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第1646回 今年も小倉代替の中京記念を分析する

2022/7/21(木)

サマーマイルシリーズの第2戦・中京記念。例年はその名の通り「中京」競馬場の芝「1600m」で争われるレースだが、京都競馬場改修の影響で一昨年は阪神競馬場の芝1600m、そして昨年は小倉競馬場の芝1800mで代替された。今年も小倉開催のため傾向を探るのは難しそうだが、今回はこの中京記念をJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用して分析したい。

■表1 昨年の中京記念(小倉芝1800m・12頭立て)の結果

馬名 年齢 人気 斤量 タイム・差 騎手 通過順 前走
1 3 3 アンドラステ 牝5 1 54 1.46.2 川田 4-3-4-2 マーメイドS4着
2 6 8 カテドラル 牡5 6 56 3/4 福永 9-9-9-8 安田記念12着
3 8 11 クラヴェル 牝4 5 52 クビ 横山典 10-10-10-10 マーメイドS2着
主な配当 単勝:440円 馬連:2330円 馬単:3800円 3連複:5020円 3連単:25030円

2021/7/18 小倉11R 中京記念(G3) 1着 3番 アンドラステ(1番人気) 2021/7/18 小倉11R 中京記念(G3)
1着 3番 アンドラステ(1番人気)

まず表1は、今年同様に小倉で代替された昨年の中京記念の結果である。12頭立てで1〜3着は3→8→11番(3→6→8枠)の順。勝ったアンドラステは好位のインから抜け出し、2着には4コーナー大外から伸びたカテドラル。そして3着には後方から直線は内を突いたクラヴェルが入った。この小倉芝1800mは基本的には先行有利だが、今年2月の小倉大賞典でもカデナが4コーナー15番手から3着まで追い込んでおり、逃げ・先行勢ばかりを重視するのは避けたい。

■表2 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1 2-0-2-6/10 20.0% 20.0% 40.0% 94% 68%
2 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 17%
3 1-0-2-7/10 10.0% 10.0% 30.0% 49% 68%
4 0-0-2-8/10 0.0% 0.0% 20.0% 0% 52%
5 3-1-2-4/10 30.0% 40.0% 60.0% 279% 183%
6 1-5-0-4/10 10.0% 60.0% 60.0% 122% 216%
7 2-0-0-8/10 20.0% 20.0% 20.0% 269% 88%
8 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
9 0-0-1-9/10 0.0% 0.0% 10.0% 0% 81%
10 0-0-1-9/10 0.0% 0.0% 10.0% 0% 82%
11〜 1-3-0-54/58 1.7% 6.9% 6.9% 281% 90%

続いて表2は、中京記念過去10年の人気別成績である。注目したいのは5〜7番人気で【6.6.2.16】複勝率46.7%、単複の回収率223%、162%を記録している。小倉で行われた昨年も、2着のカテドラルが6番人気、3着のクラヴェルが5番人気だった。

■表3 年齢別、性別成績

年齢・性別 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
3歳 1-1-0-7/9 11.1% 22.2% 22.2% 54% 56%
4歳 0-0-4-14/18 0.0% 0.0% 22.2% 0% 56%
5歳 6-7-3-47/63 9.5% 20.6% 25.4% 329% 132%
6歳 3-1-3-31/38 7.9% 10.5% 18.4% 84% 85%
7歳 0-1-0-21/22 0.0% 4.5% 4.5% 0% 29%
8歳以上 0-0-0-8/8 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
牡・セン馬 9-8-8-104/129 7.0% 13.2% 19.4% 185% 94%
牝馬 1-2-2-24/29 3.4% 10.3% 17.2% 15% 53%

年齢別では5歳が【6.7.3.47】で複勝率25.4%などの好成績をマークしている。次いで6歳が7頭好走し、単複の回収率も80%台と悪くない。意外なのは4歳が連対なしに終わっていることで、7歳以上も苦戦傾向だ。なお、昨年の1〜3着は牝5→牡5→牝4。今年も5歳馬重視でいいだろう。また、一昨年まで劣勢だった牝馬が昨年は馬券圏内に2頭食い込んでいるため、性別については表3の数字を鵜呑みにするのは避けたい。

■表4 ハンデ別成績(牡・セン馬)

ハンデ 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
52kg 1-1-0-4/6 16.7% 33.3% 33.3% 81% 85%
53kg 1-0-0-10/11 9.1% 9.1% 9.1% 1481% 292%
54kg 0-0-1-14/15 0.0% 0.0% 6.7% 0% 14%
55kg 1-1-1-18/21 4.8% 9.5% 14.3% 55% 48%
56kg 0-5-3-27/35 0.0% 14.3% 22.9% 0% 86%
56.5kg 1-0-0-1/2 50.0% 50.0% 50.0% 250% 90%
57kg 4-1-2-18/25 16.0% 20.0% 28.0% 160% 108%
57.5kg 0-0-0-8/8 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
58kg 1-0-1-3/5 20.0% 20.0% 40.0% 304% 268%
58.5kg 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表4は牡・セン馬に限定したハンデ別の成績である。好走が多いのは56〜57キロで、計【5.6.5.46】複勝率25.8%になる。また、52キロの2連対は今年登録がない3歳馬が記録したもので、53〜54キロは不振。4歳以上の牡・セン馬なら55キロ以上を課されるくらいの実績は欲しい。なお、牝馬は52キロと54キロが2頭ずつ、そして55.5キロが1頭好走している。昨年は牝54→牡56→牝52の順だった。

