データde出〜た
第1634回 4歳馬か東京実績馬か!? エプソムCを占う!
2022/6/9(木)
今週は日曜日に東京競馬場でエプソムCが行われる。いつものように過去10年のデータを分析し、レースの傾向を探っていきたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 過去10年のエプソムC好走馬
年 | 着順 | 馬名 | 性別 | 年齢 | 人気 | 前走レース名 | 前着 | 備考 |
21年 | 1 | ザダル | 牡 | 5 | 3 | 毎日王冠G2 | 5 | 19年プリンシパルS1着 |
2 | サトノフラッグ | 牡 | 4 | 6 | 金鯱賞G2 | 7 | 20年セントライト記念2着 | |
3 | ファルコニア | 牡 | 4 | 2 | 難波SH・3勝 | 1 | ||
20年 | 1 | ダイワキャグニー | 牡 | 6 | 9 | 新潟大賞HG3 | 14 | 18年・19年メイS1着ほか |
2 | ソーグリッタリング | 牡 | 6 | 5 | メイSH | 2 | 19年エプソムC3着 | |
3 | トーラスジェミニ | 牡 | 4 | 18 | ダービーHG3 | 11 | ||
19年 | 1 | レイエンダ | 牡 | 4 | 5 | メイSH | 9 | 18年セントライト記念2着 |
2 | サラキア | 牝 | 4 | 7 | 阪神牝馬G2 | 10 | 18年ローズS2着 | |
3 | ソーグリッタリング | 牡 | 5 | 1 | 都大路S(L) | 1 | ||
18年 | 1 | サトノアーサー | 牡 | 4 | 2 | メイSH | 3 | 17年神戸新聞杯3着 |
2 | ハクサンルドルフ | 牡 | 5 | 4 | 新潟大賞HG3 | 8 | ||
3 | グリュイエール | 牡 | 6 | 5 | 府中S1600 | 1 | ||
17年 | 1 | ダッシングブレイズ | 牡 | 5 | 5 | 京王杯スG2 | 7 | |
2 | アストラエンブレム | 牡 | 4 | 1 | メイSH | 2 | 17年メイS2着 | |
3 | マイネルハニー | 牡 | 4 | 6 | 小倉大賞HG3 | 16 | 16年アイルランドT2着 | |
16年 | 1 | ルージュバック | 牝 | 4 | 1 | ヴィクトG1 | 5 | 15年オークス2着 |
2 | フルーキー | 牡 | 6 | 3 | 新潟大賞HG3 | 2 | 15年東京新聞杯3着 | |
3 | マイネルミラノ | 牡 | 6 | 6 | 新潟大賞HG3 | 5 | ||
15年 | 1 | エイシンヒカリ | 牡 | 4 | 2 | 都大路S | 1 | 14年アイルランドT1着 |
2 | サトノアラジン | 牡 | 4 | 1 | モンゴルH | 1 | ||
3 | ディサイファ | 牡 | 6 | 4 | 中日新聞HG3 | 1 | 14年エプソムC1着 | |
14年 | 1 | ディサイファ | 牡 | 5 | 2 | 都大路S | 2 | |
2 | マイネルラクリマ | 牡 | 6 | 4 | CマイG1 | 10 | ||
3 | ダークシャドウ | 牡 | 7 | 8 | 中山記念G2 | 11 | 11年天皇賞(秋)2着ほか | |
13年 | 1 | クラレント | 牡 | 4 | 4 | マイラーG2 | 8 | 12年富士S1着ほか |
2 | ジャスタウェイ | 牡 | 4 | 3 | 中日新聞HG3 | 8 | 12年毎日王冠2着 | |
3 | サンレイレーザー | 牡 | 4 | 7 | マイラーG2 | 2 | 13年マイラーズC2着 | |
12年 | 1 | トーセンレーヴ | 牡 | 4 | 1 | マイラーG2 | 8 | 11年アイルランドT1着 |
2 | ダノンシャーク | 牡 | 4 | 2 | マイラーG2 | 2 | 12年マイラーズC2着 | |
3 | マイネルスターリー | 牡 | 7 | 15 | 新潟大賞HG3 | 8 | 09年アイルランドT1着 |
