データde出〜た
第1648回 外有利も大外は危険!? アイビスサマーダッシュを分析
2022/7/28(木)
今週から夏の新潟競馬が始まる。開幕週の日曜メインは直線1000m重賞のアイビスサマーダッシュ(SD)。外枠有利で知られる直線競馬だが、アイビスSDにおいてはどうなのか。2012年以降・過去10年のデータを分析して、今年馬券で狙えそうな注目馬を挙げていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 アイビスSDの人気別成績(過去10年)
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1番人気 | 7- 2- 0- 1/ 10 | 70.0% | 90.0% | 90.0% | 204 | 129 |
2番人気 | 1- 3- 0- 6/ 10 | 10.0% | 40.0% | 40.0% | 78 | 74 |
3番人気 | 0- 2- 2- 6/ 10 | 0.0% | 20.0% | 40.0% | 0 | 79 |
4番人気 | 0- 0- 3- 7/ 10 | 0.0% | 0.0% | 30.0% | 0 | 79 |
5番人気 | 0- 2- 0- 8/ 10 | 0.0% | 20.0% | 20.0% | 0 | 57 |
6番人気 | 0- 0- 1- 9/ 10 | 0.0% | 0.0% | 10.0% | 0 | 26 |
7番人気 | 1- 0- 0- 9/ 10 | 10.0% | 10.0% | 10.0% | 116 | 34 |
8番人気 | 1- 0- 1- 8/ 10 | 10.0% | 10.0% | 20.0% | 387 | 91 |
9番人気 | 0- 1- 2- 7/ 10 | 0.0% | 10.0% | 30.0% | 0 | 121 |
10番人気以下 | 0- 0- 1- 69/ 70 | 0.0% | 0.0% | 1.4% | 0 | 31 |
まず表1は過去10年におけるアイビスSDの人気別成績。1番人気馬が昨年のオールアットワンスら断然の7勝をあげており、連対率・複勝率とも90%と非常に高い。近9年連続で連対を果たしており、信頼度が高い。2番人気馬は一昨年にジョーカナチャンが勝利し、複勝率は40%。7・8番人気馬が1勝ずつをあげ、9番人気馬は複勝率30%と健闘しているが、10番人気以下は昨年のバカラクイーン(14番人気)の3着1回のみと好走例は少ない。
配当面では3連単が10万円以上となったのは昨年の22万円馬券の1回のみ。近4年は3着に8番人気以下の伏兵馬が激走。1番人気馬の連対が多いために大波乱こそないが、ヒモ荒れとなるケースは目立っている。
■表2 アイビスSDの馬番別成績(過去10年)
馬番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1番 | 0- 0- 1- 9/10 | 0.0% | 0.0% | 10.0% | 0 | 220 |
2番 | 1- 0- 0- 9/10 | 10.0% | 10.0% | 10.0% | 35 | 16 |
3番 | 0- 1- 0- 9/10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0 | 24 |
4番 | 1- 1- 1- 7/10 | 10.0% | 20.0% | 30.0% | 24 | 70 |
5番 | 0- 0- 0-10/10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
6番 | 0- 0- 1- 9/10 | 0.0% | 0.0% | 10.0% | 0 | 13 |
7番 | 0- 0- 0-10/10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
8番 | 0- 1- 0- 9/10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0 | 20 |
9番 | 1- 1- 0- 8/10 | 10.0% | 20.0% | 20.0% | 78 | 60 |
10番 | 0- 1- 1- 8/10 | 0.0% | 10.0% | 20.0% | 0 | 33 |
11番 | 1- 1- 0- 8/10 | 10.0% | 20.0% | 20.0% | 19 | 37 |
