データde出〜た
第1649回 真夏の3歳ダート重賞・レパードSを分析!
2022/8/1(月)
今週日曜日は新潟競馬場でレパードSが行われる。3歳馬によるダート中距離重賞で、昨年はメイショウムラクモが1番人気に応えて勝利を飾った。いつものように過去10年のデータを分析し、レースの傾向を探っていくことにする。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 過去10年のレパードSの好走馬(1)
年 | 着順 | 馬名 | 人気 | 性 | 種牡馬 | 母父馬 | 取引市場(最終) | 価格 (税込) |
21年 | 1 | メイショウムラクモ | 1 | 牡 | ネオユニヴァース | キングヘイロー | 北海道サマーセール | 356万 |
2 | スウィープザボード | 10 | 牡 | スウェプトオーヴァーボード | フサイチコンコルド | |||
3 | レプンカムイ | 6 | 牡 | キズナ | パラダイスクリーク | セレクトセール | 1944万 | |
20年 | 1 | ケンシンコウ | 7 | 牡 | パイロ | クリプティックラスカル | 北海道サマーセール | 583万 |
2 | ミヤジコクオウ | 2 | 牡 | ヴィクトワールピサ | ブライアンズタイム | 北海道セレクションセール | 2268万 | |
3 | ブランクチェック | 5 | 牝 | パイロ | Coronado's Quest | |||
19年 | 1 | ハヤヤッコ | 10 | 牡 | キングカメハメハ | クロフネ | ||
2 | デルマルーヴル | 1 | 牡 | パイロ | コマンズ | セレクトセール | 1296万 | |
3 | トイガー | 11 | 牡 | ヘニーヒューズ | フォーティナイナー | |||
18年 | 1 | グリム | 5 | 牡 | ゼンノロブロイ | サクラバクシンオー | ||
2 | ヒラボクラターシュ | 10 | 牡 | キンシャサノキセキ | ワイルドラッシュ | セレクトセール | 972万 | |
3 | ビッグスモーキー | 9 | 牡 | キングカメハメハ | Smoke Glacken | |||
17年 | 1 | ローズプリンスダム | 11 | 牡 | ロージズインメイ | シンボリクリスエス | 北海道サマーセール | 345万 |
2 | サルサディオーネ | 12 | 牝 | ゴールドアリュール | リンドシェーバー | |||
3 | エピカリス | 1 | 牡 | ゴールドアリュール | カーネギー | セレクトセール | 2808万 | |
16年 | 1 | グレンツェント | 2 | 牡 | ネオユニヴァース | Kingmambo | ||
2 | ケイティブレイブ | 1 | 牡 | アドマイヤマックス | サクラローレル | |||
3 | レガーロ | 6 | 牡 | Bernardini | Lemon Drop Kid | |||
15年 | 1 | クロスクリーガー | 1 | 牡 | アドマイヤオーラ | ブライアンズタイム | 北海道トレーニングセール | 215万 |
2 | ダノンリバティ | 3 | 牡 | キングカメハメハ | エリシオ | セレクトセール | 7770万 | |
3 | タマノブリュネット | 11 | 牝 | ディープスカイ | ジェイドロバリー | |||
14年 | 1 | アジアエクスプレス | 1 | 牡 | Henny Hughes | Running Stag | ||
2 | クライスマイル | 7 | 牡 | スクリーンヒーロー | ホワイトマズル | |||
3 | ランウェイワルツ | 9 | 牡 | ゴールドアリュール | アフリート | |||
13年 | 1 | インカンテーション | 1 | 牡 | シニスターミニスター | Machiavellian | ||
2 | サトノプリンシパル | 4 | 牡 | Bernardini | Nureyev | |||
3 | ケイアイレオーネ | 2 | 牡 | Henny Hughes | Marquetry | |||
12年 | 1 | ホッコータルマエ | 2 | 牡 | キングカメハメハ | Cherokee Run | 北海道セレクションセール | 1575万 |
2 | ナムラビクター | 3 | 牡 | ゼンノロブロイ | エンドスウィープ | |||
3 | イジゲン | 1 | 牡 | Empire Maker | Dixieland Band |
- ヘイロー系
- ボールドルーラー系
- ミスタープロスペクター系
- ストームバード系