表1は過去10年のエプソムCの好走馬。性別、年齢、人気、前走成績に加え、備考には注目したい実績を記載した。まず年齢では4歳の活躍が非常に目立つ。2014年を除き、毎年1頭は馬券に絡んでいる。
■表2 エプソムCの年齢別成績(過去10年)
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
3歳 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
4歳 | 6- 6- 4- 19/ 35 | 17.1% | 34.3% | 45.7% | 87 | 197 |
5歳 | 3- 1- 1- 41/ 46 | 6.5% | 8.7% | 10.9% | 48 | 25 |
6歳 | 1- 3- 3- 27/ 34 | 2.9% | 11.8% | 20.6% | 65 | 66 |
7歳以上 | 0- 0- 2- 45/ 47 | 0.0% | 0.0% | 4.3% | 0 | 52 |
表2はエプソムCの年齢別成績。4歳は【6.6.4.19】という成績で、勝率17.1%、連対率34.3%、複勝率45.7%ととても優秀だ。複勝回収率も197%と高かった。5歳は3頭の勝ち馬を出していて勝率は6.5%。6歳は連対率(11.8%)や複勝率(20.6%)では5歳を上回った。7歳以上は3着が2回だけで連対はゼロだった。したがって、まず4歳馬に目を向けて中心馬を探したい。
■表3 エプソムCの前走クラス別成績(過去10年)
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
3勝 | 0- 0- 2- 7/ 9 | 0.0% | 0.0% | 22.2% | 0 | 52 |
OPEN非L | 4- 3- 0- 55/ 62 | 6.5% | 11.3% | 11.3% | 34 | 22 |
OPEN(L) | 0- 0- 1- 10/ 11 | 0.0% | 0.0% | 9.1% | 0 | 16 |
G3 | 1- 3- 5- 36/ 45 | 2.2% | 8.9% | 20.0% | 49 | 165 |
G2 | 4- 3- 2- 16/ 25 | 16.0% | 28.0% | 36.0% | 114 | 115 |
G1 | 1- 0- 0- 8/ 9 | 11.1% | 11.1% | 11.1% | 31 | 15 |
続いて表3はエプソムCの前走クラス別成績。こちらも特徴的な傾向が出た。前走G2組の成績が【4.3.2.16】で勝率16.0%、連対率28.0%、複勝率36.0%とかなり優秀。単勝回収率114%、複勝回収率115%と馬券的にも魅力がある。前走G2組の前走レースを詳しく見ていくと、12年と13年に好走した4頭は前走マイラーズC組だった。しかし、14年以降は中山記念、京王杯スプリングC、阪神牝馬S、金鯱賞、前年の毎日王冠とレースはさまざまだった。前走着順も3着以内と限らず、着外からの巻き返しも十分ある。
前走OPEN(非リステッド)も1着4回、2着3回だが、単勝回収率34%、複勝回収率22%とかなり低い。前走G1組は勝ち馬が1頭しか出ていないが、出走頭数自体が少ない印象。前走G3組は勝率や複勝率は平凡ながら、複勝回収率は165%と高い。そして、前走3勝クラス組の成績は【0.0.2.7】。2018年にグリュイエールが5番人気で3着、21年はファルコニアが2番人気で3着に入っている。比較的上位人気に支持された馬に関しては警戒が必要だろう。
ここまでのデータを総合すると「前走G2組の4歳馬に注目」と言いたいところだが、両方の条件を満たす好走馬が数多くいるわけではないので、あまりこだわる必要はない。まず4歳という点だけに注目して、とある実績をチェックした方がいい。その実績とは前年に芝1800m以上のG1やG2(主に菊花賞や秋華賞のトライアル)で3着以内か、東京芝1600m以上のG3やOPENで連対というもの。
