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第1650回 近2走の成績からエルムSを占う

2022/8/4(木)

今週日曜日は札幌競馬場でエルムSが行われる。3歳以上によるダート1700mのG3だが、同日に新潟競馬場でレパードSが組まれているため、基本的には4歳以上の馬たちによる一戦だ。いつものように過去10年のデータを分析し、好走馬の成績から今年のレースを考えてみたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 過去10年のエルムS好走馬(2013年・21年は函館開催)

着順 馬名S 人気 前走レース名 前着 2走前レース名 前々着
21年 1 スワーヴアラミス 4 マリーンH 1 大沼S(L) 2
2 オメガレインボー 7 マリーンH 2 アハルテ 1
3 ロードブレス 11 平安SG3 13 アンタレG3 3
20年 1 タイムフライヤー 1 マリーンH 1 マーチHG3 9
2 ウェスタールンド 2 アンタレG3 1 ダイオG2 2
3 アナザートゥルース 5 アンタレG3 2 ダイオG2 1
19年 1 モズアトラクション 2 マリーンH 2 大沼S(L) 4
2 ハイランドピーク 10 大沼S(L) 6 平安SG3 13
3 サトノティターン 4 平安SG3 9 マーチHG3 1
18年 1 ハイランドピーク 2 マリーンH 2 灘S1600 1
2 ドリームキラリ 3 プロキオG3 6 欅S 1
3 ミツバ 1 マーキG3 1 平安SG3 4
17年 1 ロンドンタウン 4 平安SG3 12 アンタレG3 2
2 テイエムジンソク 1 マリーンH 1 大沼S 1
3 ドリームキラリ 8 マーキG3 4 マリーンH 12
16年 1 リッカルド 7 安達太良1600 1 下総S1600 2
2 クリノスターオー 4 平安SG3 2 マーチHG3 5
3 モンドクラッセ 1 大沼S 1 フェブラG1 8
15年 1 ジェベルムーサ 2 マリーンH 3 大沼S 1
2 グレープブランデー 5 プロキオG3 5 東京スJpn3 4
3 エーシンモアオバー 7 名古屋大G3 4 名古屋グG2 1
14年 1 ローマンレジェンド 3 東京大G1 6 JCダーG1 13
2 クリノスターオー 5 平安SG3 1 アンタレG3 16
3 インカンテーション 10 JCDG1 14 みやこSG3 2
13年 1 フリートストリート 3 安達太良1600 1 青梅特別1000 1
2 エーシンモアオバー 5 マーキG3 4 名古屋大G3 2
3 ブライトライン 1 マリーン 1 麦秋S1600 1
12年 1 ローマンレジェンド 1 ジュライ 1 灘S1600 1
2 エスポワールシチー 2 帝王賞G1 2 かしわG1 1
3 グランドシチー 6 マーキG3 2 大沼SH 2

表1は過去10年のエルムS好走馬一覧。2013年と21年は函館ダート1700mで施行されたが、好走馬の傾向は似ていると判断したため、この年も含めて考える。今回は3着以内に好走した馬の、前走と2走前の成績に注目することにした。

まず人気は1〜5番人気から勝ち馬が9頭、2着馬が8頭と連対馬の大半が出ている。3着は1〜5番人気が5頭で、6番人気以下が5頭という内訳だった。フルゲートが14頭のコースのせいか人気薄の連対はあまり望めない。穴を狙うのであれば、3着に食い込むケースを期待するのがいいだろう。

2021/8/8 函館11R エルムステークス(G3) 1着 4番 スワーヴアラミス 2021/8/8 函館11R エルムステークス(G3)
1着 4番 スワーヴアラミス

前走レース別ではマリーンS組の出走が最も多く、勝ち馬5頭、2着馬2頭の合計7頭が連対を果たしている。基本的には同レースの連対馬が有力で、近2年はタイムフライヤーとスワーヴアラミスがマリーンS→エルムSと連勝を飾っている。

前走オープン特別組はマリーンSのほかにも、ジュライSや大沼Sの1着馬が好走。12年のローマンレジェンドは4連勝中で本競走に挑み、重賞初制覇を飾った。夏のレースらしく、近走好調がうかがえる馬の活躍が目立つ。