12番 | 0- 1- 3- 6/10 | 0.0% | 10.0% | 40.0% | 0 | 117 |
13番 | 2- 2- 0- 5/ 9 | 22.2% | 44.4% | 44.4% | 64 | 60 |
14番 | 1- 0- 2- 5/ 8 | 12.5% | 12.5% | 37.5% | 51 | 81 |
15番 | 2- 0- 0- 5/ 7 | 28.6% | 28.6% | 28.6% | 591 | 100 |
16番 | 1- 0- 1- 5/ 7 | 14.3% | 14.3% | 28.6% | 165 | 111 |
17番 | 0- 1- 0- 4/ 5 | 0.0% | 20.0% | 20.0% | 0 | 66 |
18番 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表2は馬番別成績。外めの12〜16番で過半数の6勝をあげており、いずれも複勝率は28.6%以上と高い。特に12・13番は複勝率40%以上と一際高い。外枠有利で知られる直線競馬だが、アイビスSDにおいて17・18番で馬券圏内に入ったのは12年エーシンダックマンの2着1回のみ。スタートから各馬が外ラチ沿い目掛けて加速していく展開になると、大外は内から被されるケースが多くなる。フルゲート18頭が想定される今年は12〜16番の馬をチェックしておきたい。内めでは4番の複勝率が30%と高いものの、3着以内馬3頭はいずれも上位4番人気以内の馬だった。
■表3 アイビスSDの年齢別成績(過去10年)
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
3歳 | 1- 2- 1- 9/ 13 | 7.7% | 23.1% | 30.8% | 31 | 63 |
4歳 | 3- 1- 1- 16/ 21 | 14.3% | 19.0% | 23.8% | 36 | 44 |
5歳 | 4- 6- 5- 28/ 43 | 9.3% | 23.3% | 34.9% | 56 | 133 |
6歳 | 0- 1- 2- 35/ 38 | 0.0% | 2.6% | 7.9% | 0 | 14 |
7歳 | 2- 0- 1- 28/ 31 | 6.5% | 6.5% | 9.7% | 136 | 34 |
8歳以上 | 0- 0- 0- 14/ 14 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表3は年齢別成績。黄色で強調した5歳馬が18年ダイメイプリンセスら最多の4勝をあげ、連対率・複勝率はトップだ。昨年は3着バカラクイーンが該当し、毎年1頭は3着以内に入っている。3着以内馬15頭中6頭は5番人気以下で、複勝回収率は100%を超えている。
他では4歳馬が19年ライオンボスら3勝、7歳馬が17年ラインミーティアら2勝、3歳馬は昨年のオールアットワンスが優勝。複勝率では3〜5歳馬と6歳以上ではかなり差があることがわかる。
■表4 アイビスSDの前走着順別成績(過去10年)
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
前走1着 | 1- 2- 5- 15/ 23 | 4.3% | 13.0% | 34.8% | 8 | 76 |
前走2着 | 2- 3- 1- 5/ 11 | 18.2% | 45.5% | 54.5% | 90 | 101 |
前走3着 | 2- 2- 0- 12/ 16 | 12.5% | 25.0% | 25.0% | 40 | 55 |
前走4着 | 3- 0- 0- 6/ 9 | 33.3% | 33.3% | 33.3% | 597 | 117 |
前走5着 | 0- 1- 0- 9/ 10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0 | 24 |
前走6〜9着 | 1- 2- 2- 40/ 45 | 2.2% | 6.7% | 11.1% | 6 | 67 |
前走10着以下 | 0- 0- 2- 42/ 44 | 0.0% | 0.0% | 4.5% | 0 | 17 |
表4は前走着順別成績。前走1着馬は19年ライオンボスの1勝のみで、3着が5回と多い。前走2着馬は一昨年のジョーカナチャンら2勝で、連対率・複勝率ともに非常に高い。前走4着以内だった馬が計8勝をあげ、いずれも複勝率が高い。
なお、前走10着以下だった馬からは連対馬が出ておらず、複勝率も低い。
