データde出〜た
第1633回 夏の北海道シリーズが開幕! 函館スプリントSを分析!
2022/6/6(月)
今年の北海道シリーズは通常通り函館→札幌の順番で開催が予定されている。したがって、今週日曜日に行われる函館スプリントSは2年ぶりに函館で行われることになる(21年は札幌で施行された)。いつものように過去10年のデータを分析し、レースの傾向を探っていくことにする。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 過去10年の函館スプリントSの好走馬(札幌開催だった21年は除く/前走着順は入線着順)
年 | 着順 | 馬名 | 性別 | 年齢 | 人気 | 前走レース名 | 前着 | 前2角 | 前3角 | 前4角 | 備考 |
20年 | 1 | ダイアトニック | 牡 | 5 | 1 | 高松宮記G1 | 4 | 4 | 4 | ||
2 | ダイメイフジ | 牡 | 6 | 10 | 栗東SH(L) | 14 | 2 | 2 | 19年函館スプリントS4着 | ||
3 | ジョーマンデリン | 牝 | 4 | 3 | UHBH・3勝 | 1 | 4 | 4 | |||
19年 | 1 | カイザーメランジェ | 牡 | 4 | 5 | 韋駄天SH | 6 | 3 | |||
2 | アスターペガサス | 牡 | 3 | 2 | 葵S・重 | 2 | 9 | 6 | 18年函館2歳S1着 | ||
3 | タワーオブロンドン | 牡 | 4 | 1 | 京王杯スG2 | 1 | 7 | 6 | |||
18年 | 1 | セイウンコウセイ | 牡 | 5 | 3 | 京王杯スG2 | 12 | 2 | 3 | 17年函館スプリントS4着 | |
2 | ヒルノデイバロー | 牡 | 7 | 10 | 阪急杯G3 | 17 | 13 | 13 | |||
3 | ナックビーナス | 牝 | 5 | 1 | 高松宮記G1 | 3 | 6 | 6 | |||
17年 | 1 | ジューヌエコール | 牝 | 3 | 3 | 桜花賞G1 | 9 | 6 | 5 | ||
2 | キングハート | 牡 | 4 | 4 | 鞍馬S | 1 | 6 | 6 | |||
3 | エポワス | セ | 9 | 7 | 大阪―ハ | 1 | 5 | 4 | 16年函館スプリントS5着 | ||
16年 | 1 | ソルヴェイグ | 牝 | 3 | 12 | 桜花賞G1 | 17 | 10 | 8 | ||
2 | シュウジ | 牡 | 3 | 2 | NHKマG1 | 12 | 3 | 3 | |||
3 | レッツゴードンキ | 牝 | 4 | 7 | ヴィクトG1 | 10 | 9 | 10 | |||
15年 | 1 | ティーハーフ | 牡 | 5 | 4 | 彦根S1600 | 1 | 7 | 7 | ||
2 | アースソニック | 牡 | 6 | 14 | 韋駄天SH | 3 | 6 | 14年函館スプリントS6着 | |||
3 | レンイングランド | 牡 | 3 | 12 | NHKマG1 | 16 | 1 | 1 | |||
14年 | 1 | ガルボ | 牡 | 7 | 8 | 高松宮記G1 | 11 | 11 | 11 | ||
2 | ローブティサージュ | 牝 | 4 | 6 | ヴィクトG1 | 11 | 5 | 5 | |||
3 | クリスマス | 牝 | 3 | 4 | 優駿牝馬G1 | 12 | 18 | 18 | 18 | 13年函館2歳S1着 | |
13年 | 1 | パドトロワ | 牡 | 6 | 6 | 京王杯スG2 | 14 | 2 | 2 | 12年函館スプリントS4着 | |
2 | シュプリームギフト | 牝 | 5 | 5 | 鞍馬SH | 4 | 9 | 7 | |||
3 | フォーエバーマーク | 牝 | 5 | 3 | 福島民友 | 2 | 2 | 2 | |||
12年 | 1 | ドリームバレンチノ | 牡 | 5 | 2 | 安土城S | 1 | 5 | 5 | ||
2 | ロードカナロア | 牡 | 4 | 1 | 高松宮記G1 | 3 | 4 | 4 | |||
3 | ビスカヤ | 牝 | 6 | 11 | 朱雀SH1600 | 10 | 8 | 8 |
2020/6/21 函館11R 函館スプリントステークス(G3)
1着 6番 ダイアトニック
表1は過去10年(札幌開催だった21年は除く)の函館スプリントSの好走馬一覧。年齢や人気、前走レースの着順(入線)・4コーナー(角)の位置取りを記載し、さらに注目したい実績を備考に記した。まず、気づくのは1番人気があまり勝っていないということ。20年のダイアトニックしか勝利していない。一方で12年はロードカナロアが2着(単勝1.3倍)、19年はタワーオブロンドンが3着(単勝1.8倍)に敗退。また、14年はストレイトガールが11着(単勝1.6倍)と惨敗している。スプリントG1を勝つ力があるような馬が、単勝1倍台のオッズで続々と敗れているのだ。どんなに実績上位の馬であっても全く油断ができないレースだ。
■表2 過去10年の函館スプリントSの年齢別成績(札幌開催だった21年は除く)
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
3歳 | 2- 2- 2- 9/ 15 | 13.3% | 26.7% | 40.0% | 310 | 243 |
4歳 | 1- 3- 3- 11/ 18 | 5.6% | 22.2% | 38.9% | 87 | 133 |
5歳 | 4- 1- 2- 34/ 41 | 9.8% | 12.2% | 17.1% | 52 | 37 |
6歳 | 1- 2- 1- 24/ 28 | 3.6% | 10.7% | 14.3% | 64 | 153 |
7歳以上 | 1- 1- 1- 20/ 23 | 4.3% | 8.7% | 13.0% | 156 | 110 |