例えば、12年1着トーセンレーヴや15年1着エイシンヒカリは前年に東京芝2000mのOPEN特別(アイルランドトロフィー)を勝っていた。16年1着ルージュバックは前年オークスで2着。18年1着サトノアーサーは前年神戸新聞杯3着、19年1着レイエンダと21年2着サトノフラッグは前年セントライト記念で2着と好走。19年2着サラキアは前年ローズSで2着に入っていた。
そして東京のオープン・重賞の実績は4歳馬以外においてもかなり重要。例えば、20年1着ダイワキャグニーは18年・19年のメイS連覇に加え、17年プリンシパルS・キャピタルS、19年オクトーバーSと東京芝のOPEN特別を5勝していた。20年2着ソーグリッタリングは前年のエプソムCで3着。また21年1着ザダルは19年にプリンシパルSを勝っていた。5歳以上の有力馬を探す際は、この点を必ずチェックしておきたい。
【結論】
それでは今年のエプソムCを占っていく。出走予定馬は表4の通り。
■表4 今年のエプソムC出走予定馬
馬名 | 性別 | 年齢 | 前走レース名 | 前着 | 備考 |
ガロアクリーク | 牡 | 5 | 都大路S(L) | 6 | |
コルテジア | 牡 | 5 | 東京優駿G1 | 12 | |
ザダル | 牡 | 6 | ダービーHG3 | 10 | 21年エプソムC1着 |
シャドウディーヴァ | 牝 | 6 | ヴィクトG1 | 9 | 21年府中牝馬S1着 |
ジャスティンカフェ | 牡 | 4 | 湘南S・3勝 | 1 | |
タイムトゥヘヴン | 牡 | 4 | 京王杯スG2 | 3 | 21年富士S3着 |
ダーリントンホール | 牡 | 5 | ダービーHG3 | 3 | 20年共同通信杯1着 |
トーセングラン | 牡 | 6 | 新潟大賞HG3 | 11 | |
トーラスジェミニ | 牡 | 6 | ダービーHG3 | 12 | 20年エプソムC3着 |
ノースブリッジ | 牡 | 4 | アメジH・3勝 | 1 | |
ハッピーアワー | 牡 | 6 | 安土城H(L) | 10 | |
ヤマニンサンパ | 牡 | 4 | 飛鳥SH・3勝 | 1 |
2022/4/2 中山11R ダービー卿チャレンジT(G3)
1着 3番 タイムトゥヘヴン
今年のエプソムCは1週前の時点でわずか12頭の登録しかなかった。過去10年より少ない頭数のレースになることが確定しており、この点は寂しい感じがする。注目の4歳馬はジャスティンカフェ、タイムトゥヘヴン、ノースブリッジ、ヤマニンサンバと4頭いる。この中で1番手になるのはタイムトゥヘヴンだろうか。実績的には前述した条件を満たしていないが、他の4歳勢に比べると実績は上位だ。前年のニュージーランドトロフィー2着、富士S3着がある。近2走はダービー卿チャレンジトロフィー1着→京王杯スプリングCで3着と重賞で連続好走して復調。距離1800mが長いというわけでもなさそう(21年に京成杯で2着と好走している)なので有力とみたい。
他の4歳勢はいずれも前走3勝クラスを勝ったばかりの昇級馬。ジャスティンカフェあたりは前走湘南Sの勝ちっぷりが派手だったので人気を集めそうだ。ただ、過去10年では前走3勝クラス組から連対馬は出ていないので連軸には押しづらい。
2021/10/16 東京11R 府中牝馬ステークス(G2)
1着 7番 シャドウディーヴァ
一方、5歳以上は軽視できない有力馬が豊富。ザダルは昨年の本競走の覇者。シャドウディーヴァは前年に東京芝1800mのG2・アイルランドT府中牝馬Sを勝っている。ともに成績が不安定なタイプだが、一発の可能性は十分あるだろう。ダーリントンホールとトーラスジェミニは、20年の実績だが、それぞれ東京芝1800mの重賞で好走している。ダーリントンホールは近2走が洛陽S2着、ダービー卿チャレンジT3着と復調している。
今年のエプソムCは実績十分の4歳馬がいないため混戦模様。5歳以上の馬にも十分勝機がありそうだし、少頭数ながら馬券的には面白いレースになりそうだ。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。