■表5 前走クラス別成績

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
3勝クラス 0-0-1-8/9 0.0% 0.0% 11.1% 0% 25%
OPEN 5-7-4-59/75 6.7% 16.0% 21.3% 270% 132%
中央G3 1-0-3-30/34 2.9% 2.9% 11.8% 12% 30%
中央G2 2-1-1-8/12 16.7% 25.0% 33.3% 140% 90%
中央G1 2-2-1-23/28 7.1% 14.3% 17.9% 71% 52%

前走のクラス別で好走馬が多いのはオープン特別組、好走確率が高いのはG2組だ。ただ昨年は表1にあったように、1、3着馬の前走はマーメイドS(G3・芝2000m)で、2着馬の前走は安田記念(G1・芝1600m)。前走G2組は出走がなく、オープン特別組の最先着馬は5着のロータスランド(前走米子S1着)だった。

■表6 前走重賞からの3着以内好走馬

馬名 中京記念 前走
人気 着順 レース 人気 着順
2013 フラガラッハ 5 1 京王杯SC 14 15
リルダヴァル 3 3 エプソムC 6 4
2014 サダムパテック 7 1 安田記念 17 7
マジェスティハーツ 5 3 エプソムC 1 6
2018 グレーターロンドン 1 1 京王杯SC 3 4
ロジクライ 5 2 マイラーズC 3 7
リライアブルエース 4 3 京王杯SC 6 6
2019 グルーヴィット 3 1 NHKマイルC 4 10
クリノガウディー 6 2 NHKマイルC 13 14
プリモシーン 1 3 ヴィクトリアM 4 2
2021 アンドラステ 1 1 マーメイドS 3 4
カテドラル 6 2 安田記念 9 12
クラヴェル 5 3 マーメイドS 5 2

前走重賞からの3着以内好走馬は表6の13頭で、全馬が本競走では7番人気以内だった。前走着順はG1なら不問G2〜G3なら7着以内が条件で、特に前走4〜7着馬が【2.1.3.10】複勝率37.5%と安定している。前走1〜3着馬は【0.0.1.3】、前走8着以下は【1.0.0.25】。2013年のフラガラッハは前走G2・15着から大きく巻き返したが、同馬は前年の本競走優勝馬だった。なお、昨年は前走4着(牝G3)→12着(G1)→2着(牝G3)の順で決着している。

■表7 前走オープン特別からの3着以内好走馬

馬名 中京記念 前走
人気 着順 レース 人気 着順
2012 フラガラッハ 5 1 米子S 11 1
ショウリュウムーン 6 2 米子S 1 15
トライアンフマーチ 10 3 パラダイスS 1 1
2013 ミッキードリーム 13 2 米子S 9 6
2014 ミッキードリーム 11 2 都大路S 12 5
2015 スマートオリオン 6 1 パラダイスS 11 1
アルマディヴァン 13 2 パラダイスS 9 8
2016 ガリバルディ 7 1 米子S 2 5
ピークトラム 6 2 谷川岳S 2 1
ケントオー 4 3 米子S 4 1
2017 ウインガニオン 5 1 パラダイスS 3 1
グランシルク 2 2 パラダイスS 1 2
ブラックムーン 1 3 米子S 1 1
2020 メイケイダイハード 18 1 欅S 10 11
ラセット 6 2 米子S 9 2
エントシャイデン 9 3 安土城S 9 1

最後に表7は、前走オープン特別からの3着以内好走馬16頭である。この組で注目したいのは前走人気で、前走1〜2番人気馬が【1.3.2.8】で複勝率42.9%の好成績。昨年はオープン特別組の好走はなかったが、最先着(5着)のロータスランドは前走の米子Sで2番人気の支持を受けていた。そして、前走9番人気以下だった馬が【3.4.1.19】同29.6%を記録し、単複の回収率は674%、266%。一昨年18番人気で優勝したメイケイダイハードなど2桁人気の好走馬5頭中4頭は、この「前走オープン特別9番人気以下」から出ており、穴党なら特に注目したいところだ。

【結論】

2021/12/18 中山11R ターコイズステークス(G3) 1着 2番 ミスニューヨーク(4番人気) 2021/12/18 中山11R ターコイズステークス(G3)
1着 2番 ミスニューヨーク(4番人気)

冒頭でも触れたように今年の中京記念は昨年に続き小倉芝1800mで代替されるが、コースとあまり関係なく狙ってもよさそうなのは5歳馬(表3)だ。昨年の結果(表1)も踏まえると、人気サイドなら前走マイルG1(ヴィクトリアM10着)のミスニューヨーク。穴っぽいところなら2000mのG3(七夕賞7着)から距離短縮になるモズナガレボシが挙げられる。加えて過去10年で好走確率が高かったG2組(表5)では、前走マイラーズC3着がデータ的にはやや走りすぎ(表6本文)の感もあるが、ハンデ56キロ(表4)のファルコニアにチャンスがありそうだ。

ほかに、穴馬の好走が目立つ「前走オープン特別9番人気以下」だったのはアーデントリー(米子S14番人気11着)とスーパーフェザー(同11番人気14着)、アスコルターレ(本稿執筆時点では除外対象)だが、5歳馬やハンデ56〜57キロの馬は不在。このあたりとの比較なら重賞組で、前走G1・ハンデ57キロのカテドラルや、5歳・ハンデ56キロのコルテジアも互角の評価でいいだろう。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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