■表5 韋駄天S組の前走着順別成績(過去10年)
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
前走1着 | 1- 2- 1- 1/ 5 | 20.0% | 60.0% | 80.0% | 38 | 108 |
前走2着 | 1- 2- 0- 1/ 4 | 25.0% | 75.0% | 75.0% | 195 | 145 |
前走3着 | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走4着 | 1- 0- 0- 2/ 3 | 33.3% | 33.3% | 33.3% | 1290 | 186 |
前走5着 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走6〜9着 | 0- 1- 0- 8/ 9 | 0.0% | 11.1% | 11.1% | 0 | 22 |
前走10着以下 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表5は、近5年のアイビスSDで一昨年のジョーカナチャンら3勝している韋駄天S組の前走着順別成績。黄色で強調した前走連対馬の連対率・複勝率が非常に高い。前走1着馬は19年ライオンボス、前走2着馬は一昨年ジョーカナチャンがそれぞれ勝利しており、ともに複勝回収率は100%を超えている。前走4着馬からは17年ラインミーティアが8番人気で優勝している。
■表6 アイビスSDにおける前走からの斤量増減別成績(過去10年)
前走斤量 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
増減無し | 4- 2- 3- 39/ 48 | 8.3% | 12.5% | 18.8% | 44 | 40 |
今回増 | 3- 2- 3- 59/ 67 | 4.5% | 7.5% | 11.9% | 72 | 34 |
今回減 | 3- 6- 4- 32/ 45 | 6.7% | 20.0% | 28.9% | 19 | 107 |
最後に表6は前走からの斤量増減別成績。勝利数はいずれもほぼ変わらないものの、連対率・複勝率では斤量減の馬が一歩抜け出している。昨年は上位3着までを独占。3着以内馬13頭中5頭は5番人気以下で、複勝回収率は100%を超えている。スタートから一気の加速、そして持続的なスピードが求められる直線競馬では斤量減は効果的なファクターといえるのだろう。
斤量増減なしの馬は4勝で勝率トップ、斤量増の馬は勝率・連対率・複勝率いずれも最も低かった。
<結論>
■表7 今年のアイビスSDの注目馬(7/27現在)
馬名 | 性齢 | 前走成績 |
マリアズハート | 牝6 | 韋駄天S 1着 |
ライオンボス | 牡7 | 春雷S 5着 |
マウンテンムスメ | 牝4 | UHB杯 1着 |
トキメキ | 牝5 | 駿風S 1着 |
ロードベイリーフ | 牡5 | CBC賞 6着 |
ジャスパージャック | 牡6 | TUF杯 2着 |
テイエムトッキュウ | 牡4 | シンガポールTC賞 1着 |
※フルゲート18頭
※ジャスパージャック、テイエムトッキュウは除外対象
2022/5/8 新潟10R 駿風ステークス
1着 3番 トキメキ
2022/6/19 函館11R UHB杯
1着 3番 マウンテンムスメ
表7ではこれまでのデータから注目した馬を挙げてみた。
マリアズハートは前走韋駄天Sで勝利、ライオンボスはアイビスSD近3年連続で連対、と上位人気が予想されるが、ともに前走から斤量増がどう出るか。
今回推奨したいトキメキ、マウンテンムスメの2頭は今回斤量減。トキメキは前走3勝クラスの直線競馬、駿風Sを勝利。昨年のアイビスSDでも11番人気ながら4着に入っている。近走はレースぶりが安定しており、昨年以上の結果が期待できる。
マウンテンムスメは前走函館芝1200mの3勝クラス・UHB杯を逃げ切り勝ち。昨秋には1勝クラスを勝ったばかりでオープンのルミエールオータムダッシュに挑んで僅差の4着と健闘。当時よりも力を付けており、好スタートさえ決めれば、押し切ってもおかしくない。
他では2走前に韋駄天Sで2着と好走したロードベイリーフが穴候補。現在除外対象ながらジャスパージャック、テイエムトッキュウの2頭も前走から斤量減で、出走がかなえば上位争いしておかしくない。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。