前走3勝(1600万)クラス組もフリートストリートが青梅特別→安達太良Sと条件クラス連勝の勢いで出走し、見事に3連勝で重賞制覇を飾った。リッカルドは近3走、韓国馬事会杯2着、下総S2着、安達太良S1着と1600万クラスで非常に安定した成績を残していた。昇級馬にも十分勝機があるレースではあるが、勢いだけでなく近走安定した成績を残しているかも重要なポイントになりそうだ。

前走G3(Jpn3)組はアンタレスSや平安S、マーキュリーCの連対馬が結果を出している。それらの馬は2走前の成績も5着以内が多かった。前走G2・G1で好走していた馬は12年エスポワールシチーのみだったが、2走前にG2(Jpn2)で連対していたのは20年ウェスタールンドやアナザートゥルース。15年3着エーシンモアオバーは2走前、Jpn2の名古屋グランプリを勝っていた。

こうしてみると近2走で一度も5着以内に入っていない馬の好走例は非常に少ないことがわかる。過去10年では14年1着ローマンレジェンドと、19年2着ハイランドピークだけだった。しかし、この2頭は過去に本競走で勝利した実績があった。リピーターという意味ではクリノスターオーやドリームキラリも2回好走を果たしている。この手のタイプに限っては、近2走の成績が良くなくても巻き返してくる可能性が十分あると考えたい。

■表2 今年のエルムS出走予定馬

馬名 前走レース名 前着 2走前レース名 前々着
アイオライト 大沼S(L) 1 栗東SH(L) 14
アメリカンシード 師走SH(L) 13 エルムSG3 14
ウェルドーン マリーンH 2 エンプG2 6
オメガレインボー マリーンH 4 栗東SH(L) 3
スワーヴアラミス 帝王賞G1 7 平安SG3 5
ダノンファラオ 三宮SH 13 平安SG3 16
ダンツキャッスル マリーンH 6 大沼S(L) 6
バティスティーニ マリーンH 11 コーラH(L) 5
ヒストリーメイカー プロキオG3 2 平安SG3 15
フルデプスリーダー マリーンH 1 大沼S(L) 8
ブラックアーメット マリーンH 8 大沼S(L) 4
ブラッティーキッド 報知杯H・3勝 1 竜飛崎特・2勝 1
ロードエクレール マリーンH 3 大沼S(L) 3
ロードレガリス プロキオG3 4 スレイプ 15
※ロジペルレスト ジュライ(L) 14 松風月S 14

フルゲート14頭、※は除外対象(8/1時点)

それでは今年のエルムSを占っていく。出走予定馬は表2の通り。今年も前走マリーンS組の登録は多く、同1着フルデプスリーダーと同2着ウェルドーンにまずは注目が集まるところ。しかし、前者は2走前の大沼Sが8着、後者は2走前がエンプレス杯6着と掲示板を外している。近走の成績が安定しているわけではないので、大きな信頼はしづらいところ。また、前走大沼Sで1着だったアイオライトも2走前の栗東Sは14着と惨敗している。

2022/7/24 札幌11R 報知杯大雪ハンデキャップ 1着 7番 ブラッティーキッド 2022/7/24 札幌11R 報知杯大雪ハンデキャップ
1着 7番 ブラッティーキッド

そうなると残り1頭の前走1着馬・ブラッティーキッドに期待がかかる。同馬は最初JRAでデビューしたが、未勝利のまま地方(兵庫)へ転厩。兵庫競馬で無傷の5連勝を飾ってJRAへ再転厩し、1勝クラス→竜飛崎特別→報知杯大雪ハンデと勝利。現在、怒涛の8連勝と勢いが凄まじい。この勢いに乗って重賞初制覇も十分期待できそうだ。

前走プロキオンS2着のヒストリーメイカーは2走前の平安Sで15着と惨敗している。過去にマーチSやアンタレスSでも連対実績がある馬だが、果たして続けて好走することができるか。

リピーターとしては昨年の本競走1着のスワーヴアラミスと、2着オメガレインボーに注目すべきだろう。ともに近2走の成績は前年と比べると明らかに良くないが、地力・実績を評価し、巻き返しを警戒したい。

ロードエクレールは2走前の大沼Sと前走マリーンSがともに3着。今回のメンバーの中では近走着順が安定している。今回もどこまで粘れるかといったところだろう。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。


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