2021/8/8 新潟11R レパードステークス(G3)
1着 15番 メイショウムラクモ
表1は過去10年のレパードS好走馬(1)。好走した30頭の人気、性別、種牡馬、母父、取引市場と価格(税込み)を記した。1番人気が4勝、2着2回、3着2回で勝率40.0%、連対率60.0%、複勝率80.0%となかなか優秀な成績を残している。一方、10番人気、11番人気がそれぞれ1勝しており、伏兵の一発も警戒する必要がある。
好走馬数を性別で見ると牡馬が27頭に対し、牝馬はわずか3頭だった。牝馬全体の本競走の成績は【0.1.2.11】となっており、苦戦傾向だ。ただ、実際に好走したタマノブリュネットは翌年にTCK女王盃(大井)で3着、ブランクチェックものちにTCK女王盃で3着と好走。サルサディオーネは大井に転厩後、21年日本テレビ盃を制するなど交流重賞で大活躍をしている。本競走で好走した牝馬に関しては、将来有望であると言えるだろう。
種牡馬の傾向は系統で分けて考えてみたい。好走馬の数はヘイロー系が14頭と最も多かった。続いてボールドルーラー系とミスタープロスペクター系がそれぞれ6頭好走(好走率は前者の方が優秀)。あとはストームバード系が3頭で好走率も高かった。それ以外の系統は14年2着のクライスマイル(父スクリーンヒーロー)だけであり、ほぼこの4つの系統で占められている。
母父も系統ごとに見ると、かなり特徴的な傾向が読み取れる。ミスタープロスペクター系が11頭と他を圧倒。一方、父(種牡馬)では優秀だったヘイロー系やボールドルーラー系、ストームバード系はなんと1頭もいなかった。特に母父ヘイロー系は数多くの出走例があったものの、ここ10年では全く結果が出ていない。
それから近年はセール出身馬の活躍が目立っている。それもセレクトセール以外のセリ出身馬が勝っているのだ。17年ローズプリンスダム、20年ケンシンコウ、21年メイショウムラクモは北海道サマーセールの出身馬。12年ホッコータルマエは北海道セレクションセール、15年クロスクリーガーは北海道トレーニングセールの出身馬だった。
■表2 過去10年のレパードS好走馬(2)
年 | 着順 | 馬名 | 人気 | 前開催 | 前走レース名 | 前 | 前距離 | 前着 | 備考 |
21年 | 1 | メイショウムラクモ | 1 | 1福3 | いわき特・2勝 | ダ | 1700 | 1 | 伏竜S2着 |
2 | スウィープザボード | 10 | 3名4 | 1勝クラス | ダ | 1800 | 1 | ||
3 | レプンカムイ | 6 | 3小3 | インデH・2勝 | ダ | 1700 | 2 | ||
20年 | 1 | ケンシンコウ | 7 | 3東6 | ユニコーG3 | ダ | 1600 | 3 | |
2 | ミヤジコクオウ | 2 | 大井 | ジャパG1 | ダ | 2000 | 5 | 鳳雛S1着 | |
3 | ブランクチェック | 5 | 3東1 | 2勝クラス・牝 | ダ | 1600 | 1 | ||
19年 | 1 | ハヤヤッコ | 10 | 2東8 | 青竜S | ダ | 1600 | 8 | |
2 | デルマルーヴル | 1 | 大井 | ジャパG1 | ダ | 2000 | 2 | ||
3 | トイガー | 11 | 大井 | ジャパG1 | ダ | 2000 | 6 | ||
18年 | 1 | グリム | 5 | 3東6 | ユニコーG3 | ダ | 1600 | 9 | |
2 | ヒラボクラターシュ | 10 | 3名3 | 濃尾特別1000 | ダ | 1800 | 4 | ||
3 | ビッグスモーキー | 9 | 2福5 | 安達太良1600 | ダ | 1700 | 5 | 兵庫CS2着 | |
17年 | 1 | ローズプリンスダム | 11 | 大井 | ジャパG1 | ダ | 2000 | 8 | 鳳雛S1着 |
2 | サルサディオーネ | 12 | 3名2 | 500万下・牝 | ダ | 1800 | 1 | ||
3 | エピカリス | 1 | アメリカ | ベルモG1 | ダ | 2400 | 消 | UAEダービー2着 | |
16年 | 1 | グレンツェント | 2 | 3東6 | ユニコーG3 | ダ | 1600 | 3 | 伏竜S2着 |
2 | ケイティブレイブ | 1 | 大井 | ジャパG1 | ダ | 2000 | 2 | 兵庫CS1着 | |
3 | レガーロ | 6 | 園田 | 兵庫CG2 | ダ | 1870 | 4 | ||
15年 | 1 | クロスクリーガー | 1 | 大井 | ジャパG1 | ダ | 2000 | 2 | 兵庫CS1着 |
2 | ダノンリバティ | 3 | 3京B | 白百合S | 芝 | 1800 | 8 | ||
