・セントライト記念分析
2023/9/14(木)
2022/9/19 中山 11R セントライト記念(G2)
1着 9番 ガイアフォース(Photo by JRA)
今週は中山競馬場でセントライト記念が行われる。ここ2年の菊花賞馬・タイトルホルダー(本競走1番人気13着)とアスクビクターモア(同1番人気2着)はこのレースをステップに3歳クラシック最後の一冠を制しており、今年も注目の欠かせない一戦だ。そんなセントライト記念の過去の傾向をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。
休養明けの馬が安定した成績
間隔 | 所属 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
中8週以下 | 関東馬 | 2-3-0-33/38 | 5.3% | 13.2% | 13.2% | 32% | 24% |
関西馬 | 0-0-0-18/18 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% | |
中9週以上 | 関東馬 | 4-4-6-42/56 | 7.1% | 14.3% | 25.0% | 94% | 79% |
関西馬 | 4-3-4-22/33 | 12.1% | 21.2% | 33.3% | 87% | 88% |
(表1 レース間隔・東西所属別成績(JRA所属馬のみ))
過去10年の出走馬についてレース間隔と所属別の成績を調べたところ、3着以内の好走馬の多くは中9週以上の休養明けだった馬で、特に関西馬が複勝率33.3%と安定した結果を残していた。一方、中8週以下の好走馬はすべて関東馬から出ており、関西馬は18頭すべて馬券圏外(15頭は6着以下)に敗退している。
前走日本ダービー出走馬を中心に
前走 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
条件戦 | 3-3-2-67/75 | 4.0% | 8.0% | 10.7% | 23% | 29% |
OPEN | 0-0-1-5/6 | 0.0% | 0.0% | 16.7% | 0% | 41% |
中央G3 | 2-1-1-12/16 | 12.5% | 18.8% | 25.0% | 303% | 80% |
中央G2 | 0-0-1-6/7 | 0.0% | 0.0% | 14.3% | 0% | 40% |
中央G1 | 5-6-5-25/41 | 12.2% | 26.8% | 39.0% | 68% | 104% |
地方 | 0-0-0-2/2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
日本ダービー | 5-6-4-22/37 | 13.5% | 29.7% | 40.5% | 75% | 105% |
ラジオNIKKEI賞 | 2-1-1-11/15 | 13.3% | 20.0% | 26.7% | 324% | 86% |
(表2 前走クラス、主な前走レース別成績)
休養明けの好走馬の中心を占めるのは前走日本ダービー出走馬で、【5.6.4.22】複勝率40.5%の好成績をマークしている。ほかにラジオNIKKEI賞組が4頭好走しており、前走重賞組でこの2レース以外に出走していた馬は2頭(ホープフルS、青葉賞)しかいない。前走条件戦からの好走馬も8頭いるが好走確率では劣勢だ。
ダービー上位馬優勢も、大敗馬の巻き返しに注意
前走着順・タイム差 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
2〜6着 | 2-3-2-6/13 | 15.4% | 38.5% | 53.8% | 21% | 88% |
7〜9着 | 0-0-0-5/5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
10着以下 | 3-3-2-11/19 | 15.8% | 31.6% | 42.1% | 132% | 145% |
0.0〜0.4秒 | 2-3-1-3/9 | 22.2% | 55.6% | 66.7% | 31% | 110% |
0.5〜0.8秒 | 0-0-0-7/7 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
0.9秒以上 | 3-3-3-12/21 | 14.3% | 28.6% | 42.9% | 119% | 139% |
(表3 前走日本ダービー出走馬の同レースでの着順・タイム差別成績)
前走日本ダービー組について同レースでの着順とタイム差別の成績を調べると、やはりダービーで上位に入っていた馬の好走確率が高かった。ただ、ダービーで10着以下に敗れた馬や勝ち馬に0.9秒以上の差をつけられていた馬も複勝率は40%台とかなり高い。ダービー7〜9着馬や、勝ち馬から0.5〜0.8秒差だった馬の好走はなかった。
前走が日本ダービー以外なら芝1800〜2000m
前走距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
芝〜1600m | 0-0-0-3/3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
芝1800m | 4-1-2-23/30 | 13.3% | 16.7% | 23.3% | 203% | 86% |
芝2000m | 1-3-3-36/43 | 2.3% | 9.3% | 16.3% | 11% | 34% |
芝2200m〜 | 0-0-1-21/22 | 0.0% | 0.0% | 4.5% | 0% | 12% |
(表4 前走日本ダービー組を除く前走距離別成績(芝のみ))
前走が日本ダービー以外だった馬について前走距離別の成績(芝レース出走馬のみ)を調べると、3着以内の好走馬15頭中14頭は芝1800〜2000mのレースに出走しており、残る1頭は10年前(2013年3着アドマイヤスピカ、前走青葉賞7着)だった。前走で北海道の2600m戦や新潟の2200m戦あたりに出走していた馬は苦しい。
ラジオNIKKEI賞連対馬にも注目
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
1着 | 3-1-1-3/8 | 37.5% | 50.0% | 62.5% | 173% | 106% |
2着 | 1-0-1-5/7 | 14.3% | 14.3% | 28.6% | 91% | 78% |
3〜5着 | 0-0-0-9/9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
6着以下 | 1-0-1-14/16 | 6.3% | 6.3% | 12.5% | 266% | 60% |
(表5 前走ラジオNIKKEI賞組の前走着順別成績(2000年以降))
最後に表5は前走ラジオNIKKEI賞出走馬の前走着順別成績で、過去10年では好走馬がやや少ないため2000年以降を対象とした(旧ラジオたんぱ賞を含む)。好走馬9頭のうち7頭は同レース連対馬で、特に1着馬が好成績。残る2頭は2017年3着のサトノクロニクル(前走6着)と21年1着のアサマノイタズラ(前走12着)で、どちらもG2連対の実績を持っていた。
【結論】
前走日本ダービー組3頭が有力
2023/4/16 中山 11R 皐月賞(G1)
1着 1番 ソールオリエンス(Photo by Kazuhiro Kuramoto)
セントライト記念は前走日本ダービー出走馬が好成績を残しており、今年はソールオリエンス(関東馬・日本ダービー2着)、シャザーン(関西馬・日本ダービー9着)、そしてグリューネグリーン(関東馬・日本ダービー15着)が出走を予定している。中でも最有力候補は勝ったタスティエーラにクビ差の2着だったソールオリエンスだが(表3)、ダービー大敗馬は単複の回収率が高いためグリューネグリーンも軽視禁物(同)。またこの2頭が関東馬であるのに対し、シャザーンは休養明けの関西馬という点を評価できる一方、ダービー9着という着順が割引材料になる(表1、3)。どのデータに注目するかにもよるが、いずれにしてもこの3頭がデータからは有力だ。
その他、ラジオNIKKEI賞組なら同レース2着のシルトホルン(表5)。条件戦組からは中6週の関東馬で前走芝2000m戦のフレーヴァードの名前も挙げておきたい(表1、4)。
【追記】フレーヴァードはセントライト記念を回避し、当日の2勝クラスに出走することが決まった。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。