表2は年齢別の成績。3歳は勝率・連対率・複勝率すべてで優れている。単勝回収率も310%、複勝回収率も243%と非常に高い。一方、7歳以上も単・複の回収率が100%を超えている。5歳は最多となる4頭の勝ち馬を出しているが回収率は低めだ。4歳は複勝率が38.9%と3歳の次に優秀だった。
■表3 過去10年の函館スプリントSの前走クラス別成績(札幌開催だった21年を除く)
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
3勝 | 1- 0- 2- 8/ 11 | 9.1% | 9.1% | 27.3% | 57 | 209 |
OPEN非L | 2- 4- 2- 46/ 54 | 3.7% | 11.1% | 14.8% | 41 | 69 |
OPEN(L) | 0- 1- 0- 3/ 4 | 0.0% | 25.0% | 25.0% | 0 | 147 |
G3 | 0- 1- 0- 8/ 9 | 0.0% | 11.1% | 11.1% | 0 | 67 |
G2 | 2- 0- 1- 8/ 11 | 18.2% | 18.2% | 27.3% | 217 | 68 |
G1 | 4- 3- 4- 25/ 36 | 11.1% | 19.4% | 30.6% | 236 | 179 |
続いて表3は前走クラス別成績。前走G1組が4勝を挙げていて、複勝率は30.6%でトップ。また、単勝回収率は236%、複勝回収率は179%と優秀だった。さらにレース別の好走馬数は高松宮記念組が4頭、桜花賞組・ヴィクトリアマイル組・NHKマイルC組がそれぞれ2頭、オークス組が1頭だった。高松宮記念組はシンプルに前走5着以内に入っていた馬が有力という印象。前述のダイアトニックは前走高松宮記念4着入線(繰り上がり3着)だった。一方、マイルのG1組の前走着順はあまり関係がなさそう。16年1着のソルヴェイグは前走桜花賞で17着に敗れていた。
仮にマイルG1で大敗していても、スピード能力が高くてスプリント戦に適性がある馬であれば、十分巻き返してくる可能性がある。例えば、15年に12番人気ながら3着と激走したレンイングランドは、前走NHKマイルCは逃げて(3角・4角を1番手で通過)16着と惨敗していた。しかし、芝1200mで2勝を挙げていたので、距離短縮が功を奏して好走したと言えるだろう。
■表4 前走G1組の前走4角位置別成績
前走4角 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
4角1番手 | 0- 0- 1- 2/ 3 | 0.0% | 0.0% | 33.3% | 0 | 436 |
2番手以内 | 0- 0- 1- 5/ 6 | 0.0% | 0.0% | 16.7% | 0 | 218 |
3番手以内 | 0- 1- 1- 5/ 7 | 0.0% | 14.3% | 28.6% | 0 | 222 |
4番手以内 | 1- 2- 1- 6/10 | 10.0% | 30.0% | 40.0% | 25 | 181 |
5番手以内 | 2- 3- 1- 7/13 | 15.4% | 38.5% | 46.2% | 74 | 226 |
7番手以内 | 2- 3- 2-10/17 | 11.8% | 29.4% | 41.2% | 57 | 182 |
10番手以内 | 3- 3- 3-18/27 | 11.1% | 22.2% | 33.3% | 181 | 158 |
1/3頭以内 | 2- 3- 2- 8/15 | 13.3% | 33.3% | 46.7% | 64 | 206 |
1/2頭以内 | 3- 3- 2-18/26 | 11.5% | 23.1% | 30.8% | 188 | 151 |
2/3頭以内 | 4- 3- 3-21/31 | 12.9% | 22.6% | 32.3% | 274 | 184 |
表4は前走G1組の前走4角位置別成績。前走4角で1〜3番手だった馬は勝っていないが、複勝回収率は高い。レンイングランドのような伏兵の激走が見込めるというわけだ。前走の4角位置が1/3頭以内(出走頭数に対して)だった場合、複勝率は46.7%と非常に高い。そして同1/2頭以内だと、単勝回収率が188%、複勝率が151%という結果だった。つまり前走G1組は前走着順よりも前走の4角位置に注目したいところ。中団よりも前目で競馬をしていた馬をマークした方がいい。
2013/6/16 函館11R 函館スプリントステークス(G3)
1着 14番 パドトロワ
表3に戻って前走G2組を見ると、単勝回収率が217%と高い。レースの内訳は前走京王杯スプリングC組が多かった。同レース組も先行力を見せていた馬に注目。13年1着パドトロワは前走京王杯スプリングC14着だったが、3角・4角は2番手で通過していた。18年1着セイウンコウセイも前走京王杯スプリングCは12着だったが、3角は2番手、4角は3番手で通過していた。また、この2頭は前年の函館スプリントSにも出走していて、4着という成績だった。
同じような成績の馬が他にいないか調べてみたところ、17年3着エポワスや20年2着ダイメイフジがいた(表1の備考を参照)。15年2着アースソニックは前年の函館スプリントS6着だったが、勝ち馬とはわずか0.3秒差だった。
重賞では、前年の同レースで好走していた馬はリピーターとして注目されることが多い。しかし、本競走では3着以内に好走した馬だけでなく、善戦した馬もマークした方がいい。配当的にも魅力のあるケースが多く、人気薄でも決して軽視できない。また、前年に函館2歳Sを勝っていた馬も有力候補。14年にクリスマスが3着、19年はアスターペガサスが2着と好走している。前年の函館スプリントS善戦馬・前年の函館2歳S1着馬がいた場合は、かなり狙い目になることを覚えておきたい。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。