3 | タマノブリュネット | 11 | 川崎 | スパー | ダ | 1600 | 1 | ||
14年 | 1 | アジアエクスプレス | 1 | 3東6 | ユニコーG3 | ダ | 1600 | 12 | |
2 | クライスマイル | 7 | 3東4 | 500万下 | ダ | 1600 | 1 | ||
3 | ランウェイワルツ | 9 | 大井 | ジャパG1 | ダ | 2000 | 5 | 伏竜S1着・兵庫CS2着 | |
13年 | 1 | インカンテーション | 1 | 3名5 | 濃尾特H1000 | ダ | 1800 | 1 | |
2 | サトノプリンシパル | 4 | 3名2 | 御嶽特別1000 | ダ | 1800 | 1 | ||
3 | ケイアイレオーネ | 2 | 大井 | ジャパG1 | ダ | 2000 | 3 | ||
12年 | 1 | ホッコータルマエ | 2 | 大井 | ジャパG1 | ダ | 2000 | 5 | |
2 | ナムラビクター | 3 | 2名5 | 御嶽特H1000 | ダ | 1800 | 1 | ||
3 | イジゲン | 1 | 2福8 | 彦星賞H1000 | ダ | 1700 | 1 |
表2は過去10年のレパードS好走馬(2)。ここでは前走レース成績と、注目したいその他の実績(備考)を記した。
■表3 レパードSの前走クラス成績(過去10年)
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
1勝 | 0- 3- 0-29/32 | 0.0% | 9.4% | 9.4% | 0 | 74 |
2勝 | 2- 3- 3-42/50 | 4.0% | 10.0% | 16.0% | 12 | 43 |
3勝 | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0 | 300 |
OPEN非L | 1- 1- 0- 5/ 7 | 14.3% | 28.6% | 28.6% | 342 | 115 |
OPEN(L) | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
G3 | 4- 0- 0-17/21 | 19.0% | 19.0% | 19.0% | 185 | 61 |
G2 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
G1 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
地方 | 3- 3- 5-18/29 | 10.3% | 20.7% | 37.9% | 253 | 147 |
海外 | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0 | 110 |
加えて表3ではレパードSの前走クラス成績をまとめた。
まず注目したいのは前走地方組。前走ジャパンダートダービー(大井)組を中心に11頭が馬券に絡んでいる。単勝回収率253%、複勝回収率147%と馬券的にもかなり妙味がある。ジャパンダートダービーで5着以内か、過去にダート1800m以上の交流重賞やオープン特別で連対実績があると非常に有力にみえる。兵庫チャンピオンシップや伏竜Sで連対実績を持つ馬が多かった。
2020/8/9 新潟11R レパードステークス(G3)
1着 1番 ケンシンコウ
前走G3組からは4頭の勝ち馬が出ていて、単勝回収率は185%とプラス収支になっている。勝ち馬はすべて前走ユニコーンS組で、14年アジアエクスプレス、16年グレンツェント、18年グリム、20年ケンシンコウが該当馬だ。グレンツェントとケンシンコウは前走3着と好走していたが、アジアエクスプレスとグリムは大敗から巻き返した。
前走オープン特別(非リステッド)組も、サンプルは少ないが単・複回収率が優秀。好走したのは15年ダノンリバティと19年ハヤヤッコで、ともに初勝利はダート戦ではなく、芝1800mだった。
前走2勝クラス組は好走率が平凡で、単・複の回収率も低いが、前走中京ダート1800m組に限ると成績は優秀。12年ナムラビクターや、13年のインカンテーション、サトノプリンシパルのように、特別戦でいい勝ち方をしている馬は狙いやすいタイプだろうし、実際かなり有力だ。
また、前走1勝クラス組も中京ダート1800mを勝っていた17年サルサディオーネや、21年スウィープザボードが人気薄で激走を果たしている。前走で左回りのダート1800mを勝っている馬の実績と勢いは侮れないと言えるだろう。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。